蓑戈祈

ヲレは誰も知らない、誰にも知られていない、そんな場所で生きていくんや …

蓑戈祈

ヲレは誰も知らない、誰にも知られていない、そんな場所で生きていくんや Twitter https://twitter.com/loveandpoooop

記事一覧

放課後の教室、又は自室

 私はそれが広がっていくのをただ、眺めていた。  高潔な白色が顔を覗かせ、褐色肌の上では一際目立っている。内に留まっているメランコリーが抑圧と鬩ぎ合う。それでも…

蓑戈祈
3週間前
7

好きって意味ある。

ミッションインポッシブルシリーズだって、ヒロインは毎作品ごとに違うんだよ。

蓑戈祈
1か月前
4

女さんへ、生きろ(笑)

視界の隅々までが極彩色に染ってゆく。いや、経った今染まり始めたのだろうか。それとも、これから深淵へと変わりゆくのか。 あたしは駅のホー厶の端からもう一方の端へと…

蓑戈祈
1か月前
5

二篇

ハートに火をつけよう。 忽ち、電脳世界の粗暴な枠組みがメラメラと燃え始めるはずだ。半断線からの発火は貴方を包み、地球がどれだけ大きくて、僕と貴方がどれだけ離れて…

蓑戈祈
1か月前
2

所感

根が真面目、このような類の表現が苦手です。そういった言葉には、少し難があるといった婉曲的な意味合いを含む場合があります。何より推測の域を出ないことを曝している気…

蓑戈祈
1か月前
5

超革命的閉鎖病棟①

ヲレはこんな所に連れていかれる様な男ではない。口を大きく開けた。不自然に舌を貫いている金属を取り除かれ、衣服のありとあらゆるポッケを探られた。ヲレの手足は痺れて…

蓑戈祈
2か月前
6

海は柔らかさを失くした 弱光の中 乾いた悲哀の抱擁 岩に擬態した人間の團が 波に揺られることなく留まっている 開けた後の抽斗の様に 虚だ それでも海は紺のまま 赤紫には…

蓑戈祈
2か月前
6

実録☆女の日記☆

海が乾いて見えました。山稜がユラユラと畝っていました。涙を流したのは数年振りの事で、地元の公園では桜が散ってしまった様でした。 私は長い長い、それはとても長い、…

蓑戈祈
3か月前
10

もう春でつね。

午後4時、校庭。踵で砂を弄り、ゴールを作った。校庭を縦に使うか、横に使うかはあの頃の永遠の議題でもあった。3階の音楽室からヲレを見下ろすのならば、校庭を縦に使って…

蓑戈祈
3か月前
2

所有されている街

女は歩いている。整然と、そして毅然と振舞っているつもりだが、傍から見れば壊れたレイディオ。馬鹿ばっかりのカネコアヤノのライブ会場。 女は考えている。この街は、私…

蓑戈祈
3か月前
2
放課後の教室、又は自室

放課後の教室、又は自室

 私はそれが広がっていくのをただ、眺めていた。
 高潔な白色が顔を覗かせ、褐色肌の上では一際目立っている。内に留まっているメランコリーが抑圧と鬩ぎ合う。それでも、一見しただけでは、私には唯の白に過ぎないように思える。いくら真摯に見つめても、抓っても,引っ張っても私の目の前には延々と静止した風景しかなかった。何か変化が起きるまで、私はそれを見ていることしかできなかった。窓の外で燕が旋回している。次第

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好きって意味ある。

好きって意味ある。

ミッションインポッシブルシリーズだって、ヒロインは毎作品ごとに違うんだよ。

女さんへ、生きろ(笑)

女さんへ、生きろ(笑)

視界の隅々までが極彩色に染ってゆく。いや、経った今染まり始めたのだろうか。それとも、これから深淵へと変わりゆくのか。
あたしは駅のホー厶の端からもう一方の端へと往還を繰り返した。黄色の線の内側には沢山の人がいるが、外側には誰一人としていなかった。
男はスマートフォンを顔の側面と肩で挟み、なんだか忙しなくしている。スピーカーから音が漏れている。甲高い女の声が男を包み込んだ。
女はしゃがみこんでいる。

