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公的年金制度を知る【終活】

公的年金制度は、
社会保障制度の一環として、
現役世代が支払った保険料を
高齢者などの年金給付に充てるという
制度のことです。

▢ 賦課方式
  「世代と世代の支え合い」という考え方を
  基本とした財政方式で運営されており、
  保険料収入以外にも、
  年金積立金や税金が
  年金給付に充てられています。

しかし、
近年では高齢化や少子化の進行により、
年金制度の持続可能性
改革の必要性が議論されています。
政府は制度改革や
個人の年金負担の見直しを進めており、
将来の制度変更が予想されています。

今回は現行の制度について、
お話を進めていきます。
将来的に変更が生じた場合、
その都度、情報のリリースを
進めていきます。



公的年金の仕組み

国民年金と厚生年金

公的年金には、国民年金(基礎年金)と厚生年金があります。

▢ 国民年金制度
  日本国内に住所がある
  20歳以上60歳未満
  すべての人が
  加入しなければならない年金です。
  
  加入者は、毎月一定の保険料を支払い、
  将来の年金給付を受ける権利を得ます。

  年金給付は、一定の保険料納付期間と
  満年齢に応じて計算されます。

▢ 厚生年金制度
  民間企業の会社員や
  公務員等が加入する年金です。

  その労働者は
  雇用主との契約に基づいて
  保険料を支払い、
  将来の年金給付を受ける権利を得ます。

  給付額は、保険料納付期間や
  平均的な賃金に応じて計算されます。

  また、厚生年金制度には
  障害年金遺族年金など、
  労働者やその家族に対する
  補償
も含まれています。


会社員や公務員等の厚生年金は
給与から天引きされますが、
そのなかには
国民年金の保険料も含まれています。
  
従って、厚生年金に加入している人は、
国民年金にも加入していることになり、
両方から年金を受け取ることができる
2階建ての構造となっています。

公的年金の被保険者

公的年金に加入している人を
被保険者といいます。

国民年金の被保険者の種類

▢ 第1号被保険者
  自営業を営んでいる人や学生など

▢ 第2号被保険者
  民間企業の会社員や公務員で
  厚生年金に加入している人

▢ 第3号被保険者
  第2号被保険者に扶養されている配偶者

受け取ることのできる公的年金の種類

受け取ることのできる公的年金には、
国民年金、厚生年金の
それぞれについて
老齢給付、障害給付、遺族給付の
3種類があります。

公的年金の種類
▢ 老齢給付
  年金の中心であり、
  老後の生活を支えるためのもの

▢ 障害給付
  被保険者が
  病気やケガで一定の障がい状態に
  なったときに
  受け取ることのできる年金のこと

▢ 遺族給付
  被保険者本人が亡くなった場合に、
  その人によって
  生活を維持されていた遺族に
  支払われる年金のこと

老齢基礎年金

保険料納付済期間と
保険料免除期間などを
合算した受給資格期間が
10年以上ある場合に、
65歳から受け取ることができます。

20歳から60歳になるまでの
40年間の国民年金や厚生年金の
加入期間等に応じて
年金額が計算されます。

老齢基礎年金を受け取るための条件

原則として
免除期間等を含む
通算10年(120ヵ月)以上の期間
保険料を納めた場合
に、
65歳以上から受け取ることができます。

老齢基礎年金の年金額

受け取ることのできる
老齢基礎年金額は、
国民年金の保険料を
納めた期間
に応じて変わります。

20歳から60歳までの
40年間(480ヵ月)、
全期間に渡って
保険料を納めた場合に
満額の年金を受け取ることができます。

なお、
保険料を納めていない期間や
免除期間がある場合は、
その期間や免除の内容に応じて
年金額は調整される
ことになります。

