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超革命的閉鎖病棟①

ヲレはこんな所に連れていかれる様な男ではない。口を大きく開けた。不自然に舌を貫いている金属を取り除かれ、衣服のありとあらゆるポッケを探られた。ヲレの手足は痺れていた。
ヲレは焦燥感に苛まれている。こんな珍妙かつ滑稽な我を、晒していながらもそうと感じる。革命を起こすしかないのだ。ここ数ヶ月はそう考えていた。焦燥感とは、とどのつまり死である。何者かになりたいとかシャバい、シャバい。ヲマエらは何物でもないことを早く認めるべきだ。そして遺書を認めるのだ。死ぬゼ、と。それが出来きぬのならば、ヲレを見習ってほしい。挽回可能な立ち回り方を享受する。
ステップ1  自殺
簡単である。ヲマエらが当然所持している、完全自殺マニュアルを参考にするのもいいだろう。しかし、ヲレにはバレバレである。ヲマエは死ぬ事ができない。つまりステップ1は自殺未遂ということになる。ここで死んだら楽だろう。草木が繁茂している楽園に辿り着いてしまうのかもしれない。しかしヲマエらには無理だ。早く諦めて、緊急入院という裏路地へ逃げ果せよ。
ステップ2  緊急入院
ヲマエらは皆、揃いも揃ってキチガイである。それを自認しているのだ。つまりいつでも入院可能なわけである。任意入院だ。しかし、そんな緩やかな行動は焦燥感とは全くもって関係がないではないか。急げ。今すぐに死ぬのである。
ステップ3  観察
ヲマエらは自分を弱いだとかヤバいだとか、そんな曖昧な、陳腐な形容をしているのだろうか。本物を見よう。そして身を任せるのだ。出目金の様な男に話しかけられることもあるだろう。そいつと仲良くなれ。番も居るかもしれない。ヲマエの聖剣を二人の間に大きく振りかざそう。

1度ここまで、復習しといてください。

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