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篠村友輝哉/YukiyaShinomura
2022年8月29日 17:45
(前編はこちら)──現代的な表現をいかにして伝えるか向井 美春ちゃんの話に、「楽譜からの逸脱が昨今の流行り」というのがあったけれど、それについてもう少し具体的に聴かせてもらってもいいかな? 小倉 例えば、オーケストラで「そこそんなテンポでいく?」「音楽的にそんな展開ありえないでしょ」というような指示を出す指揮者が最近多いと周りから聞いていて。でもそれはさっき話したように難しいところで、
2022年8月29日 17:41
──理想の演奏篠村 これまでのこの企画での自分の発言を振り返ってみると、何度か繰り返し話していることがいくつかあることに気が付きました。そのひとつに、演奏を「再現芸術」と呼ぶことに対する違和感がありました。何か「再現」という言葉が、演奏家の仕事の本質を表していないんじゃないかという感じをずっと抱いています。僕たちは「楽譜通りに弾く」ことを教えられてきていますし、もちろん、それはクラシックの演奏
2021年9月26日 14:27
(前編はこちら)──音楽の「謎」濱島 少しテーマからは逸れるんだけれど、古典であれ現代であれ、作品のこの部分がどうしても腑に落ちないということがあったとして、その疑念を払拭できないままステージに立たなければいけないことってあるよね。でも、演奏家には何らかの形でそれを納得させなきゃいけないっていう信念があると思うのだけど、お二人はどんな風にそこをクリアしていますか?山本 それは本当によくあっ
2021年9月26日 14:24
前回に引き続き、過去に対談していただいた方の再登場を中心とした鼎談回をお届けします。今回は、第6回の濱島祐貴さん(二胡、作曲)と、第8回の山本一輝さん(ヴィオラ)をお招きいたしました。濱島さんと山本さんは大変親しい間柄で、音楽家としての共演も多いこともあり、この鼎談シリーズを思いついた頃からこのメンバーでお話できたらと考えていました(それぞれのご紹介は、お二人のお名前をクリックしていただくとご覧
2021年7月19日 17:39
(前編はこちら)──「譲れないもの」、人は誰もが「表現者」宮﨑 ところで、ピアノマン(篠村のニックネーム)は外的要因に悪い意味で影響されることってあるの? 思ったこと言えなかったなとか。 篠村 人からどう見えているかはわからないけど、もちろん自分の中ではいろいろあるよ(笑)。ただ、いざ表現するとか重要な局面になったら、ここは譲れないという点は妥協しない。というか、できないんだよね(笑)。必
2021年7月19日 17:37
過去の「音楽人のことば」で対談してくださった方の再登場を軸にしたシリーズ内鼎談企画、今回は第9回のゲストだったマリンビストでモデルの野木青依さんと、本企画初のクラシック音楽家でないゲスト、アートマネージャーでシンガーソングライターの宮﨑有里さんをお招きいたしました(野木さんのご紹介はこちらの第9回記事冒頭をご覧ください)。 宮﨑さんと私は高校の同級生で、「変わり者」と目されていた私にも親しくして
2021年4月18日 13:20
ピアノ弾き同士での対談は少し久しぶりになりました。第12回のゲストは比嘉洸太さんです。比嘉さんは、私が桐朋学園の修士課程で室内楽を師事した川村文雄先生の門下生なのですが、在籍中に出演した川村先生のプロデュースする演奏会に比嘉さんも出演されていて、その際に初めてお会いしました。そのときは、楽屋でのちょっとした会話のみで、その後も結局、修士課程在籍中はすれ違う際にあいさつをする程度で終わってしまいま
2020年11月12日 17:02
(前編はこちら)ーー演奏家とモデルの共通点、エンタメ性と芸術性の両立篠村 演奏以外の活動を始めたことで価値観に変化などはありましたか?野木 いまは音楽活動とモデルの活動が両輪で、あとはラジオのMCを一年やったり、基本的にお話があればどんなことでも、「自分はマリンバ奏者なので…」とは言わずにやっているのだけど、モデルは、昨年の5月に、働いていた銭湯の関係で知り合った人から、イベントのビジュア
2020年11月11日 22:29
今回のゲストは、マリンビストでモデルの野木青依さんです。 野木さんとは桐朋学園大学での同級生でしたが、在学中はあいさつを交わす程度の関係に終わってしまいました。そのあとも私の演奏会に来てくださったり、SNS上でちょっとしたやり取りをしたりということはありましたが、ゆっくりお話しする機会がないままでした。 野木さんは卒業以降、マリンバの演奏や企画以外にも様々なお仕事を手掛けられていて、また演奏
2020年9月15日 17:08
(前編はこちら)ーーその作品をなぜ自分が弾くのか篠村 時代で言ったら、どの時代の作品に一番共感しますか?山本 共感ということで言えば、自分に近い時代の作品ですね。あと邦人の作品にはすっと入れるような感じがあります。篠村 作曲家にもよると思うけれど、どのあたりに共感しますか?山本 僕は準備の段階で、たぶん(結果的には)意味のないこととかも考えながらいろいろやっていると思うんですが、割
2020年9月14日 17:02
前回に引き続き、今回も初めましての方との対談となりました。ヴィオリストの山本一輝さんです。 山本さんとは面識こそありませんでしたが、この対談企画の第6回のゲスト、濱島祐貴さんから時々彼の話を聴いていましたので、前々からお話をしてみたいと思っていました。今回お願いしようと思ったのも、濱島さんのYouTubeで彼の演奏とお話を聴いたことがきっかけです。前回の五十嵐沙織さん同様、山本さんも快く打診に
2020年7月23日 16:57
(前編はこちら)ーー音楽家であることは自分のすべてではない篠村 僕たちはみんな固有名があるわけですけど、それって説明しきれないものですよね。篠村友輝哉はピアノを弾いていて文章を書いていて読書が好きで…といくら説明してもしきれない。逆に言うと、そのなかの何かを抜いたとしても、自分が自分でなくなるわけではない。それはつまり、自分のアイデンティティというものが、一つのものに依存しているということでは
2020年7月22日 17:06
第7回は、今企画で初めて、はじめましての方との対談です。ピアニストの五十嵐沙織さんです。 今回五十嵐さんに対談をお願いしようと思ったのは、先月の22日に、第1回の寺内詩織さんがオンラインコンサートに出演された際に共演されていたのが、寺内さんの盟友である五十嵐さんで、そこでの流麗で、人間的な素直な演奏に惹かれたことが始まりでした(その演奏会にも触れているエッセイはこちら)。それから、五十嵐さんの
2020年6月18日 21:12
(前編はこちら)ーー「わからないもの」を丁寧に扱い、どう届けるか濱島 目に見えないものとか言葉にできないものの面白さを伝えていきたい。そういうものに出会った時、予期せぬことが自分のなかで起きるというか、こういう自分っていたんだって気づくことが面白い。音楽の世界にずっといたり、音楽についてずっと考えていたりすると、煮詰まってくるときがあって、見えているものも見えないものも見えなくなる。そういうと