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ザッポスの伝説と起業家トニー・シェイ


伝説の起業家と呼ばれたトニー・シェイが生きていた頃、彼がCEOとして率いるオンライン靴店ザッポスは、次々に新たな計画を打ち出してアマゾンを震え上がらせていた。

その著書『Delivering Happiness:』(邦訳『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』は
ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーのランキングに27週連続で掲載され、その当時はユニークな経営スタイルに驚いた。

ザッポスの一番めのコアバリューは「サービスを通じて,WOW(驚嘆)を届けよう」。顧客と従業員の幸せを中心にしたに組織づくりについて、その哲学を語っている。

トニー・シェイは台湾からの移民の長男として生まれシリコンバレーで育った。アイヴィー・リーグの大学やMIT、スタンフォードなどの12の名門中の名門大学すべてに合格し、最終的にはハーバード大学へ進学。卒業後オラクルに入社するも5ヶ月で退職。自ら会社を立ち上げて、それを約300億円でマイクロソフトに売却した。

オンラインの靴店ザッポスを、まずベンチャー・フロッグを通じ投資し、2ヶ月後には CEOとして経営に参加した。当時(2000年)160万ドルの売上であったのが、 2004年までに総売上は1億8400万ドルに達し、その後3年間で、売上高8億4000万ドルを達成するに至った。

2008年には売上高が10億ドルを突破し、2009年には企業文化を希薄化させないことを条件に、Amazonに12億ドル(約1,600億円)で買収された。ザッポスはAmazonとは独立した経営をトニー・シェイの指揮のもとに継続すると発表された。

そのようなお金を手にしても、トニー・シェイはキャンピングカーに住み、質実剛健な生き方をしていたという。ザッポスがユニークなのは社員と顧客の「幸せ」を目指すトニー・シェイの哲学が反映されていたところだ。

送料無料だけではない。返品も無料。サイズや色が気に入らなければ何度でも無料で交換できる。会社のツアーも一般の人たちにオープン。その企業文化と顧客サービス戦略で一躍有名になった。顧客をすべての中心に置き、幸せを届けることをモットーとしている。WOW(驚嘆)を届けるのだ。

  • 多数の求人をオンラインに掲載するのをやめ、かわりに、就職志望者に企業の舞台裏を体験してもらう「イマージョン・プログラム」を始めた。

  • カスタマーサービス部門に「サージ・プライシング」による報酬制度を試験導入する計画を発表。Uberは、アルゴリズムを使って混雑時に料金を上げるように、Zapposも混雑時に平均時給(14.50ドル)よりも高い料金を支払うアルゴリズムを採用する。

  • 新規採用した社員すべてに、会社が合わないときは、1ヶ月分の給与をもらって退職する機会を提供している。およそ1〜3%の社員がお金をもらって会社を去る、とウォールストリートジャーナル紙は報告している。

トニー・シェイは20年以上同社のCEOを務め、2020年8月に慈善活動のために退任したけれど、残念ながら2020年11月に火災事故で死去した。

起業を志す人にはぜひ読んでほしい一冊。それが今は亡きトニー・シェイの本だ。





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