自分のことよりチームのことを最優先できる強さ。ロッテ・佐々木朗希投手が自身初の二ケタ勝利。チームをポストシーズン進出へと導いた
自分のことよりチームのことを最優先できる人は強い。ロッテの佐々木朗希投手(22)のことだ。チームの勝利のことを思い、自分にとって最重要のことを考えてマウンドに上がった。チームのポストシーズン進出がかかる大一番。「あの日以来」となる約2年半ぶりの完投勝利を挙げた。チームをクライマックスシリーズ(CS)進出へ導いた右腕をたたえたい。
1日にアウェーの仙台で行われた楽天戦。この試合の結果次第でロッテのCS進出が決まる大一番だ。
朗希投手の立ち上がりは良い部分と悪い部分がそれぞれはっきり出てしまった。2番打者から空振り三振を奪うなど簡単にツーアウトを奪った。そこから連続ヒットを浴び、一、三塁のピンチ。次打者の際に暴投で1点を献上してしまった。
しかし、ここで崩れないのが朗希投手の強みだ。二回以降はイニングスコアに「0」を並べていく。ほとんどのイニングで三者凡退の山を築いていった。
朗希投手がテンポよく投げていけば、味方打線も波に乗れる。五回に岡大海選手の適時二塁打などで3点を奪い逆転した。
これで朗希投手も余裕が生まれる。八回に2死一、三塁とピンチを招いた。初回に失点した時と同じ展開だ。しかし今回は初球のスライダーでセカンドゴロに打ち取って、無失点で切り抜けた。
そして直後の九回表。味方打線が2点を追加して、朗希投手を援護した。投打の絶妙なハーモニー。最終回を朗希投手は三者凡退に打ち取って、完投勝利を挙げた。
「あの日」以来2年半ぶりとなる完投勝利だ。あの日とは史上最年少20歳5カ月でオリックスを相手に完全試合を樹立した快挙のゲーム。あの時は勢いに乗ってぐんぐん投げまくっていた。
今季は「我慢の年」だった。2度の戦線離脱。投球フォームを見直すなど模索が続いたシーズンだった。苦しみながらも白星を重ねて、大一番の楽天戦で、プロ5年目で初となるシーズン二けた勝利を手にした。
2年半ぶりの完投勝利。そして自身初の二ケタ勝利。朗希投手にとってメモリアルデーとなった。
それでも、朗希投手は「今はやりたいようにやるだけでなく、勝つために必要な選択をしないといけない」とチームを優先した投球を心掛けていた。チームを優先すればこその二ケタ勝利へとつながったのだ。
9月27日には巨人がセリーグ優勝を果たした。この試合で岡本和真選手が先制点となる適時打を放った。通算1000本安打だった。それでも「もう個人成績はどうでもいいので。優勝できればそれが一番です」と試合後に語っている。
朗希投手にしても、岡本選手にしても、チームを優先する姿勢が、結果的に個人成績にもつながることを証明した。
これで今季のロッテのシーズン3位が確定した。狙うは2010年にリーグ3位から日本一へと上り詰めた「史上最大の下剋上」。「日本一になれるように頑張ります」と朗希投手も力強く語った。
「チーム最優先」。この気持ちで投げる22歳の大投手に今後も注目だ。
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