2021年度の老齢基礎年金の満額は780,900円
2023年度の老齢基礎年金の満額は795,000円

この金額は毎年見直しが行われます。

老齢厚生年金

厚生年金に加入する人が、
老齢基礎年金を受け取れる人に、
厚生年金の加入期間がある場合に、
老齢基礎年金に上乗せして
65歳から受け取ることができます。

老齢厚生年金を受け取るための条件

老齢基礎年金は、
厚生年金の
被保険者期間が1ヵ月以上ある人が、
老齢基礎年金を
受け取る資格を満たした場合に、
原則として65歳以上から受け取ることができる

老齢厚生年金の年金額

老齢厚生年金の年金額は、
会社などに勤めていた時の
給与や、ボーナスの
金額に応じて計算されます。

給与やボーナスの金額が多いほど、
納める保険料は高くなりますが、
その分受け取ることができる
年金額も増える
計算になっています。

▢ 特別支給の老齢厚生年金
  男性は昭和36年4月1日、
  女性は昭和41年4月1日以前に
  生まれた人は、
  60歳から65歳になるまでの期間に
  特別給付の老齢厚生年金を受け取ることができます。

年金を受け取るための手続き

年金請求の手続き

年金は、
条件を満たせば
自動的に受け取れる
というものではありません。

年金を受け取るためには、
年金請求を自分で行う必要があります。

老齢年金を受領する方の手続き 【詳細リンク】

▢ 年金請求書の受領
  年金を受け取ることができる年齢になる
  3ヵ月前に、年金請求書(事前送付用)が
  日本年金機構から届きます。

  年金請求書には、
  基礎年金番号や年金加入記録などが
  記載されています。

▢ 年金請求書の提出
  年金を受け取ることができる
  年齢になった日(受給権発生日)以降に、
  年金請求書と必要な書類を年金事務所、
  または
  街角の年金相談にセンターに提出します。

  必要な書類は、
  家族構成やマイナンバーの
  記入などによって異なるため、
  事前に年金事務所等に
  確認しておきましょう。

▢ 年金証書の受領
  年金請求書提出後、
  約1~2ヵ月で
  年金決定通知書が記載された
  年金証書が届きます。

  年金決定通知書には、
  受け取れる年金の種類、
  年金額等が記載されています。

自分の年金額を知る方法

ねんきん定期便

国民年金や厚生年金の加入者には、
毎年誕生月に
ねんきん定期便が届きます。

ねんきん定期便では、
年金に加入している期間や
これまでの保険料納付額、
将来受け取ることができる
年金の見込み額などが
確認できます。

ねんきん定期便で確認できること

▢ これまでの年金加入期間
  これまで公的年金に
  加入していた月数

  国民年金に加入していた月数と
  厚生年金に加入していた月数が
  別々に記載されています。

▢ 老齢年金の種類と見込額
  50歳以上の人の
  ねんきん定期便には、
  その人が60歳まで
  現在と同じ条件で
  公的年金に加入していた場合に
  受け取ることのできる
  年金見込み額が記載
されています。

  また、50歳未満の人の
  ねんきん定期便には、
  これまでの加入実績に応じた
  年金額が記載
されています。

なお、ねんきん定期便に記載されているのは
年金事務所で把握している年金額です。

例えば、一定の要件を満たす配偶者や
子がいる場合などに受け取れる加給年金額や、
企業が独自に設定している
年金制度のひとつである厚生年金基金に
加入している場合の年金額は
ねんきん定期便には掲示されません。

▢ 加給年金【リンク】
  65歳になり老齢厚生年金を受け取る人に
  一定の「配偶者と子ども」がいることで
  老齢厚生年金に加算される年金制度
です。

  厚生年金の被保険者期間が
  20年以上あることが必要で、
  生計を維持している65歳未満の配偶者、
  または18歳に達した後
  最初の3月31日までの
  子どもがいる等で支給されます。

