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花粉症考 -生と隔たりその源-

 大学生前後の頃合い、長く学問を探求できないかとおもい、西欧の大学などは学費が免除されるところが多いので行ってみたらおもしろそうだなとよく考えたが、日本国内でも同様、いやそれ以上に面倒を見てくれる松下政経塾を今朝見つけた。学問をしたくとも資金に困っている人は申し出ることをお勧めする。

 私の母は奄美大島育ちで中学卒業の折、誠実勤勉なことから担任の先生に心底我が子のように愛されていた。経済的に貧しい家の大黒柱であり進学を反対していた祖父に対し、わざわざ家まで足を運んでいただき、看護学校への推薦を頭を下げて願い出たりいろいろと工面してくれたという。松下政経塾の入塾募集要項をみると、そんな他愛ある無名の士の話を思い出した。
4/21記



 勘違いされてる方も多いとおもう病の話。なぜこの時期になると日本人の半数は花粉症でツライ時期となるのか。

 因子は数多あるが問題の根源には自然界の基に成り立つ社会的人間として、自然体、簡潔には野性から離れた生活をし過ぎていることにある。もう少し細かくいうと身体面の力、精神面の力が低下していることにある。自助の範囲で少しばかり提言する。


物質面 -外的環境からの影響

マスクについて

 マスクをすると症状は軽減される。防ぐ効果があることに相違ないが、単純に呼気が減り人体の酸素濃度も低下している。身体でもマスクでも家でも等しく、ある空間内における自然の空気と自然から離れた空気の比重が大きく偏ると不快感や病に発展する。端的に云えば空間内における空気総量を100/100と仮定すると、自然から離れた空気割合が30/100となると自然の空気は残りの70/100となる。
 身体は口と鼻というフィルターを元から有しているが、マスクはもう一段と人工的に口と鼻にフィルターをかけるので、呼吸・循環器系に問題が起きてもおかしくない。冬は何重にも厚着をするので細胞単位でみれば通気性が悪く、においが服の内に籠もる。細胞は口や鼻、耳と特化した五官のみで生命活動が為されているわけではなく、細胞単位でも生命活動がされており、人間はそれらの複合体だ。細胞単位では口や鼻に比べて吸排気能力は乏しいが無いわけではない。卵子から身体が構成されていくように細胞は機能特化する前の大元なので、特化した器官よりは微々たるものだが細胞単位で音を聞くことや光を見ることも可能だ。

喫煙者視点
 私は愛煙家であり自然の空気を好むので空気の良し悪しは特に実感するが、例えば家の換気が一日一回の場合は喫煙者であっても部屋内の空気が悪い。駅前の仕切られた屋外喫煙所内では風による換気能力に乏しく、複数人の喫煙者が集まった場合は他者の吸う煙草のにおいと味が混じり、喫煙者各人でさえ煙草の美味しさ、満喫感が減衰する。アルコールであっても複数人が大酒を呑んだ乗車時では、車内の換気がわるいとアルコールチェッカーを車内空間の中心で計測しても反応するだろうことと同じで、厳密には個人差があるが、?/100のある閾値を超えた際に問題となる。

冷暖房やガスストーブ
 私が小学生のとき、冬はやかんを乗せたガスストーブを点けて教室内を温めていたが、一定時間ごとに換気時間を設けられた。においで気付くこともなく一酸化炭素中毒におかされる危険性が高いことに由る。
 冷暖房においては、屋内の冷暖房より車の冷暖房の方が弊害を体感しやすいだろう。冷暖房は空気の圧縮機(コンプレッサー)によって空気密度を上げている為、内気循環では空間の空気が圧縮されて分子といったマクロ的物質でさえ凝縮されてゆくので、においに敏感な者は換気の重要性を知る。

処方薬という対症療法について

 投薬するとその症状は軽減されるが反面体力も落ちる。副作用のない薬があるとすれば、自然光・澄んだ空気・住む地域に根差した土から採れた草木植物・真水だろうが元を辿ればお茶や珈琲、煙草、酒も適量であれば薬だ。薬といえど人によっては却って悪化することもある。中医学では昔から、人は四気質に分類されてそれぞれに合った薬がある。一般的な薬は薬局やコンビニで誰でも処方箋要らずで容易に手に入るが、医者といった専門家と回数を重ねて診療し、処方してもらわないと根源的治療と逆の道へ歩むことになる。
 処方薬は局所的対症療法であり天秤であって、ヒトは0か1かとシンプルな構造ではないので、適時修正し大局的に広く長い目で病と付き合わなければ、その場凌ぎを繰り返す自転車操業のようなことになる。

まず基本として

 東洋医学者や中医学者あたり、先人たちが謂わんとすることだが、なるべく年中風通しを良くすることが最善だ。身体もガラスのコップと同様に急に熱くしたり冷ましたりすると壊れる。木や金属でも膨張したり縮まったりしてバランスをとる。これは一日単位でも、一月単位でも、一年単位でも同じことである。一日単位でバランスをとったとしても一月単位では弊害がでてくる。

