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やる気が出ないときに気合いを入れるとロクなことにならない話〜ゆるく賢く生きるためのコツ〜

 勉強したくないなぁ。働きたくないなぁ。ほんとはやらなきゃいけないんだけど、後で苦労するって分かっているんだけど…。そんなとき。

「やるぞー!!」と気合いを入れて立ち上がり、課題に取り組むことができるでしょうか。

 否。否です。

 気合いを入れて乗り切ろうなんて不自然です。無理矢理奮い立って課題に取り組んだときの、あのなんともいえない嫌な気持ちは一体なんでしょうか。ドス黒いスライムが胸のあたりに絡み付いて、重く重く沈んでいくような。身体は動かしたものの、今にも逃げ出したいような。結局効率は上がらず、無為な時間が過ぎていきます。

 この時、私たちの心では何が起きているのでしょうか。

 心理学の領域に、「生理的覚醒による優勢反応の強化」という言葉があります。分かりやすく言い換えると、「気合いを入れると、そのとき一番感じている気持ちが強くなる」ということです。

 例えば「職場に行きたくないなぁ…」と感じているときに、よし行くぞ!!と気合いを入れると、実は心の中では、

「よし、行きたくないな!!嫌だなぁ!!」

と変換されてしまっているわけです。これがモヤモヤの正体です。逆方向にやる気全開です。これでは前向きになれるはずもありませんし、効率だって上がりません。

 では、どうすれば良いのでしょうか。

 ひとつは「とりあえず取り組んでみる」ということです。行くかどうかは分からないけど、とりあえず顔を洗ってみる。とりあえず着替えてみる。そうやって困難を分割して、自分に気付かれないように行動に移していくことで、いつの間にか出来てしまうという作戦です。

 この世の物理法則では、すべての物体は変化を嫌います。急激な変化は、それだけ強い反動を受けるのです。人間だってそうです。ゆっくりゆっくり、気付かれないように変化させていくのが摩擦を少なくするコツです。

 もうひとつは、「自分の気持ちに自覚的になること」です。ポジティブな気持ちが心に優勢なタイミングで気合いを入れれば、そのポジティブさが強化されるからです。重要なのはタイミングです。自分の心の動きを正直に見つめ、ネガティブな感情が優勢なときにはゆっくりひっそり過ごして、好ましい感情が心を占めてきたタイミングで「よし!」と気合いを入れるのです。

 ポイントは「ポジティブな気持ちの対象」と「頑張りたいこと」が一致していなくても良いということです。これが「生理的覚醒による優勢反応の強化」を実生活に応用するときのコツです。

 例えば勉強しなきゃいけない、頑張りたいと思っているけれど勉強なんて嫌い。そういうときに気合いを入れると、「嫌い!!」となりますが、好きな音楽、本、ドラマや映画、漫画、人でもいいでしょう。そういったものに触れ、好きな気持ちが増えてきたときに「よし!」と気合いを入れると、そのポジティブな気持ちが強化されます。ここでタイミングよく「とりあえず」勉強を始めると、強化されたポジティブな気持ちの余韻が勉強という対象に移り、不思議と効率が上がっていくのです。自分を騙しているように感じるかもしれませんが、勘違いから始まる「好き」だってあります。そのうち対象の魅力に気付いて、本当に好きになっていくかもしれません。或いはそれがやらねばならぬ義務ならば、好きでいた方が楽しいでしょう。

 やる気の出ない、そんなとき。
 試してみてはいかがでしょうか。


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