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散文詩

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2023年11月の記事一覧

残酷な詩 《詩》

残酷な詩 《詩》

「残酷な詩」

知と無知の中間地点で

空を見上げる僕には

その色が示す意味さえ

理解出来なかった

彼等が意図する事柄に
訳もわからず相槌をうつ

デスクの上に回されて来た書類に

めくら印を押す様に 

疑問を持つ事さえ無く微笑んで

ただ 
あるがままの形で受け入れた

無闇な動揺は

感染し細かな振動となり

歪み全てを
変形させて行く事を知っていた

僕はただの目撃者であり

記憶の

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氷の月 《詩》

氷の月 《詩》

「氷の月」

事実と事実の

隙間を埋める幻想の様な夢

希望を込めた思考から来る妄想

それは罪な事なのだろうか

立体的でかつ
鮮明に浮かび上がる場面

些細な相違や乖離は
たいして重要では無い

複雑で複合的な心模様を紐解き

明確化する必要も無い

全ては自分自身の心の中にある 

変わり続ける多面体に反射する光を

追いかけ続けて息を切らした

氷で出来た月が溶け始める夢を見た

僕はた

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フレーズ 《詩》

フレーズ 《詩》

「フレーズ」

12月は独りで過ごすには

淋し過ぎる季節だった

コートの襟を立て 

手を繋いで歩く恋人達を見た

誰もが皆んな僕の居る場所から

離れて行く様に思えた

何かの曲のメロディーが
頭を離れない

繰り返すフレーズ 

聴き覚えのある声

クリスマスソング
では無い事だけはわかっていた

円滑では無い  

空気と黒い影が埋める沈黙

僕等は不適切な話題を避けていたが

結局はそ

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ジャンピン ジャック フラッシュ 《詩》

ジャンピン ジャック フラッシュ 《詩》

「ジャンピン ジャック フラッシュ」

流星が繋いだ影と月 

風は今でも吹いている

意味の無い
光景が目の前を通り過ぎる

幾つも幾つも

折り重なる様に終わりなく

夜の闇に突き刺さった

高層ビルが僕を見下ろし

稲妻に撃たれた夜を
想像し雲を呼んだ

彼女は ただ電話しただけだよ

声が聞きたかったから 

そう答えた

正しい生き方なんて知らない

正しい死に方も 

何処かに忘れた綺

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無彩色の虹 《詩》

無彩色の虹 《詩》

「無彩色の虹」

雨はもう止んでいた 

知らぬ間に

例の話しの続き 
もういいだろう

無彩色の虹を吸い込んだ肺の中

誰かが段取った安物の改造拳銃

トリガー引いた暴発 

血だらけ
あちこちに飛び散った指先

残された薬指と小指で挟んだ煙草

深く抉ったナイフ 

捲れかけたヤマ 

死神 道連れ 病院か地獄か独房か

探し続けた答え 匠な作り話

膨らみ続けりゃ 

いつかは破裂する

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