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所感

根が真面目、このような類の表現が苦手です。そういった言葉には、少し難があるといった婉曲的な意味合いを含む場合があります。何より推測の域を出ないことを曝している気がするからです。

彼女と初めて会った時、正しくそのように感じました。彼女は“普通”とはかけ離れた生活を送っていたので、潜在的にそういった心情の変化があったのでしょう。しかし、「根が真面目ってよく言われない?」などと尋ねることは無粋であり、僕が忌み嫌っているコミュニケーションのひとつです。口には出さずに印象の1つとして心に留めておきました。その後に彼女とは数回連絡を交わしました。自然と会話は途絶えましたが、数ヵ月後に彼女から連絡がありました。彼女は精神に不調を来たしていました。彼女はそんな時、僕を頼ろうと思ったのでしょう。嬉しかったですし、何より畏敬の念を抱きました。僕は人間的に未熟なのでしょう、他人を頼ることは苦手でした。

頻繁にODをする人が沢山います。快楽を求めている人もいるでしょう。しかし、そうでない人もいます。薬を大量に飲むと、もちろん体調が悪くなります。地球に引っ張られるような感覚になったり、幻覚を見たり、尿閉になったり。すると、自身のことで精一杯になるのです。フローリングの木目が百足のような蟲に見えます。とても怖く、現実ではないと言い聞かせても目の前でそれは蠢いています。そんな現状を直視することしかできなくなるのです。だから僕はODをするのでしょう。そういう人が他にいてもおかしくありません。

僕はいつになったら誰かに、彼女に、貴方に話しかけることが出来るのでしょうか。僕はいつまで経ってもこの狭い部屋の中で蹲っていることしか出来ないのでしょうか。彼女のように、辛い時辛いと言いたいだけなのです。今を生きているので、今辛かったら、怖かったら、悲しかったらそう叫びたいのです。未来の話をしたいのではありません。

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