蓑戈祈

ヲレは誰も知らない、誰にも知られていない、そんな場所で生きていくんや …

蓑戈祈

ヲレは誰も知らない、誰にも知られていない、そんな場所で生きていくんや Twitter https://twitter.com/loveandpoooop

最近の記事

視点 恐ロシア

海は柔らかさを失くした 弱光の中 乾いた悲哀の抱擁 岩に擬態した人間の團が 波に揺られることなく留まっている 開けた後の抽斗の様に 虚だ それでも海は紺のまま 赤紫にはならずに 雲が月のもとを去ったのなら 海は少しの彩りを覚える 醜悪な姿と共に 陸へと滲み出した海の残滓は 私等のしんを 蝕んでいく 蠢いている 揺れている 今にも動き出しそうな程 強烈に

    • 実録☆女の日記☆

      海が乾いて見えました。山稜がユラユラと畝っていました。涙を流したのは数年振りの事で、地元の公園では桜が散ってしまった様でした。 私は長い長い、それはとても長い、学校名が記された看板の前で写真を撮ったのです。顔が歪んでしまいました。母には、伝わっていなかったと思います。マスクの中に違和感を感じます。不織布と皮膚が擦れ合い、不和を起こしました。その時思ったのです、何もかもが間違っていたと。この感覚を消すということは、死であると。正しく、沈痛でした。母はその日の内に帰ってしまいまし

      • もう春でつね。

        午後4時、校庭。踵で砂を弄り、ゴールを作った。校庭を縦に使うか、横に使うかはあの頃の永遠の議題でもあった。3階の音楽室からヲレを見下ろすのならば、校庭を縦に使ってサッカーをした方が全体を見渡せるのは明確だった。 サックス奏者の女は物静かで、ヲレに興味を持つかは定かではなかった。吹奏楽が好きなために、楽器を手に取ったのかも分からない。同調圧力が潜んでいるのはガキの周りばかりだったからだ。だからといって外界の喧騒に目を向けてしまうだろうか。音楽室はあまりにも閉鎖的であった。 ヲレ

        • 所有されている街

          女は歩いている。整然と、そして毅然と振舞っているつもりだが、傍から見れば壊れたレイディオ。馬鹿ばっかりのカネコアヤノのライブ会場。 女は考えている。この街は、私の街だと。この喧騒が私の全てだと錯覚している。体液が沸騰している。逆流した胃液がこの街と私を一体にする。男はよく現れる。自己形成を他者に依存することで補完している男は、よくこの街に出没すると言われている。ニューハーフはそこらにごまんと居る。余りに多いので言及はしない。 皆が、私の街だと言わんばかりにすまし顔だ。お前らは

        視点 恐ロシア