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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2022年3月の記事一覧

靖国神社~読書記録55~

靖国神社~読書記録55~

2014年発行、宗教学者・島田裕巳先生「靖国神社」
(こちらのnoteですが、発行時は、安倍晋三氏が総理大臣であるので、「安倍首相」という呼称にします。。。)

2013年12月26日、第2次安倍内閣誕生から、ちょうど1年!というタイミングでの安倍首相の靖国神社参拝があった。
安倍首相の政治姿勢は、保守的、伝統回帰、戦前への回帰の傾向が強い。
総理大臣としての靖国神社参拝を評価すると答える若者は多

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60歳からの生きる意味~読書記録56~

60歳からの生きる意味~読書記録56~

2006年発行。作家・森村誠一先生と元検事で弁護士の堀田力(つとむ)先生の対談集。
堀田力先生は、田中角栄元首相のロッキード事件の時の検事として有名である。

人生がつらい、生きているのがつらいと言ったところで、自分の辛さなどは本当に辛い人に比べたら、どうってことはない。生きていることは、やはり勝ち。 ジェームズ・ハーベイ・ロビンソンは、「文明とは、自分たちよりも先に生まれて死んでしまった人たちの

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貧困大国ニッポン~読書記録57~

貧困大国ニッポン~読書記録57~

2008年刊。経済学者であり、エコノミストである門倉貴史氏と賃金クライシス取材班による著書。

2008年は、福田康夫首相から麻生太郎首相へと移った年でもある。

この書の構成としては、主にインターネットを通じて、様々な生活苦の人たちにインタビューした内容を元に構成されている。

それらの節約術、特に若い主婦向け雑誌によく掲載されるような類のものには驚くばかりであった。

ネットカフェ住民と呼ばれ

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大草原のローラに会いに~読書記録58~

大草原のローラに会いに~読書記録58~

1996年発行。「小さな家」シリーズでお馴染みのローラ・インガルス・ワイルダーの作品も多く訳されている翻訳家・谷口由美子先生の旅日記。

小さな頃に読んだローラの物語。それに夢中になり、大学時代、留学したアメリカの図書館で読んだ原書。
私は(他のローラの訳者は大正生まれなどが多く、日本語も難しい)、谷口由美子先生の訳された本が大好きで、それこそ、目の見えないメアリーにローラが説明したように、読んで

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白秋期~読書記録59~

白秋期~読書記録59~

2019年発行。五木寛之先生へのインタビュー記事をもとに再編集されたものである。

人生100年時代。人生50年と言われていた頃と、定年後の生き方を変えねばならないのだな、とつくづく実感するのだ。
先生は、今の100歳まで生きる時代は、50代から70代からを白秋期。人生の収穫期、黄金期と書かれていた。

白秋期は自分本位に生きる季節だが、単なるエゴイズムとは違う。縁あってこの世に生まれた生命を、何

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令和を生きるための昭和史入門~読書記録60~

令和を生きるための昭和史入門~読書記録60~

2019年発行。ノンフィクション・保阪正康氏による著。

政治家、文化人、ネットの政治アカウントの方など。。。昭和を語る時に、どうしても右か左かに極端に偏っていると私は思っている。
だから、色々な本を読むわけだが。
この保阪氏の書に関しての率直な感想は、「与党、野党。どちらにも傾いていない。冷静な歴史研究である」というものだ。

「昭和」という時代は、三つに分けることが出来る。
昭和前期:昭和元年

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ローラインガルスの生活レシピ~読書記録61~

ローラインガルスの生活レシピ~読書記録61~

日本では、2001年に、いのちのことば社というキリスト教専門の出版社から発行された。
図書館で借りたのだが、手元に欲しくなり、Amazonで中古本を購入した。

内容としては、ローラが新聞社や雑誌に投稿したコラムを聖書の言葉を交えながらの編集で、素晴らしいものなのだが、いつ、どこに載せたものだかの説明など一切なし。解説もなかった。

