見出し画像

キャッチャー「三本の矢」が優勝の原動力。巨人が4年ぶりのセリーグⅤ。捕手出身の阿部監督の光った采配。捕手3人の使い分けでチームに安定感

キャッチャー「三本の矢」というのがふさわしいチームだ。巨人が4年ぶりにセリーグ優勝を果たした。捕手出身の阿部慎之助監督が就任1年目にして名門チームを復活させた。その名采配は捕手の使い分けにあったと思える。小林誠司選手(35)、大城卓三選手(31)、岸田行倫選手(27)の捕手3人を巧みに起用することで、チームに安定感が生まれた。

28日にアウェーのマツダスタジアムで行われた広島戦。巨人は優勝マジックを「1」として、優勝目前の試合だった。先発投手はエースの菅野智之投手(34)。そして先発マスクをかぶったのは小林選手だった。

菅野投手と小林選手は共に1989年生まれ。「同期のよしみ」でもあるのだろうか、菅野投手は小林選手を一番信頼している。

小林選手は今季42試合の出場。「三本の矢」の中では出場試合数が一番少ない。それでも菅野投手の登板では相方を務めている。配球など安定した守備力が買われているようだ。優勝を決めた28日の試合もフル出場し、菅野投手の8回1失点の好投を支えた。

広陵高時代は2007年の夏の甲子園準優勝。決勝で佐賀北に逆転満塁本塁打を浴びた苦い記憶がある。その後、同志社大、日本生命を経てプロ入りした。高校、大学、社会人でキャリアを重ねてきただけに、プロ入りしてからの安定感につながった。

大城選手は打撃力がある。今季の打率は2割5分8厘。小林選手が1割5分2厘、岸田選手2割3分9厘に比べると、打席の期待度がはるかに高い。

現役時代2132安打を放った強打の捕手だった阿部監督から見ると、打てて守れるキャッチャーに信頼を置くのは当然だ。阿部監督と同じ左打ち。大城選手は昨季キャリアハイの16本塁打を放っており、一発の魅力を秘めている。

そして岸田選手は送球に安定感がある。報徳学園高3年時には選抜で甲子園のマウンドに立った。背番号2をつけた岸田選手のリリーフ登板は話題を呼んだ。ピッチャーもこなしただけに、送球が安定するのも当然だろう。

今季は5月24日の阪神戦で、戸郷翔征投手がノーヒットノーランを達成した際に巧みなリードを見せた。6月30日には代打でサヨナラホームランを放って打撃面でも活躍した。

「経験」の小林選手、「打撃」の大城選手、「送球」の岸田選手。持ち味を生かして3選手を使い分けた阿部監督の采配が、リーグ優勝の原動力となった。

カメラの三脚のように、3つ集まると物事やバランスは安定する。3人が議論する「鼎談」、キリスト教の教義「三位一体」、そして戦国時代の毛利家3兄弟が力を合わせた「三本の矢」。

巨人は昨季まで2年連続Bクラスと低迷したものの、今季、捕手「三本の矢」がうまく機能したことでリーグ優勝に大きく貢献した。

「三本の矢」が安定すれば、巨人は「その先」のポストシーズンでも力を発揮するだろう。巨人のキャッチャー「三本の矢」に注目し続けたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?