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読んで頂きたいもの

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自分の書いたものの中で特に読んでいただきたいものたちです。
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記事一覧

1分で読める短編:スター

1分で読める短編:スター

 ウチ、オトンもオカンも動物好きじゃなかったからちっちゃい頃からペットとかあんまりちゃんと飼ったことないねんな。でもな、小学校の二年か三年かぐらいの頃やったかなあ、夏休みのプール開きからの帰り道でセミ見つけて、そのまま持って帰ったことあんねん。

 手づかみで羽のとこ抑えてそのまま持って帰ってきたセミを、庭の物置から引っ張り出してきたちっちゃいカゴみたいなんに入れて、「スター」って名前つけてん。そ

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1分で読める短編:月の秘密

1分で読める短編:月の秘密

 私が生まれる少し前に一度だけ行ったきりで、それ以来人間は月に行こうとするのをやめてしまった。なんでも、「わざわざ行ってもそこに何もないことがわかってしまったから」だそうだ。

 そんな風に扱われるなんて、あんまりだ。月も、誰からも目指されずにぼんやりと浮かんでいるくらいなら、小さなゴムボールくらいの大きさにちぢこまって私の部屋に遊びに来ればいいのに。

 そうしたら、月といろんなことをしてみたい

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3分で読める短編:熱帯夜

3分で読める短編:熱帯夜

 飲み物でも買いにコンビニに行こうとアパルトのドアを開けた瞬間、いわゆる夏の匂いに包み込まれて私は思わずイヤホンを外した。

 私にとっての夏の匂いとは、すなわち小学校のプールの匂いだった。今年引っ越してきたこのアパルトの目の前には小学校がある。今まで毎朝毎晩仕事に行く時と帰ってくる時はこの小学校の前を通っているはずだが、プールの匂いを感じたのは始めてだった。

 なんだか懐かしい気持ちになって、

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1分で読める短編:魚の幻

1分で読める短編:魚の幻

 もうすぐ世界が終わってしまうのは仕方のないことだ。どうせみんな消えてしまうのなら、せめて最後にあたたかい幻を見たい。

 田舎道、遠くに見える電波塔を指差して「東京タワー!」と笑う子どものような。昔読み聞かせてもらった絵本に、大人になってから偶然出会った時のような。

 そんなことを考えているうち、気づけば私は砂浜に居た。周りには、同じように日の出を待っているであろう人たちが5、6人居た。彼らの

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3分で読める短編:女の幽霊

 最寄り駅の近くに居酒屋がたくさんあるせいで、俺が金曜の夜にアルバイトを終えてアパートに帰る帰り道は、いつも酔っ払って馬鹿騒ぎしている大学生でいっぱいだ。俺はこういう馬鹿な大学生のことを心底見下している。馬鹿な男と馬鹿な女、セックスと酒のことしか頭にないくせに、どいつもこいつも自分が物語の主人公だ、みたいな顔をして笑っている。

 そういう奴らを見下しながら帰路に着くのも最初の方は悪くはなかった。

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1分で読める短編:あばずれメシア

1分で読める短編:あばずれメシア

 ここ数ヶ月で、私は本当にどうしようもない人間になってしまった。でも本当はもともとそういう人間だったのが、何かのタイミングで自分自身にばれてしまっただけなんだろう。

 ひとりで眠るには到底大きすぎるこのベッドの上で、私はいろんなことを考えてきたつもりだった。今のことも、昔のことも、これからのことも。そうしているほかに眠りに落ちるためのやり方を知らなかったし、そうしているのがなんだか好きだった。

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