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自主映画を、撮る。その20

本編の前にまずは、今週の「HIRUMESHI!!」のコーナーから。

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三宮が世界に誇るインネパ料理レストラン「ALOK」にてダブルカレーライス(チキンカレー+シーフードカレー)、美味しさのあまりすっかりアイスチャイを撮り損ねた。店内に流れる観たことも聞いたこともないインネパ音楽のYouTubeチャンネルに、思わず釘付けに。なんぼほどShazamかざしてもうんともすんともで。まだまだ知らない音楽ってあるものですね…

以下、本題。

2022年、9月某日。

小雨パラつく正午前の阪急某駅、そういえば電車で降り立つのなんて随分久し振りな気もするなあ。時間通りに全員集合、車に揺られながら程なく撮影候補地へ到着。昨年末に主宰監督作『かぼちゃのパンケーキ』を2テイクでサクッと行った、あの思い出の地に荷物を置き隣接する別邸へ。48時間映画祭の行方を占う築100年以上の広大な古民家は、想像以上に広大で。

どのくらい広大かというと、かくれんぼなんてしようものなら最悪放ったらかしで連れに全員帰宅されても全然不思議じゃなく、またまかり間違って催した場合遠くのお手洗いなんて借りようものなら正直元いた場所に戻れる自信がない。そういえば面識ない方数名とすれ違ったような気もする、確かに人の姿をしていた。等々様々なスペクタクルが起こる空間。

ぼくのなつやすみ、サマーウォーズ。

同席者はそんな悠長なこと言ってましたが、主宰目線はもうホラー以外想像できない。良い感じの姿鏡とか、デッドスペースの一切存在しない日本古来の機能美とか、屋根裏へ続く屈まないと上れないような階段とか。電気全部消したいねえ、懐中電灯1本で歩き進めたいねえ。色んな年代の家具が混在していて、ある部屋は昭和またある部屋は平成の面影を残す。

古民家なのに最新鋭の扇風機とかエアコンとか無線型ウォシュレットとかある感じ、滅茶苦茶に創作意欲を掻き立てられましたよ。つまりツッコミどころがあるということは即作品性に反映可能だということ。例えば神棚や和室に一切馴染みのない後輩ちゃんと、文化史専攻の先輩が繰り広げる物語。正直いくらでも書けちゃいますよね、喜劇悲劇どんと来いって感じ。

「社会問題」との接合点。

これだから無知な若いモンは、みたいな論調に終始するのも些か考えもの。なんしかこう未来志向が欲しいところですよね…そこで我々脚本班が次にどんなインスピレーションを得たか、ズバリ八百万の「神様」。さっきのトイレ話へ奇跡的に戻ります、それはそれはキレイな女神様がいるんやで。どうやらこちらの古民家、とある動物の神様にまつわる逸話があるらしく。

こちとらミッションスクール出身ですし、一定モラルある描き方はできるはず。現代社会を憂いておられる神様が山程いらっしゃるんじゃなかろうか、あくまで作品の中で彼らの複雑な胸の内を代弁することはできないものか、我々般ピーの悩み事と実はあんまり大差ないのかもしれないな。当初の予定になかった、第三の道が静かに光り照らされる。

ロケハンを通じて視界が開けた感覚。

正直これまであんまりなかったかもわかりません。キャンパスの駐輪場で希少種クワガタムシとエンカウントするくらいには、緑豊かな環境で多感な時期を過ごした。知らず知らずのうちにそれが当たり前になってたんですよね、ところが思わぬところに神は今も時代を超えて息付いていて。さぞかし悪態着いていることでしょうし、一切目もくれない状況という恐れすら。

「立体感ある画なら裏山で撮れるっしょ」みたいな驕りが心の中にあったのかもしれない。15年来の仲でも、まだ見ぬ景気や感覚を届けてくれるフレッシュな後輩の存在があってこそあり着けた境地。こういうテイストを出せる団体さんって、他になかなかない気がしているのですよ。そうした意味でもかなり異質な存在として今回エントリーできるのではと。

連載、第21回へ向けて。

とはいえ結果が全てを物語るコンペ形式です、文字通り神のみぞ知る。次回は脚本班のロケハンレポを受け、今度は撮影班が数週遅れで同地に集結。果たして彼らの撮りたい画と物書き連中とのイメージは合致するのか、はたまた真っ向から対立し水泡に帰すのか。前述の通り、今回の撮影編集組はその道でギャランティを得ているプロばかりですから。

正直かなりシビアな議論になること必至です。しかし適度な緊張状態あってこそ、優れたモノづくりが成り立つというもの。あくまで建設的に両者の意見を戦わせ、より良い方向へ持って行こうなの気概さえ共有できていればおよそ悪い事は起こらないはず。それなりに皆、大人ですから。多分大丈夫。本戦前に一旦揉めとけるなら逆にむしろそっちの方が安心かなと。

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