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さつき@読む温泉
2021年1月2日 09:03
宇宙船がその星に降りたとき、生体反応は1人だけだった。「あなただけですか?」船員は相手にたずねた。数日間観察した結果、わかったこと。このヒューマノイド型の女性が、ピアノを弾き続けていたという事実だ。食事をとるときと寝るとき以外、ずっと。「そうです」女性はうなずき、指を鍵盤に置いた。口はほとんど動かない。テレパシーだろうか。「私で最後です。もう650年生きました。そろそろ寿命が尽
2020年12月28日 06:08
社内の気になる先輩が、車の免許を取った。新車か中古車のどちらを買うか、同僚と話している。「傷つけないように気をつけるから新車」「ぶつけても心配ないから中古」「迷うなー」先輩は笑いながら、私のほうに来た。「助手席に人がいると、運転が上達するんだって。こんど乗ってくれない?」
2020年12月22日 20:33
雪が降る。まわりの風景が白く変わる。ふと、自分はどこにいるのだろうかと思う。ここで窓の外を見ているのは、本当に自分なのか。ここは過去の世界ではないのか。子供時代。初めての雪にはしゃいだ自分。「ねえ、あれは何?」「雪だよ」ドアを開けながら答える父。「ゆき?」「空から降ってくるんだ」「わあ……」雪やこんこ、と歌いながら庭を回る自分。それを見守る父の姿。母は台所で食事の支度をしており