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「クオリア」とは何か/『言語的キュビズム』の試み

 貴方の見ている空は、私の見ている空と違う色をしているかもしれません。これは原理的に確かめようのない命題であって、根底には「クオリア」の問題が潜んでいます。そしてクオリアは「意識と脳の問題の本質」といわれています。

 クオリアとは「主観的経験を伴う質感」のことです。
 例えば黄色いチューリップをみたときの「黄色い」という質感をクオリアといいます。習字のときの墨汁をみたときの「黒い」という質感もクオリアです。
 「●」これが、「黒のクオリア」です。

 何を当たり前なことを、と思います。「●」が黒いのは当然です。
 例えば貴方が夕日を指して綺麗だねといいます。皆はそれをみて「綺麗だ」といいます。「赤色」の質を感じているのでしょう。「あの感じ」が赤のクオリアです。しかし貴方の感じる「赤のクオリア」が、皆の感じる「赤のクオリア」と同一であるかどうかを証明することは原理的に不可能です。なぜなら、貴方は私ではないし、私は貴方ではないからです。

 クオリアは心理学・哲学・科学のいずれの領域でも大きな問題であって、簡単にまとめることは困難ですが、実験的に『言語的キュビズム』を用いて問題提起としての表現を試みます。

「夕日、綺麗だね」「ああ綺麗だ」「赤いね」「赤いな」「赤信号よりも黄色がかってオレンジ色に近いね」「ああ、青緑色の反対だな」「反対?」「反対。」RGBの数値で示して「この色」といったら、相手は「そうだね」と応えます。
その赤は、この赤なのか。「暖かいね」「冷たいな」触れる手のクオリア。実は彼は夕日が嫌いです。彼女はそれに気付きません。
波の音が聞こえます。ここは砂浜でした。
潮風のクオリア、肺を満たして、香り。
帰ったらワインを飲みましょう。夜。

『言語的キュビズム』「クオリア」


 さて、よく分からなくなってきましたね。
 

 次回は私の実体験に基づき「ひとりの人間の中でクオリアが変容する」ことについて触れ、この問題を少し掘り進めてみようと思います。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方が日常の雑踏を離れて立ち止まり、意味のない問いかけに生じた余白が心を軽くしていきますように。


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