見出し画像

12.18,19 ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2020 酔杯2~The Song of Apple~に思う配信対バンの意義

10月に収録した対バンライブを編集し直し、12月に配信する試み。それだけではただのライブ映像上映会ではないかという話なのだが、アジカンメンバー4人がトークする模様をアクト間に挟みながら進行していく構成が今回で言う"オンラインライブならでは"の点なのだろう。また、対バンという点も重要だ。今までも若手アーティストを積極的にフックアップしてきた立場として、対バンツアーとして配信を成立させることが今回の最重要項目だったのではないか。単独の配信でもおかしくない料金の中で持ち時間をフルで聴かせるその姿勢はやはりシーンのキュレーターとしての役割意識も滲んでいると思う、かなり幅広いバンド/アーティストが揃ったが、しっかりとアジカンが接続面を持ち、ガイドする。こういう丁寧な形の"対バン"は実に新鮮だ。

DAY1は8月の配信ツアーを全通した羊文学(モエカさんが凶悪なギターを弾きながらめっちゃ笑顔なの超良い)を除いてはほぼお初にお目にかかるアーティストばかり。東郷清丸はバンドセットだとあんな華やかでワクワクする音を出すのだなぁと感激。リズムがゴキゲン。NOT WONK加藤修一のソロはまさかピアノ弾き語りで始まるとは思わなかった。バンドとは一転した、深い残響の中に誘うような音色が美しかった。Jurasic Boysは今回の対バンでは最もアジカンイズムに通ずるところあるかも。パワフルな演奏と、いぶし銀なボーカルがパラレル00年代ギターロックといった佇まいでとてもイケていた。

DAY2はライブが恋しくなるバンドが多かった。やはり突然少年のフルエナジーはどうしたって堪らない気分。「火ヲ灯ス」のアウトロで「新しい世界」をぶち込んだの、適切すぎた。the chef cooks meも、今のモードを早く生で観たいなぁと強く思う。あの多幸感は誰にも奪えない。君島大空は一刻も早く現場で目撃せねば、と急く気持ちになるライブ。バカテク集団の演奏を束ねてるのか、解してるのか、みたいな凄く繊細なグルーヴの中を漂うような歌声がひらひらと舞っていて、瞬間芸術みたいだった。YeYeは、終始脱力系なのに妙に神聖な気分にもなる不思議なライブ。「新世紀のラブソング」を解体して、あんなゆるっとメロウな曲に変換できるの彼女しかいないよな。

さて両日のメインである我らがアジカン。DAY1はいきなりフジロック中継ぶりの畳野彩加(Homecomings)客演による「UCLA」。この曲で始まるライブ、だいたい最高になる。「橙」なんてレア曲(7年ぶりの披露、、!)も飛び出したけど、10年前のこの曲に刻まれた<どうか君よ笑って>がこれほど切に響く年もないよなぁ、と思いじんとなる。他にも「遥か彼方」~「羅針盤」という、古より伝わりし繋ぎにはブチあがったし、更にそこで「マジックディスク」「Easter/復活祭」が続く流れはとても熱い。アジカン史の芯を最短距離でなぞるかのような一連であった。アンコールでの「十二進法の夕景」はライブでまだ聞いたことないので嫉妬度数がブチ上がったけど、最後に急遽やったであろう「今を生きて」の眩しさで全てが幸福感へと変わった。

DAY2は「センスレス」と「ワールドアパート」がオープニングを飾る。断絶がテーマの『ファンクラブ』曲をどう扱うかは2020年の命題だったと思うが<想像の世界で君も全部なくして分かったよ>という絶望の先に「夜のコール」が鳴るのだから救いになる。自らの持ち曲の中で格別のストーリーを再構築する物語力の高さに相変わらず感服。この日は、塩塚モエカ(羊文学)とともに「触れたい 確かめたい」を披露。塩塚さんのハンドマイク歌唱の揺れ方、かなり個性的でこりゃ引っ張りだこになるなぁ、と思った。終盤はメッセージ性の強い曲が並ぶ。「マーチングバンド」「今を生きて」といった震災以降に綴られた言葉が強く響き渡る。ラスト、「解放区」は言葉こそ出せないが、静かな叫びが聞こえた気がする。いつかまたあの場所で歌いたい。


#コンテンツ会議 #コラム #エッセイ #音楽 #邦楽 #日記 #備忘録 #ライブ #ライブ日記 #ライブレポート #イベントレポ #音楽コラム #ロック #邦ロック #バンド #ロックバンド #アジカン #JurassicBoys #東郷清丸 #加藤修平 #羊文学 #YeYe #突然少年 #君島大空 #thechefcooksme #シンガー #JPOP

この記事が参加している募集

イベントレポ

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?