見出し画像

ep.17 確信めいた直感

ユクが捕らえられてからも、制御不能に陥るノエマの数は減らなかった。
私の謹慎も未だ解けてはいなかったが、その分時間だけはあるので独自に調査を進めていた。
ドルフィレはあれ以来、出されても飲み込まずに隠れて捨てている。
自分が人間だと知ってしまった今、それこそ今更ではあるが、本来持ち得ていたものを奪われるのはなんだかとても嫌だったのだ。

今なら、ユクが言っていたことも分かるかもしれないと、少し、思った。

薬が抜けたからか、前よりも大分感情的になったように思う。感情は持て余すしコントロールが難しいしで、中々安定しないのだけど、それが心地よい自分もたしかにいる。

嘘を吐かれていたという事実に酷く腹を立てて、最初こそ怒りでいっぱいだったが、今はそれよりもどちらかというと、何故?という疑問が多く浮かんでくる。

ひとつひとつ、自分が出した調査結果を洗い直していくと、その疑問がより鮮明になっていく。

ユクの言っていたノエマシステムの破壊とは具体的に何?もし現在の制御不能ノエマにユクが関わっているとしてその効率は?そもそもどうしてあんなに簡単にユクへと辿り着くような痕跡が残されていたのか。私に見つかった時もそうだ。ならば真の目的は?

直感。

というのだろうかそれは、なんの根拠もないのだが、頭に浮かんだその考えが正しいように思えてならなかった。
そしてそれはある種の確信めいていた。


その話を聞いたのは、そんな折だった。
ユクに強制情報開示コードが使用されることが決まったというのだ。

コードの使用まで、残された猶予はあと3日。

いつも応援ありがとうございます! 頂いたお代は、公演のための制作費や、活動費、そして私が生きていくための生活費となります!! ぜひ、サポートよろしくお願い致します!