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所有されている街

女は歩いている。整然と、そして毅然と振舞っているつもりだが、傍から見れば壊れたレイディオ。馬鹿ばっかりのカネコアヤノのライブ会場。
女は考えている。この街は、私の街だと。この喧騒が私の全てだと錯覚している。体液が沸騰している。逆流した胃液がこの街と私を一体にする。男はよく現れる。自己形成を他者に依存することで補完している男は、よくこの街に出没すると言われている。ニューハーフはそこらにごまんと居る。余りに多いので言及はしない。
皆が、私の街だと言わんばかりにすまし顔だ。お前らは全員ジェネリック人間である。同じ文学モドキをコーヒー、煙草と共に臓器で濾して濾して濾しまくって、接種する。大森靖子が作ったロボット、識別番号は7か4で始まるらしい。プログレッシブなセックス依存性。ファムファタモドキの弱小ツイッタラー。
女はまだ歩いていた。男は後をつけた。やっとの思いで女の肩に手を掛ける。「随分、歩くのがお好きなのですね」

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