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酔いどれ雑記 31 珈琲占い


旅行関係の話をよく書いていますが、これから旅をしようと考えている方の参考には全くならないただの雑記、個人的な体験ばかりなので読者様が読んでいて楽しいと思えるかどうか謎だよなと思いながら書いています。私は自分の経験談(たとえ虐待等の話でも)ってのは割と頭を使わずに書けるので、何か書きたいけれど難しいものを書く気にはなれないときにだらだらと書くのに向いているんですよね、旅行話は。

そんなわけで今何となく思い出した話を。イスタンブルでのことですーーなんかこのnoteにはイスタンブルでの話ばかり書いているような気がするのは気のせいですかね?今まで2度しか行ったことがないんですけども(1度は比較的長期滞在でしたが)、それほど書くネタが多いってことでしょう。なおトルコは私はイスタンブルにしか行ったことがありません(黒海に面した、トラブゾンという町には行きたいとずっと思っているのですが......生きているうちに行きたいです)。

イスタンブルにはとにかく日本語が達者な人が沢山います。私の知る限り、彼らは絨毯屋、土産屋、飲食業などに関わっている人が多いのですが、中にはいい人もいれば、かなりあくどいことをしている奴もいます......ってこれはどこの国でもそうでしょうけれど、私はイスタンブルで特にまずいことをしてると悪評高い店や人物に接触をしたことがあります。いや、こちらから接触したわけではなく、話し掛けられて、ああ、これがうわさに聞いていた彼奴か!っていう感じで。自慢でもなんでもありゃしませんが、私はこの手の奴等に近づかれても騙されたことはありません(騙される方が悪いって意味じゃありませんよ)。「この女を騙すのは無理だ、こいつと関わっても時間の無駄」って方にもって行くように試みます。捨て台詞を吐かれたことも数度ありますけれど(イスタンブルでは経験ありません)。

イスタンブル観光の中心地、スルタンアフメット地区を歩いているとうんざりするくらい日本語で声を掛けられるわけですが、ネットの被害者サイトにも載っていたくらい有名な人(写真も手口も載っていました)に話しかけられたときは「本物に遭遇だ!」と思いました。あれだけあちこちに実名を出されているのに懲りていないのか、余程旨い商売なのか知りませんが。まぁ手口は色々ですけれども、最終的には高価な絨毯を不当な価格で買わせるのが目的ですので、関わらないに越したことはありません。「でも、怪しい人か分からないし......いい人かも知れないし......」と思うかもしれませんが、欲しくもない物にお金を出すのも、騙されるのも嫌であればきっぱりと話しかけられた段階で断るべきでしょう。この人には騙されてもいい、相場の何倍ものお金を払っても構わない、帰国後後悔なんてしないというなら別ですけれども(嫌味ではありません。私は傍から見て不幸でも、本人が幸せ、それでいいというなら何の問題が?と思う故)。

手口は常に新しいものが続々と出てきているでしょうからあえてここでは詳細を書きませんが(主な古典的な手口ならばガイドブックやネットに載っていますし)、私が実際に遭遇したのは、日本大使館から来たというメール(犯罪に遭った日本人を助けてくれてありがとうという内容でしたが、当然偽装)を一方的に見せてきて信用させようと試みるとか、今度日本語観光ガイドの試験を受けるんだけれども、その予行練習につきあってもらえないか?もちろん無料でいいからって話しかけてくる奴、横浜にいとこがいるだとか、日本の芸能情報の話をしてきて親近感を抱かせようとしてくる奴......あとは多すぎて忘れたけれども、観光ガイド野郎には「私でいいの?じゃぁ早速質問ね。現在トルコには東方正教会の信徒ってどのくらいいるの?」「イスタンブルではトルコがEUに入ることの是非についてどういう意見が多いの?」と矢継ぎ早に訊いて追っ払いました。「こんなマニアックなこと訊けちゃうアテクシ、スゴイ!」ってな発言は往々にして痛いですが、痛い奴でいいんです。騙されるよりは。それでウザい奴が退散するかどうかは謎ですが、試してみる価値はあるかもしれません。

その「自称、日本語ガイドになりたい男」には滞在中に何度も遭遇しました。毎朝訪れていたチャイハネで珈琲を飲んでいたらどこからともなく現れ(その店は観光客目当ての店ではありません。スルタンアフメットにあるのですが)、ねぇねぇ、珈琲占いをしてあげるよと。面倒くさいから「1リラも1円も払わないよ?あなたが勝手にすることだからね」と言ったら「僕が欲しいのはお金じゃない」だと。まぁ胡散くさい男です。その胡散くさい男が占った結果(トルコの珈琲はドロドロとしていて、液体を飲みつくすとカップの底に粉のかすが残ります。カップを裏返しにし皿で受け、そのかすの模様で占うという伝統的な占いです。ですから占い自体は信じる、信じないは別として胡散くさくはありません)「これからつらいことが起こるけれども、それを乗り越えれば平穏な人生になる。あと女の子が1人出来る」だと......。つらいこと??その後も(その前も)私の人生にはありすぎてどれのことだかさっぱり(苦笑)。そして、当然ですが子供も私にはいません。胡散くさくてまったく結構じゃぁないですか。これが素敵な紳士の占った結果ならば、砂糖抜きのトルコ珈琲のように苦く切ない思い出になっていたでしょうけれども。

「じゃぁ、またねぇ~」と言って去ろうとするインチキ占い師に私は「聞き賃として日本の面白いジョーク教えてあげる。『占いでおもてなし(裏ないで表なし)』」って出鱈目なことを言ったら奴はすぐにポケットから手帳を取り出しメモをし始めました。語学に必要なのってやはりこういう熱心さだよなぁ......と感心しましたが、その熱意はまともなことに使ってもらいたいですな。



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