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#短歌物語/#1200字小説『子犬系信仰者』/【#青ブラ文学部】

山根あきら|妄想哲学者🙄さんの【青ブラ文学部企画】
 「短歌物語」に参加させていただきます

※詳細は本文後に記載

#1200字小説 5分半程度で読了可能超短編小説ですので、
ぜひご一読ください。

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『子犬系信仰者』


「『この味がいいね』と君が言ったから九月七日は酢豚記念日……お、字余りなし」
 上手く作れて上機嫌。彩り豊かな酢豚には、シンプルな白いお皿が合うだろう。

「意外だな」
 匂いにつられてゲーム機を置いた彼氏がキッチンに来て、バックハグされた。
「記念日とか気にするタイプなんだ」
「えーっと……」
「むしろ、毎日が記念日タイプ?」
「ううん、そうじゃなくて……」
「かわいいとこあるじゃん」

 相変わらず、人の話を聞けないな。
子犬系年下男子ゲットと喜んでいたのは、ほんの数ヶ月前。
既に、教養のなさや隠れオラオラ系なところに辟易し始めている。

「酢豚の助演男優賞は、パイナップルだよね」
 めったに参加しない飲み会で、声の主に釘付けになった。
「えー、ないわ」とか、「むしろパイナップルは入れないでほしい」など否定の声が上がる中、パイナップル擁護派は私達二人だけで、距離を近づけた。
私としては、パイナップルはどちらかといえば女性的に感じるので、助演女優賞説を推したけど。

 酢豚の好みは千差万別。甘酢あん派、黒酢あん派が二大宗派といえるだろう。
基本的に甘酢あんはケチャップベース、黒酢あんは鶏がらスープベースなことが多いけど、様々な組み合わせ、いわば宗派も枝分かれしている。
 具材もまた然り。酢豚というからには主役は豚肉なんだけど、私にとっては玉ねぎと同じくらいパイナップルが欠かせない。にんじんやピーマンは二の次。たけのこやしいたけが入れば豪華版といった印象だ。

 邪険にされがちなパイナップルだけど、自分にとっては重要で、好きなもの。
それって、恋人と付き合うことに似てないか。
彼と同棲を始めた時、周りの友達全員から反対された。
甘えん坊で頼りなくても、生活面でだらしないところがあっても、私だけが気づいている魅力があるんだって、豪語していた。……実際口にしたら、否定されるのは目に見えていたから、心の中でだけど。
子犬はしつければいいんだからって。
 
 でも……、味の感想もなしに酢豚を食べたり、私がお財布を出す度に「ありがとう」と言っていたのに近頃はノーリアクションだったり、前はよく褒めてくれたのに服装や髪型の変化を指摘してくれなくなったり……。
彼が私のことをにんじんやピーマンみたいに扱うようになったと感じ始めて。
 何よりも、『サラダ記念日』のオマージュさえ気づかない、会話のキャッチボールのできなさ加減がきつかった。
本や新聞を読めなんて言わないけど、教科書にも載っている現代短歌の代名詞くらい、常識だと思っていたから。バカっぽいのと馬鹿は違う。

 子犬系は“系”なだけで、立派な成犬……いや、成人だということが身に染みた。
吸収したいという意志がない相手に、与え続けるのも限界。
私がしたいのは育児じゃなく、恋愛だから。
きっと彼も悪くない。私が「子犬系年下彼氏を愛でる」という宗派に入信できなかっただけ。

子犬なら
成長過程
見守れど
伸びしろ見えぬ
ヒモ解き放つ


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文字数:1200字(空白・改行を除く文字数)【文末の自作短歌:31字含む】
※自作の短歌は、文末に太字で掲載しているもの一首のみです。
 冒頭の俵万智先生の『サラダ記念日』のオマージュは、課題の
 「短歌物語」の一首に含みません。
 主人公の台詞として、お楽しみください。

えー、普段短歌作らないので、間違っているかもしれません!
そもそも正解がわからない……。
今回は習作ということで。

山根あきら|妄想哲学者🙄さんの【青ブラ文学部企画】に
 参加させていただきたいと思います!
 課題:短歌物語 で創作してみました。
 詳細は、下の記事をご覧ください。↓


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想田翠/140字小説・短編小説 @shitatamerusoda

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 #2700字小説(10分程度で読了可能) ↓ ぜひご一読ください。

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