ライフプランに合わせた年金の受取り方

年金の受取り方を変えることで、
受け取れる金額も変わってきます。

繰上げ受給と繰り下げ受給

年金の受取りの開始は
原則65歳からです。

しかし、
ライフプランのなかで
本人の希望によって
受取りの開始時期を
早めたり遅らせたり
することも
可能です。

▢ 繰上げ受給
  受取り開始を早めること

▢ 繰下げ受給
  受取り開始を遅らせること

繰り上げる月数、繰り下げる月数は
1ヵ月単位で指定することができます。

受取り開始の時期を早めると
1年間に受け取れる年金額は減り
逆に遅らせると年金額は増えることになります。

繰上げによる減額

60歳から65歳になるまでの間に
繰り上げて年金を
受け取ることができます。

ただし、
繰上げ受給の請求をした時点に
応じて年金が減額され、
その減額率は一生変わりません。

なお、
原則として
老齢基礎年金と老齢厚生年金は
同時に繰上げ請求をする必要があります。

繰上げにより減額される年金額は
老齢基礎年金の額および
老齢厚生年金の額に、
下記の減額率を乗じることにより、
計算されます。

繰上げ受給による減額率

▢ 減額率(最大24%)
  = 0.4 % × 繰上げた月数

昭和37年4月1日以前生まれの方の
減額率は、0.5%(最大30%)となります。

繰下げによる増額

65歳で年金を受け取らず
66歳以後75歳までの間で
繰り下げて増額した年金を
受け取ることができます。

繰り下げた期間によって
年金額が増額され、
その増額率は一生変わりません。

なお、
老齢基礎年金と老齢厚生年金は
別々に繰り下げすることができます。

繰下げ受給をした場合の加算額は、
老齢基礎年金の額および
老齢厚生年金の額に、
下記の増額率を乗じることにより、
計算されます。

繰下げ受給による増額率

▢ 増額率(最大84%)
  =0.7 % × 繰下げた月数

昭和27年4月1日以前生まれの方
(または平成29年3月31日以前に
老齢基礎(厚生)年金を受け取る
権利が発生している方)は、
繰下げの上限年齢が
70歳(権利が発生してから5年後)まで
となりますので、
増額率は最大で42%となります。

減額率および増額率の基準となる
年金額は、毎年見直しが行われます。

受給開始時期の考え方

高齢期のライフプランを考えたときに、
どのような場合に
繰上げ受給が有効で、
逆にどのような場合に
繰下げ受給を行うべきなのかを
考えます。

▢ 65歳になるまでの収入が
  少ない場合は
  繰上げ受給を検討


  60歳から64歳までの
  家計における支出と収入を
  考えたときに、
  収入がどうしても足りない場合は、
  繰上げ受給をすることにより
  収入を補うことができます。

▢ 長生きを想定した場合は
  繰下げ受給が有利

  65歳以降の家計を考えたときに、
  公的年金以外の収入や貯蓄で
  生活することが可能であれば、
  繰下げ受給を検討します。
 
  年金額が割り増しされるため、
  長生きをした場合に
  総受給額が多くなります。

ただし、将来に関しては
何の保証もなく、
突然病気になったりといった
アクシデントの可能性も
少なからずあります。

また、繰上げおよび繰下げ受給の際の
メリット・デメリットなどもあります。

あくまでも、
ライフプラン形成のひとつの制度として
受け止めておいてください。

例えば、老齢基礎年金を
〇 通常通り65歳から受給した場合
〇 60歳まで繰上げて受給した場合
〇 70歳まで繰り下げて受給した場合

受け取ることのできる
年金総受給額の比較は、
計算式の基準となる金額などにより
左右されますが、

満額795,000円とした際の各計算式に当てはめた場合の年代別総額給付一覧

▢ 75歳までは
  60歳から繰上げ受給した場合の
  総受給額が最も多くなる

しかし、
▢ 76歳を超えると、
  通常どおり65歳から
  受給した場合の総受給額が上回る

さらに、
▢ 81歳を超えて長生きした場合は、
  70歳から繰下げ受給した場合の
  総受給額が最も大きくなる

ことがわかります。

在職老齢年金

▢ 在職老齢年金
  60歳以降も厚生年金に加入して、
  働きながら老齢厚生年金を
  受け取ることができる制度のこと。

在職老齢年金は、
給与と年金額の合計額に応じて、
年金額の全部または一部が減額されます。
 
在職老齢年金には、
働いている間に受け取れる年金額が
減るというマイナス面があります。

しかし、
一方で厚生年金に
加入し続けることになるため、
その分が退職後の年金額に
プラスされることになります。

また、
扶養している配偶者が
60歳未満であれば、
その配偶者は
第3号被保険者のままで
いることができるという
メリットもあります。

2022年4月から、
65歳以上で働きながら厚生年金に
加入している人は
毎年10月に年金額が
改定されるようになっています。

任意加入制度

年金の保険料を
納めていなかった期間などがあり、
60歳になっても
国民年金の保険料納付済み期間が
40年(480ヵ月)に満たない場合
は、
満額の老齢基礎年金はもらえません。

