「弱者」に勝つのは簡単ではない。サッカーJ1が大詰め。神戸が降格ゾーンの磐田を下して暫定首位浮上。波に乗る宮代選手が決勝ゴール。リーグ戦初の二ケタ得点
優勝争いをしているチームが下位のチームに勝つのは当たり前、ではない。サッカーJ1は大詰めを迎えている。優勝を狙うチームがいる一方で、J2への降格圏でもがくチームもいる。この下位チームは「火事場の馬鹿力」を発揮することもある。2連覇を目指す神戸が降格圏脱出を図る磐田を下して、貴重な勝ち点3をゲットした。これで暫定首位に浮上した。
神戸のホーム、ノエビアスタジアムで行われた一戦。神戸は34試合を終えて勝ち点64。広島を勝ち点1差で追う2位だ。ホームでJ2降格圏にいる磐田相手に、きっちり勝ち点3をもぎ取りたい。
ただ優勝争いをしているチームにとって、J1残留をめざしているチームとの戦いは、簡単にはいかない。相手はトップリーグに残るために必死だ。守備を厚くして、引き分け狙い、あわよくばカウンターから得点を奪って勝ちを狙う。
神戸は前日までのチームの得点ランキングで、計54点を奪っている。J1で3番目にゴール数が多い。個人別ではFW2人の大迫勇也選手と武藤嘉紀選手がそろって11得点を挙げリーグ8位タイにつけている。
対する磐田は勝ち点35の18位。18位以下の3チームがJ2に自動降格する。リーグ3位の17得点を挙げているFWジャーメイン選手の活躍が生命線だ。
試合は神戸ペースで進むが、磐田のGK川島永嗣選手の好セーブが連発。ゴールマウスを割らせない。前半は0-0。磐田にしてみれば、自らのペースに持ち込んだかに見えた。
しかし後半開始早々の2分。自陣でボールを奪った神戸が縦にパスをつないでいく。ハーフウェー付近でパスを出したFW宮代大聖選手がゴールへ全速力で駆けていく。ゴールの軌跡が見えたに違いない。
大迫選手からのスルーパスを受け、ペナルティエリア中央から右足で浮き球のゴールを決めた。自身初となるリーグ戦の二ケタ得点だ。アジアチャンピオンズエリート、天皇杯に続き3試合連続のゴールにもなった。
チームにとって嫌な流れになっても、好調な選手が結果を出す。そこに神戸の底力を感じた。先制点を奪って、神戸は余計な力が抜けたのだろう。さらに6分後には、CKからDF山川哲史選手がヘディングシュートで追加点。神戸が2-0で白星をつかみ、勝ち点3をゲットした。
これで神戸は勝ち点を67に積み上げ暫定首位に躍り出た。神戸は残り3試合。前節まで首位の広島は勝ち点65。残り試合は4。優勝争いはさらに激しさを増してきた。
一方のJ1残留争い。磐田は勝ち点を手にできず、35のまま。17位の柏とは勝ち点4差。残り試合は共に4試合。こちらも生き残りへ厳しい戦いが続く。
J1は優勝争いも残留争いもラストスパート。最後に優勝するのは、J1に残るのは、どのチームか。最終節までハラハラした戦いが続きそうだ。