 先人の書でもよく、季節の変わり目は体調を崩しやすいから身体を温めなさいと云う。エアコンやヒーターでは部屋や肌が温まるだけで体の芯は温もらず、外気との寒暖差はまた一段と広がる。断熱性を気に懸けたりマスクをつけても同じこと。寒暖差アレルギーが自然との調和による寒暖差を埋めることで治まるように、花粉症とよばれるものには生活空間の外気と内気という空気の差を年単位といった長い目で縮めなければならない。


精神

寒暖

 文化人類学や社会心理学あたりで云われそうなことだが、国民性に自然環境の影響が大きくあらわれる。北欧や北海道であれば年中日照時間が少なく寒いため、鬱など精神的に参りやすい。フィリピンや沖縄などの熱帯は、その地域では日照時間が長く暑いことから大らかに、もしくは楽観的になりやすい。
 これは地域柄だけではなく職業柄や昼夜の生活リズムでも同様だ。事務所勤務や夜間の仕事をする者、建設業や農家といった人間性の違い、精神への影響は大きい。

社会文化

 現代日本人は人それぞれ、なにか根本からズレを感じていることはないだろうか。この島国の文化は、というよりひろく観れば人は皆、先人や歴史など過去によって今現在が支えられている。自衛や進歩のために西洋文化の流入をして暦や時間などを取り入れたはいいものの、この一世紀二世紀で変化を急ぎ過ぎた。急速に地球規模で統一し規定されていくことで、文化・社会・時間・衣食住などが日本文化との差がおおきく開き、思考に一歩二歩遅れて精神や身体がついてくる。
 基本的に成長目まぐるしい生気溢れる若者ほど順応性は高く、時代の変化に沿うことは可能だが、それは社会が求める思考力と外見的身体の成長だけが先行きしているのであって、精神の発達や臓器などはついてきていない。精神の成熟や自然に根差した身体動作というものは、昔の人たちの身のこなしや精神力などから、全身全霊または心身一致により可能となる。

忙しさ

 忙の漢字は心を立て、亡くなることにある。つうじて心無いことや心ここに在らずあたりだが、呆ける時間が足りていない。変化しないことと進歩後退は力の方向性が違うだけであって、遊ぶことに全力な者はその氣力の方向を変えればそのまま仕事にも発揮することができる。シナプスを繋ぐ行為、縁を紡ぐ行為、個人と個人が集まって小さな社会とすることと同じだ。

 現代日本人は、朝飯前から仕事を始めても日暮れに家に着き、一日を感謝して明日に希望を見出すほどの余裕がない。あちらこちら余裕のない人が多くなるほど社会全体へ相乗的に忙しい社会となる。三次産業四次産業と増すにつれ、すき間産業性が高くなるので、個人の空き時間はすき間産業によって埋められることとなる。その社会を生み出しているのは自らの選択の結果であって、各自がその社会を変えるに先ずは自ら身を以て処することにある。その結果、途中経過として個人から家族や友人、社会へとバタフライ効果のように、湖に一石投じるように波紋が広がる。
 各個人の問題が個人の問題を超えたときに主体性は個人から社会へ移って社会の問題となり、各社会問題が閾値を超えると世界的、または自然災害などへ通ずる。台風と同じく逆さまの円錐形で、負の面を顕している。

結び

 以上のことから春は内に籠もったものが自然界に順じて外に出るとき。寒さから心身を固にした状態から、各自陽気によって融解し芽吹く。見過ごされがちなことは冬から春への季節の移ろいにあたり、心身ともに季節差がおおきいことにあり、冬にため込まれた一切が春の陽気に誘われ融解してゆくことにある。一日を大事にしない者は一月を大事にしないことに通じ、一月を大事にしないことは一年を大事にしないことに通じる。植物の芽吹きにせよ休眠から目を覚ます動物にせよ、複雑な人間社会にせよ同様だ。

 ただこれらはひとつの具体的な対処法でしかなく、もう少し努力するなら知覚の総負荷をそれぞれ自らの意により操作することが必要となる。たとえば心的負荷は身体負荷に通じるし、過食やジュースの飲みすぎなども臓器への負荷となり、人工光源のスクリーンによる目の疲れからも目をとおして全身の負荷となり精神への負荷となる。これらを繰り返すほど、総合的に負荷をかけるほど身体は弱り、病というレッテルで表徴となる。一日の生命力に対して疲れたら休むといった按配をとることが健康への架け橋となる。

 その場凌ぎで薬や物に頼るのはいいが、頼りきると物に振り回されてあちこち心も体もボロボロになってくる。なので風土や季節に応じて心身ともになるべく素体、自然体を心がければ間違いない。すべて自意にある。




2024/2/某日 タイトル決め
2024/4/12 3700字程度 約3時間
2024/4/20 推敲


2か月かかるも一先ず書き終えたので、こちらもどうぞ
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