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二篇

二篇

ハートに火をつけよう。
忽ち、電脳世界の粗暴な枠組みがメラメラと燃え始めるはずだ。半断線からの発火は貴方を包み、地球がどれだけ大きくて、僕と貴方がどれだけ離れていようとも、その火は消化されることはないだろう。業火の中ジルバをしよう。近づいて離れて、そのステップに重きを置こう。僕が貴方を回した時、微風が炎の勢いを断たれると決まっている。

部屋のカーテンを降ろして、コントラストを高めよう。在り来りな

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所感

所感

根が真面目、このような類の表現が苦手です。そういった言葉には、少し難があるといった婉曲的な意味合いを含む場合があります。何より推測の域を出ないことを曝している気がするからです。

彼女と初めて会った時、正しくそのように感じました。彼女は“普通”とはかけ離れた生活を送っていたので、潜在的にそういった心情の変化があったのでしょう。しかし、「根が真面目ってよく言われない?」などと尋ねることは無粋であり、

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超革命的閉鎖病棟①

超革命的閉鎖病棟①

ヲレはこんな所に連れていかれる様な男ではない。口を大きく開けた。不自然に舌を貫いている金属を取り除かれ、衣服のありとあらゆるポッケを探られた。ヲレの手足は痺れていた。
ヲレは焦燥感に苛まれている。こんな珍妙かつ滑稽な我を、晒していながらもそうと感じる。革命を起こすしかないのだ。ここ数ヶ月はそう考えていた。焦燥感とは、とどのつまり死である。何者かになりたいとかシャバい、シャバい。ヲマエらは何物でもな

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海は柔らかさを失くした
弱光の中 乾いた悲哀の抱擁
岩に擬態した人間の團が 波に揺られることなく留まっている
開けた後の抽斗の様に 虚だ
それでも海は紺のまま
赤紫にはならずに
雲が月のもとを去ったのなら
海は少しの彩りを覚える
醜悪な姿と共に
陸へと滲み出した海の残滓は
私等のしんを 蝕んでいく
蠢いている 揺れている
今にも動き出しそうな程 強烈に

実録☆女の日記☆

実録☆女の日記☆

海が乾いて見えました。山稜がユラユラと畝っていました。涙を流したのは数年振りの事で、地元の公園では桜が散ってしまった様でした。
私は長い長い、それはとても長い、学校名が記された看板の前で写真を撮ったのです。顔が歪んでしまいました。母には、伝わっていなかったと思います。マスクの中に違和感を覚えます。不織布と皮膚が擦れ合い、不和を起こしました。その時思ったのです、何もかもが間違っていたと。この感覚を消

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もう春でつね。

もう春でつね。

午後4時、校庭。踵で砂を弄り、ゴールを作った。校庭を縦に使うか、横に使うかはあの頃の永遠の議題でもあった。3階の音楽室からヲレを見下ろすのならば、校庭を縦に使ってサッカーをした方が全体を見渡せるのは明確だった。
サックス奏者の女は物静かで、ヲレに興味を持つかは定かではなかった。吹奏楽が好きなために、楽器を手に取ったのかも分からない。同調圧力が潜んでいるのはガキの周りばかりだったからだ。だからといっ

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所有されている街

所有されている街

女は歩いている。整然と、そして毅然と振舞っているつもりだが、傍から見れば壊れたレイディオ。馬鹿ばっかりのカネコアヤノのライブ会場。
女は考えている。この街は、私の街だと。この喧騒が私の全てだと錯覚している。体液が沸騰している。逆流した胃液がこの街と私を一体にする。男はよく現れる。自己形成を他者に依存することで補完している男は、よくこの街に出没すると言われている。ニューハーフはそこらにごまんと居る。

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