そのような人のために、
60歳以降も
国民年金に加入できる
任意加入制度があり、
加入した人を
任意加入被保険者といいます。

60歳から65歳になるまでの間、
通算の保険料納付済み期間が
480ヵ月になるまで
保険料を納めること
により、
65歳以降に受け取れる
年金額を増やすことができます。

任意加入制度を利用するための要件

▢ 国内に住所がある
  60歳以上65歳未満の人

▢ 海外に居住する
  20歳以上65歳未満の日本国籍のある人

▢ 厚生年金に加入していない人

▢ 老齢基礎年金を
  繰上げ受給していない人

年金額を増やすための
任意加入は65歳までですが、
国民年金を受給するための
最低加入期間(10年間)を
満たすまでの間で
最長70歳まで加入できます。

付加年金

▢ 付加年金
  国民年金の保険料に加えて
  月額400円の付加保険料
  納付することで、
  200円×納付月数の金額が、
  毎年の老齢基礎年金に
  上乗せされる制度。

例えば、
付加年金の保険料を10年間納付
400円×120ヵ月=48,000円した場合、
毎年受け取れる年金額に
200円×120ヵ月=24,000円が
上乗せされるので、
払い込んだ保険料は
2年間で元が取れます。

付加年金制度を利用できるのは、
第1号被保険者(20歳~59歳の期間)と、
65歳未満の任意加入被保険者です。

まとめ

年金は、老後の暮らしを支える
基礎となる非常に重要な制度です。

言うまでもなく、
高齢化社会において、
年金受給者の割合が増える一方で、
現役世代の人数が減少しているため、
年金制度の財政的な持続性
問題が生じています。

また、長寿の進展や生活費の上昇により、
受給者が十分な生活を維持するのに
不十分な場合があります。

近年の労働形態の多様化や
非正規雇用の増加により、
年金制度が従来の雇用形態に
基づいて設計されていることに対する
問題も生じています。

将来の年金給付を維持するためには、
制度の改革や財源の確保が
必要とされているのは
言うまでもないのです。

しかし、そのような中で、
租税負担率と社会保障負担率を合計した
国民負担率について、
令和5年度の見通しは
50%にも迫る
勢いを見せています。

生活に痛みを伴う『増税』でしか
解決策がもたらされていないのが
現状となっています。

いまからでも出来ることは、

▢ 将来必要なお金はどのくらいなのか

▢ 将来公的年金を中心とした
  『頼りになる』収入は
  いくらぐらいになる見込みなのか

情報を整理し、早い段階で整理しておくことです。
現在の生活の中のお金の流れを中心として、
将来のライフプランの設計をしていくことが、
【終活】の中心となることは間違いないです。

【終活】とは、【人生設計】です。
これまでの生活を振り返り、
将来少しでも困りごとが減るように
一緒に取り組んでいきましょう。


【おまけ】
今回は、公的な制度について
お話させていただきましたが、
個別に民間の年金プランにも
加入することができます。
(iDeCoなど)

民間年金制度は、
公的年金制度に比べて
柔軟性や選択肢が多く、
個人のニーズやライフスタイルに
合わせてカスタマイズできる
メリットがあります。

ただし、民間年金制度は
市場リスクや運用成績による
影響を受けることがあるため、
投資リスクや運用の注意が必要です。

もはや、現役世代への負担が
最高潮に達している今、
民間の年金制度への運用には
限界があるともいえますが、
もし民間の制度にも手を伸ばされる場合は、
しっかりとした調査をしていきましょう。

この点に関しましても、
別途ファイナンシャルプランナーを中心に
ご相談に応じることは可能です。
是非ご検討いただければと思います。




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