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散文詩

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2023年6月の記事一覧

山羊の歌 《詩》

山羊の歌 《詩》

「山羊の歌」

水晶を噛み砕いた宵 

裁きの雷 光輝の剣

鉛の夜に下僕となりし犬 
纏わりつく気狂い猫

屈辱 腐敗 
嘘で開花する赤い花

愛していたのさ 
言葉はただのゴミ屑

唇を撫でる指先 

光を吸い込み沈みゆく鈍色

溶け堕ちた時間に
垂れ落ちる憎悪に似た愛

瞳を閉じないでくれないか

耳を塞がないでくれないか

惨殺志願の餓鬼苦 

今 記憶は独りで歩き始める

悲鳴をあげる存

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太陽が消えた場所 《詩》

太陽が消えた場所 《詩》

「太陽が消えた場所」

太陽の代わりに何かを探し求めた

命が揺れた 
特に強い理由なんてない

理解出来ない事もわかってる

僕等を照らした
何処かで見た事ある様な世界

一番遠くから見ていた

隣り合わせの天使と悪魔

言葉の外側にある景色

見えない神様に囁いた

もう あまり困らなくなったよ
もう 何も祈らないよ

僕はお揃いの服を脱がされた

一緒じゃないからだって
普通とは違うらしいよ

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池袋 《詩》

池袋 《詩》

「池袋」

川向こうの黄昏の中に見た
摩天楼の影

池袋 人の波 

焼けたアスファルトの匂い
詩人の流した涙を太陽が焦がす

哀しき詩人の歌を口ずさむ僕がいた

傍観者の渦の中 

善意が故に騙された人
悪意をもち陥れる人

全ての事柄はカテゴライズされ
何処にも当てはまらない僕等が居た

優しさを求める人にはこの詩を
愛しさを求める人にはこの詩を

誰かの不倫とか
叶わなかった恋心とか

虐待

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獄中日記 《詩》

獄中日記 《詩》

「獄中日記」

獄中で綴り続けた彼奴の言葉

後悔 誤ち罪 戻らない時間

もしもやり直せたなら

もう一度
あの瞬間に戻る事が出来たなら

書き殴られた文字の羅列
所々に滲んだ涙の後

何度目かの彼奴の誕生日 面会室

アクリル越しに手のひらを合わせた

もういいよ 俺は大丈夫だから

抜け出しな いいな 絶対にだぞ
そう言い残した彼奴

翌日 悪夢の様な知らせ

あの日あの後 
彼奴は獄中で首

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君の夢 《詩》

君の夢 《詩》

「君の夢」

眠ってる君の顔をただ見つめてた

時計の針 
秒針の音小さく聞こえてる

いつだって
君の傍に居たいと思うけど

現実には時間も無くて話も出来ない

それでも君は変わらず僕の傍に居て 

僕はそんな君を愛おしく感じてる

言葉にすれば全て 
安っぽくなってしまうから

言葉の代わりに
君の頬に小さなキスをした

寝返りをうつ君の姿 
少し笑った顔

何の夢を見ているんだろう
知りたく

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祈り 《詩》

祈り 《詩》

「祈り」

僕等は今も祈りながら生きている

運に見放されたと嘆いていた

道の中場で 何もかも失い

金になる物ならなんでも売り捌いた
カメラもギターも画材すらも

好きだった写真も音楽も絵も諦めなくてはならなかった

辛かった 

僕には本当に何も無くなってしまった

特別なものなんて何も無い

ただの群衆の中のひとりだった

働いて稼いだ金を家に持ち帰り
また働きに出た 

来る日も来る日も

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