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5.29 森、道、市場2022@蒲郡ラグーナビーチ&ラグナシア

そういえば会場は海と遊園地が中心なのになぜ森、道、市場というイベント名なのだろうと思い調べたら、元々は2011年から山奥で開催されていた小さなイベントがルーツなのだそう。最初は市場が集まるマルシェとして始まり、2012年からライブが始まった、と。地元福岡のSunset Liveも元はカフェから始まったイベントだし、あながちそういう出自のイベントこそ、個性的なものになるのかも!と思ったり。2日目も、素晴らしかった。感想をざざっと。


10:35- GRASS STAGE
BBHF

この日のトッパーは初見のBBHF。尾崎兄弟とDAIKIを観るのはGalileo Galileiの2015年ツアー以来なので6年半ぶりとなる。ゆったりと世界観を立ち上げつつも新作EPからの「サラブレッド」のザクザク刻むビートが良い起爆剤に。初見なのでどの曲も新鮮だけど、シンセポップのフレイバー漂う「僕らの生活」や、セクシャルなリリックが切実に響く「Torch」など生活の先にある詩情をくれる曲に特に胸打たれる。彼らの音が鳴るとNetflixの青春映画の光景が広がるようで爽やかな気分になる。終盤は新たな名曲「バックファイア」と、まるでエンドロールのような「なにもしらない」。晴天を撃ち抜いていく尾崎雄貴の歌声は逞しく、GG時代にはなかった貫禄に溢れていた。

<setlist>
1.月の靴
2.流氷
3.サラブレッド
4.花のように
5.僕らの生活
6.バック
7.Torch
8.黄金
9.バックファイア
10.なにもしらない


メシはこの日も当然美味しい。いかにもピザを上手に焼きそうなご主人が焼くスモークサーモンとクリームチーズのピザ。昼過ぎには売り切れてた。


11:25- SAND STAGE
ゆうらん船

IMAIKE GO NOWでは半分しか観れなかったので念願の45分セット。海に面した開放的なステージにぴったりの軽快な2曲で幕を開け、ハコで観るのと随分違う!と思っていたけど、3曲目から一転し新アルバム『MY REVOLUTION』のモードに。ここからが凄まじかった。芳醇なサイケデリアと無機質な電子音が絡み合い、内村イタルの時空を歪めそうなノスタルジックな歌声も相まってここがどこかわからなくなるほどの没入感。「Flag」から「Parachute」の流れは既にドープなアレンジが施されていて息を飲んだ。一転、健やかな「サブマリン」が大団円を演出しかけたがラストは不可思議な展開が心をうねらせえる「PIANO」。何筋縄にもいかないグルーヴの螺旋、圧巻だった。

<setlist>
1.山
2.夢見てる
3.Bridge
4.Waiting for the sun
5.Flag
6.Parachute
7.サブマリン
8.PIANO


この日は海沿いのステージを行き来する日。この海景色、凄まじく絶景であった。もうほとんど真夏のような日で気が遠くなりそうだった。


12:15- GRASS STAGE
SPECIAL OTHERS

森道市場はいい意味でトリッキーなラインナップも多いので物珍しさや意外性も醍醐味なのだけど、そんな中でスペアザという存在は「これぞ日本のフェス!」という実感をくれる。長尺の新曲の後、空気を一気に解きほぐす「Good Morning」の温かみよ!インストバンドなのにものすごく口ずさみたくなるあのサビも最高に気持ち良い。後ろのほうで座りながらゆったり観ていたのだけど、観客の盛り上がりっぷりでハッピーな気分になれるのもスペアザの凄さだなぁと。わかりやすくみんなハイになってしまう「Aims」の盤石さ、そしてしとやかに気分をあげていく「WAVES」に至ったラストの多幸感は絶品だった。のんびり見ても、小躍りしてもいいって最強だろう。

<setlist>
1.New World
2.Good Morning
3.Good Song
4.Spark joy
5.Aims
6.WAVE


福岡にいる時からずっと気になっていた岡崎のカフェ、ぞうめし屋の肉味噌メシ。肉みそをこれでもかと活かす米とキムチの配分。甘辛って正義だ。


13:55- GRASS STAGE
ストレイテナー 

このフェスはゼロ年代のギターロックバンドもいつも呼んでくれていて信頼できるのだが本年はテナーがその座に。エモーショナルな疾走感、そして近年の音楽性の中心にあるメロディアスな歌モノを並列に扱い、そのどちらもが歓迎を受けている特別さが今のテナーにはある。2013年のミニアルバム収録の「BRILLIANT DREAMER」はレアキャラすぎて!でも瞬発的に沁み渡っていくからこのバンドのメロディってとてつもない。ジャジーとポップがかわるがわる現れ出る「Parody」なども挟みつつ、ラストは再びギターロックのど真ん中に投げ込む3連を。《混ざり合う"水平線"》と歌詞を変えたメロストから、当然のように至高な「シーグラス」。これぞまさにアンセムだった。

<setlist> 
1.REMINDER
2.叫ぶ星
3.Braver
4.さよならだけがおしえてくれた
5.BRILLIANT DREAMER
6.彩雲
7.Parody
8.宇宙の夜 二人の朝
9.Melodic Storm
10.シーグラス


このフェスはリファレンスとして、アメリカの砂漠で行われる奇祭「バーニングマン」があるのだという。確かにこの広大さと自由な空気感は、「クレイジージャーニー」で観たその祭りの光景ととても近い気がする!


