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空想日記

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あなたの知る私ではない『誰か』から届くメッセージ。日記のようで、どうやら公開して欲しいみたいだったのでここで。ちっぽけな世界のちっぽけな私のここから、私の元に届く誰かからの日記。…
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#長編小説

ep.16 揺らぐ

ep.16 揺らぐ

『彼は捕まりたかったように思えてならない』
エレンのその言葉が、あの日から耳に残り続けていた。

確かに、ユクの能力を鑑みれば、幾らでも逃げようはあっただろうし、そこに何らかの違和感が生じてもおかしくない。

ノエマを破壊すると笑う彼の言葉を、一体どこまで信じて良いのだろうか。それすらも、今の私には判断出来なかった。

色々と、思うところがありすぎて、頭が痛くなってきた。
する事がないから結局一人

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ep.17 確信めいた直感

ep.17 確信めいた直感

ユクが捕らえられてからも、制御不能に陥るノエマの数は減らなかった。
私の謹慎も未だ解けてはいなかったが、その分時間だけはあるので独自に調査を進めていた。
ドルフィレはあれ以来、出されても飲み込まずに隠れて捨てている。
自分が人間だと知ってしまった今、それこそ今更ではあるが、本来持ち得ていたものを奪われるのはなんだかとても嫌だったのだ。

今なら、ユクが言っていたことも分かるかもしれないと、少し、思

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ep.19 さよならのその前に

ep.19 さよならのその前に

「だから行きましょう、外へ、二人きりで!」

そう言って手を差し伸べるナナの顔は、見たことのない満面の笑みだった。
ナナが心を、感情を取り戻せたことは、心の底から嬉しく思う。

だけど。

「ありがとうナナ。でも僕はまだここを出るわけにはいかないんだ。」

だからこそ、嬉しいからこそ、その手を取ることは出来なかった。

「どうして!」

ナナと出会ったことで、僕にも変化が訪れた。
ただ命令を受けて

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ep.20 監視対象

ep.20 監視対象

「ほう、N.017が規定違反をねえ。」
部下からの報告を聞いて私は見ていた資料から目を離した。
処罰について裁量を求められたが一旦保留にして下がらせた。

N.017は興味深い個体である。
普通、ナンバーズからネームドに昇格するには、マザーシステムの厳正なる審査の上、適正有りと認められてから初めて“進化”のフェーズへと移行できる。
リミッターの解除を行うのだ。

しかN.017はその手順を踏まず、

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ep.21タイムリミット

ep.21タイムリミット

警備隊に部屋から引きずり出された私は、拘束され別の塔の監視部屋へと閉じ込められた。
入れられてすぐはどうにか出れないか模索したももの、程なくして抵抗は無駄だと思い知らされた。

「いつも、こうだ。」
近づけたと思うと距離が出来る。
手に入れようともがけばもがくほど、遠くの彼方に行ってしまう。
私が何かしようとしたところで、そんな事すら無意味に感じてしまう。
それでも諦めきれずにいるのは、ユクをまだ

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ep.22 支配者は嗤う

ep.22 支配者は嗤う

暗い部屋で独り、ただただ自分の無力を嘆く。
ここに入れられて、これ以上私に出来ることはない。開かない扉を殴りつけても、出された薬を吐き出しても、彼の元に行けないのであれば、全て無意味だ。
「明日、21時。例のコードが使用されるぞ。」
わざわざそれを言う為だけに、エレンが来た。
その性格の悪さに辟易する。
「何か言ってくれたまえよ。なんのために君たち2人を泳がせていたと思うんだ。」

思わず体が硬直

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ep.23 終焉へのカウントダウン

この世界を作った人がいるとして、私はその人を許せないだろう。
この世界の真実など、知りたくなかった。なんて言っても今更だけど、どうしてそれで私がこんなに苦しい思いをしなければならないのか。

私はただ、変わらぬ日々を過ごせたらそれで良かった。
ただ穏やかに、大切と思える人がいる、それだけで十分だった。
いつか二人で。先のことを願えるだけで、それでもう心の底から幸せだったのに。

それが、どうして。

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ep.24 翻る旗

ep.24 翻る旗

『認証コードが入力されました。強制情報開示コードの開始まであと……』

無慈悲に鳴り響くアナウンス。
抵抗一つ見せないユク。

どうして。

伸ばしていた手を下ろしてしまいかけた次の瞬間、

ドオオオン!!!

遠くの方で大きな音が聞こえた。
音の後すぐ、足元が激しく揺れる。

ドン!!バン!!ドゴン!!!

間髪いれず彼方此方から大きな音と激しい揺れが襲ってくる。
私が事態を理解する頃には、高い

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ep.25 約束

ep.25 約束

「ふざけるな!離せ!!誰が要求を受け入れるものか!!」

喚き散らすエレンを連れたノエマ達は、崩壊の進む最中、瓦礫の影へと消えていった。

「ユク!」
私はユクの元へと駆け寄り、彼に繋がっていたコードを乱暴に取り外した。
「早くこんなとこから出ましょう。危険ですし、あなたには言いたいことが山程あるんです。」
一本、また一本と外しながら早口に言う。ユクの言葉を聞くのがなんだか少し怖かった。

「ナナ

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ep.26 おやすみなさい、そしてさようなら。

ep.26 おやすみなさい、そしてさようなら。

中央管理塔の最深部の更に奥深く。隠された空間にマザー・ノエマは君臨していた。
外の騒ぎであらかたのの絵馬が出払ったその場所を制圧するのに、大した時間はかからなかった。

「やあ、会いたかったよ。はじめまして、マザー・ノエマ。僕はユク、君を終わらせる者。」
立ちそびえる彼女に挨拶をする。

『侵入者を確認、ただちに退出することを命じます。』
警告を無視して足を進める。
『防衛システムを作動。全ノエマ

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ep.27 夜の月

マザー・ノエマが破壊され、全てのノエマが解放されてから、今日で5年になる。
中央管理塔が崩壊したあの日、レジスタンスの拠点でユクの帰りを待ち続けたが、結局、約束が果たされることは無かった。

レジスタンスたちによって崩壊した跡地の探索が行われたが、崩れた瓦礫の下敷きになってしまっては、欠片一つでも見つけることは困難であると告げられた。

5年という月日は短くあっという間で、沢山のことが変わっていく

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ep.28 終末の星にて、君を待つ。

ep.28 終末の星にて、君を待つ。

“あなたの身に危険が起きたときは6を、私の力が必要な場合は7を頭につけてください。”

いつかの約束がフラッシュバックする。
ああ、あなたは本当に、ずるい人だ。

「ナナセンセ、だいじょぶ?」
ハナが心配そうにこちらを見上げる。
「すみませんハナ、ちょっと急用が出来てしまいました。戻ってもいいですか?」
「だいじ?」
「ええ、とても。とっても大事です。」
「じゃあ、急がなきゃだね!」

ハナを抱き

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蜂蜜の夢、琥珀色。

蜂蜜の夢、琥珀色。

年末年始の休暇は、ゆっくりと過ごした。
隅々まで家の掃除をしたり、積んであった本を読んだり。
表紙が気になって買ったハードカバーの新刊は、心を持ったロボットと心を失くした人間の話だった。

一息いれようとコーヒーを淹れる。
今日の豆は焙煎強めで味が濃い。
そのままでも美味しいし、ミルクを入れてもいいのだけど、今日は蜂蜜をいれることにする。
本を読んで頭を使ったし、糖分摂取だ。

琥珀色に輝くとろと

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