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サッカーの大金星に見えた野球への「エール」。サッカー天皇杯。新潟の専門学校がJ1名古屋に「下剋上」。高校野球の歴史的熱戦が新潟の球技振興につながった。野球も復活を!

サッカーの大金星。天皇杯で新潟の専門学校「JAPANサッカーカレッジ(JSC)」がJ1の名古屋グランパスを下した。JSCはJリーグの「5部」に所属するチーム。格上を破っての下剋上だ。そして、この大金星には、新潟県勢のスポーツ振興に貢献した高校野球への「エール」になったように思えた。「あの夏」があったから新潟スポーツの今があるから。

愛知県豊田市で行われた天皇杯2回戦。JSCはJ1の強豪名古屋に立ち向かった。前半は名古屋に押される展開。それでも守備を固めて0-0でハーフタイムを迎えた。

後半、JSCが均衡を破る。6分。右からのコーナーキックのチャンス。一度は跳ね返されたが、JSCがボールをつなぐ。右サイドからのクロスに、FW上元直樹選手が押し込んだ。

名古屋は主力選手をピッチに送り出し、活路を見出そうとするが、JSCが粘りに粘って、この虎の子を守り切って、大金星を手にした。JSCは北信越1部リーグに所属。J1から数えて5部に相当する。5部のチームがJ1を下す「下剋上」だ。

新潟と愛知のゲーム。どうしても「あの夏」を思い出してしまう。2009年の夏の甲子園決勝だ。日本文理(新潟)が快進撃で勝ち上がり、この年の選抜8強の中京大中京(愛知)と頂上決戦で相まみえた一戦だ。

日本文理は4-10と大量リードを許して迎えた九回の攻撃。2死を取られてから怒涛の追い上げを見せた。5点を奪い1点差に詰め寄る。球場は日本文理の逆転を望む空気が蔓延していた。

そこから「あと一本」が出ず、新潟県勢初優勝とはならなかったが、土壇場からの驚異的な粘りは、全国の高校野球ファンに鮮烈な記憶を刻んだ。今でも名勝負の一つとして語り継がれている。

この名勝負をきっかけに、新潟の高校野球だけでなく、あらゆる球技で「やればできる」という機運が高まった。

高校サッカーでは帝京長岡高校が全国の強豪となり、全国高校選手権で2大会連続4強に進む活躍を見せた。高校バスケットボールでは開志国際がインターハイやウィンターカップの全国大会で優勝の快挙を成し遂げた。

新潟県の球技振興は、高校野球の「あの夏」から始まったと言っても過言ではない。新潟のスポーツ選手に勇気を与えてくれたのだ。

一方で新潟の高校野球は近年、成績が振るわない。夏の甲子園では2017年に初戦を突破したが、2回戦で敗れた。次年以降、新潟県勢は初戦敗退が続いている。春の甲子園に至っては2014年を最後に出場すらできない状況だ。

新潟と愛知の「あの夏」から生まれた新潟スポーツの振興。その旗振り役だった高校野球が近年、再び低迷している。

天皇杯2回戦の新潟県勢が愛知に拠点を置くJ1クラブを下した「下剋上」。この大金星は新潟の高校野球の復活してほしいという「エール」にも思えてしまったのだ。

JSCのさらなる快進撃を!そして新潟の高校野球の復活を!「あの夏」から15年。新潟のスポーツが全国に感動を与えてほしい。

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