マガジンのカバー画像

写真関連

22
写真家にのみやさをりのお仕事。
運営しているクリエイター

#写真集

『黎明歌』/にのみやさをり写真集

『黎明歌』/にのみやさをり写真集

にのみやさをりさんの写真集、『黎明歌』に、 やっと自分の手が届いた。

この写真集を見るには、 私にはあまりにも、惑いと 目の開かぬ どす黒さと、 日々 翻弄される 涙と、己が 精神に晴明な 両の足が なかったのだ。

まだだ。
まだ、『 黎明歌』はわたしには 遠すぎる。

黒い 表紙に 細い 1本の 白い線。
この決然とした装丁に、 ただ 白い文字で小さく、『 黎明歌』 と記された写真集は、 長

もっとみる
個展のお知らせ

個展のお知らせ

個展のお知らせです。

6月12日より24日まで(日曜定休日)、東京・代々木のカフェヌックにて個展「Nの肖像~二十代の群像より」を催します。
去年の「Sの肖像」に続いての、今度は「Nの肖像」になります。
N君の二十代を、約10年の間撮らせていただきました。その10年の間に撮り貯めた膨大な数の写真たちから、限られた数ですが、展示いたします。

10年。それは長かったのか短かったのか。振り返ればあっと

もっとみる
『幽き声』にのみやさをり・写真集~性被害者のあなたとわたし~

『幽き声』にのみやさをり・写真集~性被害者のあなたとわたし~

にのみやさをりさんの写真集「幽き(かそけき)声」を見た。

正直なところ、一枚一枚を正視できず、読み終わった途端に突然 便失禁をしてしまった。

苦しいくらい、「幽か(かすか)な」、風景と肉体とが収められていた。

小さな薄い手作りの写真集である。

あとがき を読んだら、この写真集に出てくる女性たちは、皆、性被害の被害者であった。

私が最初にレイプ被害にあったのは16歳である。

それから 二

もっとみる
『SAWORI』

『SAWORI』

にのみやさをりさんの写真集「SAWORI」を見た。

厳然と、そこにあるものなのに、それはほんの瞬間で、霧雨でも降ってしまえば溶けて流れ落ちるような、「その時」あるいは「今」、ばかりが、震える手で抱かれるように写っていた。

「日常」はこんなにも脆く、瞬間瞬間は、指の間をすり抜ける砂のように、次々と、「戻ってこないもの」になってしまう。

傷だらけの今も、愛し合っている今も、泣き濡れている今も、向

もっとみる
『二十代の群像・Sの肖像』/にのみやさをり

『二十代の群像・Sの肖像』/にのみやさをり

にのみやさをりさんの写真集、「二十代の群像・S の肖像」を見た。

むせ返るくらい生々しい、20代と言う「生き物」がそこにいた。

その表情も仕草も生活も、実に暑苦しいくらい躍動している。

「生」の はち切れんばかりの、瞬間。

この写真を撮ったとき、にのみやさをりさんは40代であった。

20代の頃、レイプ被害によって精神が瓦解してしまい、彼女は、20代30代の記憶がない。

そんな彼女の撮っ

もっとみる
写真集「SAWORI」販売始まりました。

写真集「SAWORI」販売始まりました。

2015年に手製写真集「SAWORI」を出版した。その際kindle版もRANGAI文庫から出していただいた。
それをどうして今更?と訊かれることもあるのだが。改訂版、今こんな時代だからこそ、出さなければ、とそう思った、というのが私の応えです。
こんな、ひととひととが面と向かって顔を晒して会うことが難しくなっているような世の中だから、だからこそ、生きるって何、生活するって何、と、改めて問いたいと思

もっとみる