マガジンのカバー画像

創作

44
つくりだした言葉の羅列
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事
最果てにて

最果てにて

消えそうな光が目の前にある
手を伸ばしても届かない光が
目に見えるから愛しいこと
ずっと前から知っていた

涙ばかり追いかけないで
前をみれば ほら

最果てで再び会おう
そこはどこかなんて
野暮なことは聞かないでね?
最果てで抱き合って眠ろう
だからそこで待っていて
明日はきっと雨

消えてしまった光がここにある
手は届かなくても感じられる
目に見えなくても大丈夫
ずっと前から知っていた

でも

もっとみる
ひとりぶん

ひとりぶん

私は何にでもなれると思っていた
あの思春期は無敵だった
それは誤解だと突然気づいた
私は私一人の人生しか背負えない
ひとつの時間しか生きられない
私は宇宙でひとりだった
私は脆いひとつの魂だった

-.
なりたいものってたくさんあるのにその中でもなれるものって本当に少しなんだな
と、ぬるいシャワーを浴びている時に思いました
かなしいな
-.

死の短歌

死の短歌

死に絶えてその先にある光なら別にいらない ほしいのは今

姦しい世界と思っていただけで 海の中腹 ただ鎮まって

贈るならレクイエムかと微笑んだ そんな君には透明なハグ

死の狂気胸に渦巻く私を何事もなく乗せる快速

死にたいが希望であるなら絶望はいつ訪れると思う今際

死ぬために電車乗るから化粧する 死ぬ間際まで人目気にして

安楽死制度が導入されるまで死なないでおこう なんて無理だよ

足元に

もっとみる

無機質で硬質なもので心ができていたら
あなたのそれを手に取って
あなたの思考に触れてみたかった
そうすれば、きっと
こんなにこわい思いを
しないですんだはずなのに

叫んでは枕に埋もれ消えていく この声いつか星座となって

こぼれる

こぼれる

夜になると華がこぼれる

私のなかで密かに

脳漿を劈くような言葉

それを求めている

私は求めるが故に書いている

描いている

搔いている

尾骶骨のまわりの淑やかな肌を

その快楽は水をこぼす

華に与えたはずの水

こぼれる

--

久しぶりにログインしました
いろいろと状況が変わり、求める言葉や表現も変わってきたなと思うこの頃です
また徒然に投稿する、かも?

--

朝日がのぼるから
僕はそれまでいた闇が夜だったと知る
涙がこぼれるから
僕はいままでどれだけ本気だったのかを知る

ほんとうの

ほんとうの

夕さり
焼けることなく日が沈む
青と白と橙
ほんとうの空の色
太陽と地球と、天文全ての回転数
そうした流れが今日も
私を夢へと誘う

--

真っ赤な夕焼けよりも、白い夕暮れの方が「夢みたい」って思います

--

Welte

Welte

ねえ その羽でどこへ行くの

天使が問いかける
あたたかさもつめたさもなく
ただ庇護の中に生きる
生温い声音

さあ この足でどこへ行こう

旅人はそう答える
気楽さも堅苦しさもなく
ただ海原を見つめる
波のような声紋

(どうして行くのかな)
(どうして行かないのかな)

だれも知らないその問答は
遠くのどこかでふいに行われる
ただ静寂だけが残る
そこに声はもうなかった

--

価値観の話は難

もっとみる
逃亡者

逃亡者

スニーカーを脱いで
どこかへ逃げてしまいたい
義理も人情もいらなくて
好きなだけ歌っていられる場所へ
でもきっと私はそこで
たまらなく不安になるのだろう
こんなに逃げていいのかと

--

生きることはしがらみになりうる

--

忘れえぬ人

忘れえぬ人

早朝は独特なにおいがする
鼻腔の奥がツンとする
乾燥が目を刺激する
この感覚はなにかに似ている

そのせいで誰かを思い出す
遠くに人影が見える
知らない人に違いない
なのにどこかで期待する

イヤホンから流れるノイズ
少し音量を下げる
そうしたらどうだろう
鳥の鳴き声がした

結局すれ違ったのは
思い出した誰かではなかった
それでもこの早朝に
同じ道を歩く人だった

いつか思い出すだろうか
今日す

もっとみる
月見る荘

月見る荘

むかしは月がみえたのだ
この小さなベランダで

十五夜には月見をしたのだろう
そう思いを馳せることしか
今はできないけれど

隣に私の家より高い
アパートが建ち
目の前ではピカピカの新築が
あざ笑い
周囲もリフォームに
明け暮れている

それでも私は
この愛すべき家で
かつて見えたはずの月に
幻想を浮かべる

若き日の
そして今の
親しき人を
二重にみる

誰も知らないままでいい
私たちが想ってい

もっとみる
微

ゆわりと微睡むふとんのなか

ほおをなでる微風に

そっと微笑みをかえす

ねつにふれて微温むてのひら

となりのへやから微かなこえ

微酔いきぶんでちゅうにうかんで

もうあしたのふあんは微塵もない

--

まどろむ、そよかぜ、ほほえみ、ぬるむ、かすか、ほろよい、みじん

--

朝と音楽【アナグラム詩】

朝と音楽【アナグラム詩】

夜 更け 朝陽昇る
奥に萌ゆ山
喇叭鳴り 犬がワンと
セロをちぎれ 猫
そして、娘へ歌
笑み

よ ふけ あさひのほる
おくにもゆやま
らつはなり いぬかわんと
せろをちきれ ねこ
そして、むすめへうた
えみ

--

「あ」から「ん」までの48字でつくったいろは唄です
セロはあれです、「セロ弾きのゴーシュ」のセロです笑

前回アナグラム詩をつくった際
いろは唄にも挑戦したいなあと思っていたのです

もっとみる