蓑戈祈

ヲレは誰も知らない、誰にも知られていない、そんな場所で生きていくんや …

蓑戈祈

ヲレは誰も知らない、誰にも知られていない、そんな場所で生きていくんや Twitter https://twitter.com/loveandpoooop

最近の記事

放課後の教室、又は自室

 私はそれが広がっていくのをただ、眺めていた。  高潔な白色が顔を覗かせ、褐色肌の上では一際目立っている。内に留まっているメランコリーが抑圧と鬩ぎ合う。それでも、一見しただけでは、私には唯の白に過ぎないように思える。いくら真摯に見つめても、抓っても,引っ張っても私の目の前には延々と静止した風景しかなかった。何か変化が起きるまで、私はそれを見ていることしかできなかった。窓の外で燕が旋回している。次第により大きな円を描いて、やがて枠外へと飛んでいった。  次第に赤い液体がじんわり

    • 好きって意味ある。

      ミッションインポッシブルシリーズだって、ヒロインは毎作品ごとに違うんだよ。

      • 女さんへ、生きろ(笑)

        視界の隅々までが極彩色に染ってゆく。いや、経った今染まり始めたのだろうか。それとも、これから深淵へと変わりゆくのか。 あたしは駅のホー厶の端からもう一方の端へと往還を繰り返した。黄色の線の内側には沢山の人がいるが、外側には誰一人としていなかった。 男はスマートフォンを顔の側面と肩で挟み、なんだか忙しなくしている。スピーカーから音が漏れている。甲高い女の声が男を包み込んだ。 女はしゃがみこんでいる。前方に回り込むとパンティが見える。灰色のナイロンのパンティ。その中からか少しくす

        • 二篇

          ハートに火をつけよう。 忽ち、電脳世界の粗暴な枠組みがメラメラと燃え始めるはずだ。半断線からの発火は貴方を包み、地球がどれだけ大きくて、僕と貴方がどれだけ離れていようとも、その火は消化されることはないだろう。業火の中ジルバをしよう。近づいて離れて、そのステップに重きを置こう。僕が貴方を回した時、微風が炎の勢いを断たれると決まっている。 部屋のカーテンを降ろして、コントラストを高めよう。在り来りなステップでは、貴方との距離はいつまでたっても縮まらない。もっとプログレッシブに鬩

        放課後の教室、又は自室

          所感

          根が真面目、このような類の表現が苦手です。そういった言葉には、少し難があるといった婉曲的な意味合いを含む場合があります。何より推測の域を出ないことを曝している気がするからです。 彼女と初めて会った時、正しくそのように感じました。彼女は“普通”とはかけ離れた生活を送っていたので、潜在的にそういった心情の変化があったのでしょう。しかし、「根が真面目ってよく言われない?」などと尋ねることは無粋であり、僕が忌み嫌っているコミュニケーションのひとつです。口には出さずに印象の1つとして

          超革命的閉鎖病棟①

          ヲレはこんな所に連れていかれる様な男ではない。口を大きく開けた。不自然に舌を貫いている金属を取り除かれ、衣服のありとあらゆるポッケを探られた。ヲレの手足は痺れていた。 ヲレは焦燥感に苛まれている。こんな珍妙かつ滑稽な我を、晒していながらもそうと感じる。革命を起こすしかないのだ。ここ数ヶ月はそう考えていた。焦燥感とは、とどのつまり死である。何者かになりたいとかシャバい、シャバい。ヲマエらは何物でもないことを早く認めるべきだ。そして遺書を認めるのだ。死ぬゼ、と。それが出来きぬの

          超革命的閉鎖病棟①

          海は柔らかさを失くした 弱光の中 乾いた悲哀の抱擁 岩に擬態した人間の團が 波に揺られることなく留まっている 開けた後の抽斗の様に 虚だ それでも海は紺のまま 赤紫にはならずに 雲が月のもとを去ったのなら 海は少しの彩りを覚える 醜悪な姿と共に 陸へと滲み出した海の残滓は 私等のしんを 蝕んでいく 蠢いている 揺れている 今にも動き出しそうな程 強烈に

          実録☆女の日記☆

          海が乾いて見えました。山稜がユラユラと畝っていました。涙を流したのは数年振りの事で、地元の公園では桜が散ってしまった様でした。 私は長い長い、それはとても長い、学校名が記された看板の前で写真を撮ったのです。顔が歪んでしまいました。母には、伝わっていなかったと思います。マスクの中に違和感を感じます。不織布と皮膚が擦れ合い、不和を起こしました。その時思ったのです、何もかもが間違っていたと。この感覚を消すということは、死であると。正しく、沈痛でした。母はその日の内に帰ってしまいまし

          実録☆女の日記☆

          もう春でつね。

          午後4時、校庭。踵で砂を弄り、ゴールを作った。校庭を縦に使うか、横に使うかはあの頃の永遠の議題でもあった。3階の音楽室からヲレを見下ろすのならば、校庭を縦に使ってサッカーをした方が全体を見渡せるのは明確だった。 サックス奏者の女は物静かで、ヲレに興味を持つかは定かではなかった。吹奏楽が好きなために、楽器を手に取ったのかも分からない。同調圧力が潜んでいるのはガキの周りばかりだったからだ。だからといって外界の喧騒に目を向けてしまうだろうか。音楽室はあまりにも閉鎖的であった。 ヲレ

          もう春でつね。

          所有されている街

          女は歩いている。整然と、そして毅然と振舞っているつもりだが、傍から見れば壊れたレイディオ。馬鹿ばっかりのカネコアヤノのライブ会場。 女は考えている。この街は、私の街だと。この喧騒が私の全てだと錯覚している。体液が沸騰している。逆流した胃液がこの街と私を一体にする。男はよく現れる。自己形成を他者に依存することで補完している男は、よくこの街に出没すると言われている。ニューハーフはそこらにごまんと居る。余りに多いので言及はしない。 皆が、私の街だと言わんばかりにすまし顔だ。お前らは

          所有されている街