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自選集:詩

35
密室で延焼する憎悪と、古戦場に揺れる花と。
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#自殺

死因

死因

あんなのは勝利者たちが美化した仮初の物語
最も肝心なところが割愛されている 騙されるなよ

いつだって頼りになるのは自分の力だけ
しかしそれには生まれつきの上限が重く圧し掛かる

助けを得られるのは魅力という最強の力があるから
美談とは臭いものに蓋をした上での談合だ

他人と競争して勝たなければ価値にならない仕組み
当然金にもならない 余計なものは燃えないゴミ

つまるところ全ては力学的なやり取り

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十四歳で立てた中指を

十四歳で立てた中指を

ただ中指を立てるだけなら十四歳から可能だが
その中指をさらに十四年後も下ろしてないのは誰にでも出来ることじゃない

皆がそれぞれの落としどころを見つけていく中で
その中指がつまずきの証に思えて暗いpocketへ隠したくなってくる

二十歳までには死ぬって言ってたあいつに久々に会ったらさ
結婚してて子どもの話なんかしてやがんの

そんで「お前は丸くなるどころが会う度に尖っていくな」なんて言葉を
もう

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駅のホームの黄色い線の内側で踏みとどまる

駅のホームの黄色い線の内側で踏みとどまる

昨晩のすき屋の牛丼の持ち帰りの容器と 発泡酒の空き缶だけを片付けて
散らかったテーブルも床も台所も どこかしもがとりあえずの先送りで

何を間違ったのか立ち止まって考える暇もないままに
慌ただしく家を出る朝だけれど

どんなに働いても前に進むどころか後退しているかのような感覚
それでも駅のホーム 黄色い線の内側で踏みとどまる

毎日のように行われるこの闘い 負ければ死 勝っても報酬は0円
単なるエ

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