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雑記

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#哲学

味覚と記憶あるいは恋愛とトラウマ

味覚と記憶あるいは恋愛とトラウマ

2007年のピクサー映画『レミーのおいしいレストラン』には味覚が幼少期の記憶を呼び起こすシーンがある。ラタトゥイユを口に入れたとたん、幼い日の出来事や母親が作ってくれた料理の味、暖かな家庭の雰囲気が過去の記憶として呼び起こされる。

記憶という言葉はさまざまな使い方がされる。多くは個人の過去の経験を現在に呼び起こす事を意味するが、大きな災害や事件など、社会全体が共有する非人称的な記憶も存在する。

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なぜeスポーツは批判されるのか(解説)

なぜeスポーツは批判されるのか(解説)

さて、皆さんはeスポーツはお好きですか?最近ではゲームに関するテレビ番組もありますし、またネットのストリーミングではゲーム実況は最も多い配信コンテンツになっています。

以下、この記事ではeスポーツという言葉ををオンライン上の同一のプラットフォームに複数のプレイヤーが参加できるタイプのゲームを指すことにします。

そのようなeスポーツに対しては様々な批判が見受けられます。そうした批判は、スポーツと

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なぜアイデンティティの苦しみから逃れられないのか〜依存論〜

なぜアイデンティティの苦しみから逃れられないのか〜依存論〜

現代を生きる人間にとっての苦しさの一つに「自己」についての苦しさがあります。自己をめぐっては「自己肯定」や「アイデンティティ」、「理想の自分」などさまざまな言葉が用いられますが、そのような悩みはそもそもなぜ存在するのでしょうか。

このエッセイでは哲学から理由を説明し、考えられる解決策を提示してみようと思います。

自分探しという言葉があります。旅などをして、さまざまな人との出会いから自己について

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大人になれない世界で

大人になれない世界で

1994年、アメリカで『フレンズ』というTVシリーズがスタートした。『フレンズ』では、社会に出たけれど、どこか大人になりきれない20代〜30代の登場人物たちの生活や恋愛が中心に描かれていた。

かつては、アメリカにも日本にも「大人」がいた。働き、結婚し、家庭を持ち、決して全てに満足しているわけではないが、それでもなんとか生きている大人たち。私が子供の頃にも、まだ大人は居たように記憶している。

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