マガジンのカバー画像

FAMILY

89
運営しているクリエイター

#子どもに教えられたこと

空っぽのはずの水筒に入っていた氷の半分は、

空っぽのはずの水筒に入っていた氷の半分は、

カラカラと水筒の音を鳴らして、息子が家に帰ってきた。

額には汗。空には入道雲。青とも水色ともつかない夏の空は、私が小学生の頃と何一つ変わっていない気がした。水筒を鳴らしながら意気揚々と息子が帰ってきたのは、今から6年前。今、高校2年生の息子が小学5年生の頃のこと。そんなことを思い出す夏の日の空は変わらずに青く、そして、白い入道雲がもくもくと夏空を支配している。照りつける太陽の熱は、どことなしか今

もっとみる
左右靴下ばらばらだけど、500点獲得。

左右靴下ばらばらだけど、500点獲得。

朝っぱらから息子がゲンナリしていた。

なぜならば、その日は土曜日なのに授業がある日だった。小学5年生の息子は、爽やかな土曜日の朝の空気をぶち壊すほどの憂鬱さをまとって、リビングに登場。

「お母さんの小学生の頃はねぇ、土曜日はいっつも授業やったんやけど」なんて、擦られまくった昔話は口にしない。時代が違うんだから、そんなこと言われても、息子だってどうしようもない。

私だって、職場の大先輩方から「

もっとみる
うるうるの日

うるうるの日

「お母さん、発表の日いつやったっけ? ああ、あれか! 一日おまけのうるうるの日!」
「うるうるの日ってなんなん? それを言うなら閏日やろ。そう、2月29日ね。お母さん、もうお休みの予定入れといたけん。発表、楽しみにしとるね〜」

次男は小学四年生。
長男が小学四年生の時の最後の授業参観は、二分の一成人式というものがあった。10歳までの成長を見てもらうために、子どもたちが参観日に一人ずつ発表をすると

もっとみる
母親失格

母親失格

恥の多い生涯を送って来ました。
自分には、母親のあり方というものが、見当つかないのです。

本来であれば、ママ友などを作り、公園デビューなどするところなのでしょうが、コミュ障の自分にはそれができませんでした。
そのため、現代の母親という姿がどのような人間であるかが、皆目見当もつかないのです。

これはある晴れた日の出来事です。

その日はとても天気のよい土曜日でした。

湿度は低く、からっとした気

もっとみる
半袖半ズボン小4男児の揺らぐ決意

半袖半ズボン小4男児の揺らぐ決意

小4の次男は冬でも半袖半ズボンを貫きたいタイプだ。

長袖を着るのを極端に嫌う。
一応極端に寒くなれば長袖は着る。
しかし、朝は長袖を着ていっても、帰りには脱いで帰ってきたりもする。
できる限り、半袖半ズボンがいいらしい。

近所に住む小学2年生の姪っ子に、〇〇くんは長袖持ってないの?と聞かれてしまうくらいに長袖を着ているのを見ることは少ない。

傘も差したがらない。
傘を渡そうとしても、さっさと

もっとみる
狼少年と救急車とドップラー効果

狼少年と救急車とドップラー効果

「お前の息子は預かった。返してほしくば一兆円よこせ」

夕方の4時頃、仕事中に小学4年生の息子の携帯から着信が入る。
何事かと出てみると、脅迫電話だった。

声の主は、預かられた息子本人だ。

「忙しいけん、切るね」
私は、仕事中に電話に出たことを後悔し、すぐさま電話を切った。

「どうかしたんですか?息子さん」
気にかけてくれる同僚に、私は答える。

「いや、脅迫電話かけてきただけ」

脅迫電話

もっとみる