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『幽き声』にのみやさをり・写真集~性被害者のあなたとわたし~

にのみやさをりさんの写真集「幽き(かそけき)声」を見た。

正直なところ、一枚一枚を正視できず、読み終わった途端に突然 便失禁をしてしまった。

苦しいくらい、「幽か(かすか)な」、風景と肉体とが収められていた。

小さな薄い手作りの写真集である。

あとがき を読んだら、この写真集に出てくる女性たちは、皆、性被害の被害者であった。

私が最初にレイプ被害にあったのは16歳である。

それから 二十歳と二十代に複数回、飛んで30歳、この辺からもう数えるのをやめた。

うち、3回は妊娠した。

強姦未遂は一度。

車に乗せられて 連れ去られそうになったり、といった 危険を含めれば、歩道橋から飛び降りて顔が変わるまで、「性」の対象にばかりなって来た。

感情というものはすっかり 鈍麻 して、私は肉体のことを「物質」であると、自分の精神から引き離すことばかりしてきた。

にのみやさをりさんは20代前半、ひどいレイプ被害に遭っている。
それにより解離性障害を引き起こし、解離性健忘が酷く、20代 30代の記憶は失われている。
現在でも、解離性健忘 により、片っ端から記憶が失われていっている状態である。

今日見た、「幽き声」という小さな写真集は、何も予備知識なしに見てしまった。

空漠、死、壊れた精神、一見 儚げでそれであって襲い来るような風景、女性達の霊魂のような肉体。

そして、「壊れてしまった生々しい女という身体」。

不穏な感覚に襲われ、じっくり見ることができず、逃げるようにページをめくった。

それでもポートレートは、私の一番過敏な部分に映写され、残像は次々と 残り、体が冷たくなり、この写真集を閉じてすぐに、大量の下痢便を失禁してしまった。

私は「自分の体は物である。ただの物質である」

そう思わなければやって来れなかった。

私は精神に、強靭な 蓋をしてるのだろう。

フラッシュバックはやっと起こらなくなった。
「レイプごときで死んでたまるか」といった意志は強く、ある種の精神の解離だろうが、自分の肉体に対して非常にぞんざいである。

陽性症状である万能感により歩道橋から飛び降りる前、頻繁な自傷行為と、50回近くに及ぶ自殺未遂をやってきた。

おそらくそれでバランスが取れていたのだろう。

「自分の身体は物である。物質である」

痛みも感じないのだが、痛めつけることで、本当に死なずにバランスをとってきた。

私を救ったのはお父さんのこの言葉である。

「あなたは、もう見世物になるな。あなたの過去、あなたがうんこを食っていようが、私があなたのうんこを食えばツーペイだ。そのくらいの覚悟はある。あなたはもう、苦しむな!そして 見世物にだけは絶対になるな!」

お父さんは真剣だった。

もちろんお父さんはうんこは食べなかったけれども、あらゆる 男性から私を守ってくれた。

そして 私は症状により歩道橋から飛び降りてしまった。
この時の怪我で顔が変わったことにより、私は「自分が性の対象としか見られないこと」からも解放されたのだった。

「性被害」というものは、実に心身を蝕まれるものである。

望まない セックス、これほど苦痛なものはない。

あまつさえ レイプ となると、性器の中にマシンガンをぶっ放されたような、理不尽さと 悔しさと、耐え難い苦痛が残る。

妊娠まで しようものなら、心身ともに ズタズタになる。

私は前のパートナーに、セックスのとき、

「お前の性器は俺の砥石だ。他の女とヤる時に恥をかかないための練習台だ。俺の名刀は研いでおかなくては」

そう言われ続けてきた。

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