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弱者が勝つことがあるからこそ勝負は面白い。サッカールヴァン杯で波乱続出。J3の2チームがJ1勢を下して3回戦進出。「小が大を食う」のは小説の世界だけではない

勝負の魅力は、弱者が強者に勝つことがあるからだろう。それを「下剋上」「ジャイアントキリング」などということもある。サッカーのルヴァン杯で波乱が続出した。格下のJ3勢がJ1チームを破るなど劇的な試合を見せている。私はある小説に出てくる「小が大を食う」というフレーズが好きだ。そして劇的な展開は、小説だけでなく、現実でも起こるのだ。

1973年に出版された山﨑豊子さんの小説「華麗なる一族」に出てくる言葉に心を奪われる。関西に本店を置く都市銀行下位の頭取が、格上との合併をもくろむ。格下が上位行を支配する形が狙いだ。作品の中で頭取は何度となく「小が大を食う」と口にする。

半世紀以上前の作品だが、今でも臨場感あふれる筆致が魅力だ。2007年には木村拓哉さん、北大氏欣也さんら豪華俳優陣が出演したドラマも放送された。

「小が大を食う」。この言葉はサッカー界でも起こりえる。元々、波乱の起きやすいスポーツだが、トーナメント方式のルヴァン杯はその印象がより強く思える。

3回戦までの対戦は、下位チームのホームで行われる。格下にハンデが与えられるシステムは試合の行方に左右しそうだ。

今大会では2回戦で、J3のFC沖縄とAC長野パルセイロがJ1チームを下し3回戦へ進出したのだ。

沖縄で24日に行われた一戦はJ3で6位の琉球がJ1で6位のガンバ大阪に競り勝った。前半43分にMF富所悠選手が右足でミドルシュートを放って先制。後半4分に同点に追いつかれるが、琉球は慌てない。

後半は防戦が続く展開となったが、31分にワンチャンスをものにした。FW白井陽斗選手が相手の最終ラインを抜け出してドリブルでゴール前へ。左足で勝ち越しゴールを決めると、このリードを守って2-1で波乱を演出した。

5406人の観客が見守ったゲーム。J3のクラブが強豪を下し、大いなる歴史を刻んだ。

また、長野で行われた試合ではJ3の長野がJ1の京都サンガF.C.との激しい打ち合いを制し「小が大を食った」。

2-2のまま延長にもつれこむ展開となったが、最後は長野のDF杉井颯選手が延長後半4分に勝ち越しゴールを決めて、3-2の激闘を制した。

この日、アジアナンバーワンを決めるチャンピオンズリーグで横浜F・マリノスがPK戦を制して決勝進出を果たした。ホーム&アウェーのファイナルを制すれば、クラブ史上初のアジア王者となる。

そしてJ3勢がルヴァン杯を勝ち上がれば、準々決勝で「アジア王者」と対戦する可能性もあるのだ。日本のJ3クラブがアジア最大のジャイアントキリングを起こすこともありえる。

「小が大を食う」。J3勢はどこまで快進撃を続けられるだろうか。サッカールヴァン杯に注目だ。

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