編集されたスティーブン・ハインズ。
訳された高橋芳江さん。
いく

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風邪の効用~読書記録62~

風邪の効用~読書記録62~

風邪は万病のもと。
これは日本では昔から言われていたことだ。
だが、風邪って本当はなんだろう?と考えさせてくれる本でもあった。

日本で一番初めに「整体師」となられた野口晴哉先生の講演での記録などをまとめた著である。
私は、野口先生を知らず。五木寛之先生のエッセイに紹介されていたもので、興味を持ち、図書館から借りてきたのだ。
読書って、そんなふうに深追いしていくと本当に面白い。

風邪と一口に言っ

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大草原の小さな家と自然~読書記録63~

大草原の小さな家と自然~読書記録63~

ローラ・インガルス・ワイルダーが好きで、ローラゆかりの地、北米を旅し、現在はカナダ・トロントに移住された服部奈美さんのエッセイとなる。
ローラについて書かれているアメリカの研究家や、翻訳家の恩地三保子先生、谷口由美子先生らと違い、いくら調べても、この本にある以外の情報は見つからなかった。
年齢であるとか出身校だの不明であった。

服部奈美さんは、野鳥観察が趣味だそうで、鳥のみならず、野生動物にも詳

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ワーキングプア~読書記録64~

ワーキングプア~読書記録64~

著者は、経済学者でエコノミストの門倉貴史氏。
2001年から続いた「痛みを伴う改革」をしてきた小泉純一郎政権が終わり、2006年、安倍政権へと変わった時に書かれた。

弱者切り捨て。 福祉政策にと、5%だった消費税が上がる方向でいっていた時代。

ワーキングプアとは、汗水たらして懸命に働いているのに、いつまでたっても生活保護水準の生活から脱却できない人の事を指す。1990年代にアメリカで言われ始め

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大草原の小さな家の旅~読書記録65~

大草原の小さな家の旅~読書記録65~

1993年に発行された服部奈美さんの「ローラの故郷を巡る旅」のエッセイ。

服部奈美さんは、作家、ジャーナリスト、翻訳家などではない、あくまでも、1人のローラファンである為、こちらの本。続く「大草原の小さな家と自然」の2冊しか本は出されていない。年齢や出身校なども不明である。

この物語は、アメリカの開拓精神、フロンティアスピリットを描いているのだが、白人の側から観た面しか描かれていない。
服部さ

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日曜日の午前中~読書記録66~

日曜日の午前中~読書記録66~

「日曜日午前中だけに集まる教会は終わる」
関野和寛先生の「天国なんてどこにもないよ」より

カトリックでも、プロテスタントでも、教会の中と外では人格の違う人が多い。イヤイヤ、それが当たり前なのだ。
司教と言う立派な人でもそうなのだと実感した経験もある。

キリストは好きだが、キリスト教会で嫌な思いをした人、又、教会と言う建物自体の敷居が高すぎて近づけない。という人の数はとても多い。
そもそも、仕事

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余命~読書記録67~

余命~読書記録67~

2015年に発行された五木寛之先生のエッセイである。

余命とは、自分に残された時間の事。
現在の未曽有の高齢化社会において、どう考えたらよいのか。
この書は、それを考えさせてくれる。
100歳まで寿命が伸びたとしても、老化は訪れるし、死はやはり訪れるのだ。
人にはそれぞれの生き方がある。

今の日本人には宗教観というものがなく、来世とか浄土とかいう感覚はない。ただ、死んだら、物質的な肉体がなくな

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殺人罪に問われた医師~読書記録68~

殺人罪に問われた医師~読書記録68~

2008年、矢澤昇治弁護士により、編集、著作された書。
1998年、川崎市にある川崎協同病院における、医師による脳死状態にある患者のチューブを外した、などの一連の行為が警察、司法により「殺人罪」とされた事を問題提起する書である。

本書が取り扱う問題、すなわち「終末期医療における人の生と死」は、まさしく「不可逆的に死に行く患者から生命延長の医療措置を取り上げることの道徳的・法的正当性如何、という現

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