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60歳からの生きる意味~読書記録56~

2006年発行。作家・森村誠一先生と元検事で弁護士の堀田力(つとむ)先生の対談集。
堀田力先生は、田中角栄元首相のロッキード事件の時の検事として有名である。


人生がつらい、生きているのがつらいと言ったところで、自分の辛さなどは本当に辛い人に比べたら、どうってことはない。生きていることは、やはり勝ち。 ジェームズ・ハーベイ・ロビンソンは、「文明とは、自分たちよりも先に生まれて死んでしまった人たちの知的財産をただでもらえることだ」という意味の事を語っている。今や、インターネットを使えば、必要な情報がすぐに手に入る。そうなると、どんどん人間関係が間接化してくる。直接会わずとも済むわけで、「オタク」を生む。そのオタクたちは、50過ぎて親に養ってもらっている。自らを廃人と呼ぶ。インターネットを駆使してホリエモンのように長者になる人もいれば、底辺の人もいる。二極化が進むであろう。
「オタク」と言われるインターネット細民は、殆どが動詞(落ちーなど)。
想像力に書けた人間が増えていくのではないかと危惧している。
喫茶店などでも相席の男女や友人が会話もせず、互いに別の相手を携帯電話でやり取りをしている。それが誰かと繋がっている、という感覚なのであろうか。
作家をしていると、運動不足になるのでルームランナーを購入した。だが、医者から「あんなものは役に立たない。体重の移動がないと運動にはならない。外に散歩に行くよう」言われ、散歩を始めた。ついでに、デジカメで風景や動物の写真撮影。さらに俳句を始めた。俳句はお勧め。

森村誠一

人は「存在証明」を求める。死期が近づくとなおさら。ホスピスなどで声をかけてもらうことの存在証明でもある。知的障害の人でも、寝たきりになった高齢者でも幼い子供でも「存在証明」を欲する、存在を認めてもらえることが人間の喜びだ。それは、食欲、性欲などと同じような、人間の欲求で本能でもある。 

平素における権力の根源は何か?「情報の独占」である。これを打ち破ったのがインターネット。 
人間は、元々孤独な存在。寂しいと思うのは、基本的に自分に自信がないこと。自分にも頼れず、周りにも信頼出来る人がいないとなったら、孤独がいっそう身に沁みる。
自分をしっかり持っている人、或いは、何人かの親しい人としっかりとしたつながりを持っている人は、1人でいても別に孤独だと感じない。孤独な時間は非常に貴重であり、考え事や読書をしたりと楽しい。今の若い人たちは、一刻も孤独では過ごせず、不安だらけに思える。  堀田力



↑ジェームズ・ロバーソン氏について。。。

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