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When We Were Orphans by Kazuo Ishiguro

スコーンが大、大、大好きな私(普段は辛党ですが、時々ものすごく甘党になります)。

近所のカフェで購入するスコーンは少しあったかくて、その上にクリームとジャムをのっけて食べる。

(イギリスではクリームを塗ってからジャム、またはジャムを塗ってからクリーム論争が良く勃発します)。


少しぱさっとした口の中に紅茶を流し込む。

し、あ、わ、せ。。。



っと、スコーンをおともに読了した本作品の紹介です。

日系イギリス人でノーベル文学賞を受賞したイシグロカズオさんの2000年に出版された作品です。

邦題名は、「わたしたちが孤児だったころ」。

私の中では、イシグロ作品ランキング1,2を争うほどの傑作。

あらすじ

中国上海で幼少期を過ごしたクリストファー。

アキラという日本人の親友と子供らしくも時代の波に飲み込まれながら成長する。

10歳になり、父親が失踪し、続いて母親も失踪する。クリストファーは異国の地で孤児となる。

親戚をたどってイギリスにもどった彼は、イギリスで学び、成長し優秀な探偵となる。

大人になり、周りの人々にも恵まれ順調にキャリアを積む。

時を経て、様々な人々と出会い、気づけば再び上海の地に立っていたクリストファー。

戦争の忍び寄る混沌とした上海で彼は長年解けなかった問題に触れる。

「両親は死んだのか、生きているのか、あの時何があったのか」

感想

暗いくらいトンネルの先に待っていた光は、真実と共に主人公を長年待っていた。

真実は、あまりにまぶしい。まるで焼かれるような痛さ。

結末に思わず私は息をのみ、思わず「はあぁ」と小さいな声が出た。

ミステリー作品など、「あっ」というどんでん返しの驚きとは少し違う。

呼吸をとめ、また息を吸う。血がどっと流れてくる。全身で迫ってくる文字に私の体が反応した。

物語の最初には想像しなかったところに立っている自分。でも戸惑うことはない。しっかりと重ねてきた物語が私を支え、残酷ともいえる真実にも向かうことができた。

ザ・イギリス英語といえる言い回し、でもあまり難しい単語などは出てこず、割とスムーズに読める作品だと思います。

やはり日本語が少し出てきたりすると、ぎゅっと親近感がわきますよね。

カズオイシグロさんの作品は、イギリスと日本が顔を出す。

きっと日本語というフィルターを通して見えるまた違った世界が待っているような気がする。

だからこそ、作品を日本語でも読んでみたいと思っています。


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