14:45- SAND STAGE
清竜人

ちょび髭に白シャツ、そして青いジーンズという時代なき恰好で登場した青年。10年くらい曲は聴いてるけどライブは初めて。アイドル活動や歌謡曲路線などあらゆることをやってる人なのでどんなモードでライブをするの?と思っていたけど、まさかのシンプルな弾き語り。デビュー曲「Morning Sun」のみアコギ、それ以降は全てピアノ。華麗な手さばきとハスキーでパワフルな歌唱。全てのプロジェクトの始まりはこの最小単位からなのだ、と強く思う。「痛いよ」を聴きながら、もし寄り道しなければ藤井風のような路線もあったのかもと思った。最後にやった「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」は大好きな1曲だったので噛み締めるように聴き惚れていた。

<setlist>
1.Morning Sun
2.抱きしめたって、近過ぎて
3.フェアウェル・キス
4.コンサートホール
5.痛いよ
6.All My Life
7.ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング


昼に引き続きぞうめし屋のドーナツ。フェスでドーナツを食うのはマジで今までなかったな。美味ければなんでもアリなフード、本当に素晴らしい。


15:35- GRASS STAGE
GRAPEVINE

6年ぶりに観たバイン。景気良く「Alright」で始めると、2曲目にいきなり「光について」を持ってくる大盤振る舞い。2000万枚売り上げた、と田中和将(Vo/Gt)が嘯いていたが、それぐらいの強度だよなよ、と。海にぴったりな曲を、と季節的にも完璧な「風待ち」でうっとりしてしまった。そんなキャッチーな手札を切った後、ここから一気にドープに持っていくのがこのバンドの持ち味だ。たっぷりとした間で蕩けさせる「ねずみ浄土」、ダークで耽美な「Gifted」の流れが絶品。その後は「FLY」で大団円、かと思ったら清廉なピアノが鳴り「真昼の子供たち」で昇天。美しかった。どんな音楽性もなぜか束になるとしっくりくる、不思議な円熟味があった。

<setlist>
1.Allright
2.光について
3.風待ち
4.阿
5.ねずみ浄土
6.Gifted
7.FLY
8.真昼の子供たち


1日、海エリアにいると遊園地の存在を忘れてしまう。まるで2つの別のフェスが並行して開催されているような、そんな気持ちにもなってくるのだ。


17:15- GRASS STAGE
NUMBER GIRL

ナンバーガールのリハを観る状況がレアな光景すぎてもう興奮してしまう。「水色革命」で瑞々しく音を調整した後、捌けずに4人ともステージに留まり、時間が来ると向井秀徳(Vo/Gt)がスタンバイ!と叫んで「タッチ」が始まる。格好良すぎる!常になんだか笑っちゃう感じと、物凄い気迫が同居しているバンドだけどこの日もMCではしっかり気を抜けさせつつ、鋭利な爆音で一気にヒリっとさせてくる。ナンバガのフェスセトリというのも初めて観たが、「delayed brain」が良い起伏を生み「CHIBICCOさん」で徐々に昂らせる流れなど達者な構成だった。後半は夏めく季節にぴったりなきゅんとする楽曲を並べ、最後は大絶叫でエンド。バンドが仕上がり続けてる。

<setlist> 
リハ:水色革命
1.タッチ
2.ZEGEN VS UNDERCOVER
3.TATTOOあり
4.delayed brain
5.CIBICCOさん
6.透明少女
7.日常に生きる少女
8.OMOIDE IN MY HEAD
9.I don't know



昨日回れなかったエリアにもたくさんの市場があった。区域によって何となく傾向も違う気がする。



18:35- 遊園地STAGE
七尾旅人

パーカッション、キーボード、コントラバス、ギターというメンバーを引き連れたバンドセットでフェスではとてもレア。バンドアレンジによってシリアスなメッセージに演出が加わりより迫真したものに。「Rollin’Rollin’」はジャジーに化け、「サーカスナイト」は終盤に終わりなきセッションタイムの突入するなど、やはり彼は即興演奏にこそ価値を見出しているのだろう。バンド勢は皆手練だが特にラブシャで折坂悠太のメンバーとして観たパーカスの宮坂遼太郎は今後も注目すべき存在だろう。血湧き肉踊るリズムを生み出してくる。最後はメンバーが組んでいる秘密基地というバンドに七尾が参加する形で即興演奏。無茶苦茶アバンギャルドで前衛的。刺激的だった。

<setlist>
1.星に願いを
2.入管の歌
3.airplane
4.if you just smile
5.Rollin’ Rollin’
6.サーカスナイト
7.Dog and bread
8.即興(秘密基地 feat.七尾旅人)


tofubeatsでシメよう、と思ったのだけど入場規制&ここには書きづらいようなすごいことになってたんで笑、衛生観念が急速に心に芽生えて早々と去りました。「水星」エンドとはいかなかったけれど、帰り道にエゴラッピンの「サニーサイドメロディー」が聴こえてきてすごく宴の終わりを感じられた。


本当に素晴らしいフェスで、メンツや総合的に観ても歴代で1番面白かったと思う。好きな音楽を1度に色々聴きたい僕にとっては至上のラインナップだし、ありあまる選択肢を持つ市場の充実ぶりは祝祭と暮らし、つまりハレとケが隣り合わせにあるというこのイベントの特別さを象徴していた。またいつか必ず、この地を踏みしめたいと強く思った。


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