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月見る荘


むかしは月がみえたのだ
この小さなベランダで

十五夜には月見をしたのだろう
そう思いを馳せることしか
今はできないけれど

隣に私の家より高い
アパートが建ち
目の前ではピカピカの新築が
あざ笑い
周囲もリフォームに
明け暮れている

それでも私は
この愛すべき家で
かつて見えたはずの月に
幻想を浮かべる

若き日の
そして今の
親しき人を
二重にみる

誰も知らないままでいい
私たちが想っていれば
それでいい

この小さなベランダから
遠くに月がみえることを




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ちょっと長めの小話。

「建築倉庫」という、建築模型を展示・保管する施設が天王洲アイルにあります。
そこに併設するかたちで「WHAT」という現代アートのコレクターズミュージアムが昨年末に出来たと知ったので、企画展目当てに行ってきました。

開催中のイベントは
「Inside the Collector's Vault, vol.1 ─解き放たれたコレクション展」と「謳う建築展」。

前者は精神科医でコレクターの高橋龍太郎氏が集めた現代アートと、実業家・投資家であるというA氏がコレクションする奈良美智さんの絵画の展示。
有名な方から新進気鋭の新人の方まで、多様な現代アートを楽しめました。

後者は「建築倉庫」に保管される建築模型と詩人とのコラボレーションが独特な展示。
私は住宅建築が好きなので模型を見られるだけでも興奮モノなのですが、さらに谷川俊太郎さんなど著名な詩人の方の詩も楽しめるということで、もう、、最高でした笑。

今日の詩はこの思い出からインスピレーションを受けて書いたものです。

今はもうない実家をモチーフに書いています。
私の家の話はまた長くなるので、いつか機会があれば笑。。

「WHAT」で開催中の2つの企画展は今年の5月30日まで見られるとのことですので、ご興味のある方はぜひ。

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