見出し画像

繊細さんと鈍感さんについてのお話

こんにちは。イラストレーターのさちみつです。
今回はHSPについて、私が勝手に感じていることをお伝えしようと思います。
HSPという概念の捉え方の一つとして楽しんでいただければ幸いです。


|HSPとは

「繊細さん」と呼ばれているHSP。最近はHSPがメディアに取り上げられることもあり、一度は耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。調べてみたところHSPとは「Highly Sensitive Person」の略で、生まれ持った性質として「感受性」が高い人のことを表しているそうです。

私は大人になるまで、自分がHSPだと気付かずに生きづらい日々を送っていました。現在は自分の中の「繊細さ」と、しっかり向き合い共存しながらのんびり暮らしています。


みんな同じだと勘違いしていた

学生時代は日々「生きづらさ」を感じながら生活していましたが、自分以外のみんなも生きづらい中で頑張って生きているんだと勝手に思い込んでいました。

月曜日から金曜日まで毎日学校へ行くだけで疲れてしまい、土日になるとヘトヘトで引きこもりたくなる。でも友達に誘われると断る理由がないから遊びに行く。そして夜になると疲れ果てて苦しくて泣いてしまう。
私は日々の生きづらさや苦しさを感じながらも、みんなも同じだと思っていました。みんな同じだけ体力を使って疲れたり苦しかったりしている中で、私だけがそれを乗り越える力が足りない。私だけが努力が足りない。私だけが怠けていると本気で思っていました。

当時はまだ「繊細さん」という言葉が普及していなかったので、何故こんなに苦しくて疲れるのかわからずとてもつらかったです。
私だけがおかしいと感じて病院で診てもらったこともありましたが鬱でもなんでもないと判断されて、じゃあ本当に努力が足りないただの怠け者なんだと、人間業が向いていないのだと思い、どうすることもできず、なにもかもが嫌になっていました。


HSPの概念と出会ってからのつらさ

大人になってから初めてHSPの存在を知り、「なにこれ、私のことだ!」と激しく共感し驚きました。

些細なことで刺激を受ける。たくさん刺激を受けるから疲れやすい。生まれ持った気質だから病気じゃない。

自分が人より繊細な気質を持っているとわかってから、書籍やネットでHSPについて深掘りしていきました。

・明るいところに居ると光の刺激を受けすぎるので電気を消したりカーテンを閉めたくなる。
・人混みが苦手で楽しいはずのお祭りが苦痛。
・イベントの日の夜は疲れ果てて混乱して泣いていまう。
・音に敏感でどこへ行ってもすぐ疲れてしまう。
・疲れるから長時間眠らないと回復できないロングスリーパー。

調べれば調べるほど共感を得ることができたと同時に、絶望がチラつきました。私が長年追い求めてきた「どうすれば普通になれるか。」の、答えがどこにもないのです。

対処法の多くは、刺激が最小限で済むように工夫して暮らしましょう!といったものが多かったように思います。情報収集していく中で「普通になれるかもしれない。」という希望は消えていきました。生まれ持った気質だから病気じゃない。つまり治すもの、治るものではないということです。


|HSPとの向き合い方

「どうすれば普通になれるか。」という疑問に対する答えは無かったのですが、自分が刺激を受けやすいという事実を受け入れた後、そもそも「普通とは?」と感じるようになりました。

HSPは、①感受性が高いから、②刺激を受けやすく、③疲れやすい。

①の感受性が高いと言った部分のみに注目すると繊細さはマイナス面ではなく他者より秀でた能力なのではないか、と考えるようになりました。
(HSPについてさらに深掘りしていること自体が、まさに自分のHSPさ・繊細さを感じます。)

例えば足が速い人は、人より速く走れるという秀でた能力を持っています。
足が遅い人と足が速い人が、かけっこで競争たら、足が遅い人は勝てません。しかしいくら足が速い人でも、ずっと走り続けているといつかは絶対に疲れます。常に全力で走っているわけではなく、歩いて良い場面では歩きますよね。

繊細さんも同じです。感受性が高いという部分は、人より秀でた能力です。
美しいものの美しさに感銘し、四季の移り変わりや人の感情の起伏などを感じ取ることは素晴らしい能力だと思います。繊細さんの感受性の高さが生まれ持った気質だということは非HSPさんは繊細さんよりも感受性が低いということです。非HSPさんは、日本の美しい四季や雨の匂い、葉っぱの揺れる音など、自然の豊かさに感受性を揺さぶられないなんて、なんだかもったいないですね。

しかしいくら繊細な人でも、ずっと刺激を受け続けたらいつかは疲れます。足が速い人が歩いて良い場面では歩くのと同じで、繊細さんの場合は常に刺激を受け続けるのではなく、受けたくない刺激は受けないように自分でコントロールすることが大切だと感じました。


HSPは超能力一歩手前

繊細さについて深く掘り下げて考えていく中で、たどり着いた1つの仮説は、HSPは超能力一歩手前かもしれないということです。(もちろんふざけているわけではありません。いつも真面目で真剣です。)

HSPは物事に対し深いところまで考え込み、人の感情や光・音・気配などの目に見えないものに敏感に反応します。逆に非繊細さんは目に見えない些細な変化を敏感に感じ取ることができません。私たちHSPが持っている高い感受性はみんなが持っているものではない、一部の人だけに授けられた特殊な能力です。心の声が聞こえる・空が飛べる・透視能力がある・瞬間移動ができるなどの超能力に近い、秀でた能力と言っても過言ではないのかもしれません。こんな風に考えることで、学生の頃はただ生きづらくて苦しかっただけの繊細さがだんだん尊いものに感じられるようになりました。

前向きにとらえることができたからこそ、こうやって自分なりに、自分の中の繊細について分析し、噛み砕いて受け入れる作業が、生きやすさに繋がっていくのだと実感しました。


繊細さんと鈍感さん

HSPをマイナスとは捉えず生まれ備わった秀でた能力と定義することで辿り着いた着地点は、結局私たちが繊細さんなのか、それとも非HSPさんが鈍感さんなのか・・・どちらの目線で見ているかということです。

世の中がHSPに対し「生きづらさを感じる繊細さん」と、しんどい名前をつけた理由はHSPの人数が少数派だったからではないでしょうか。

私の家族は夫だけが非HSPで、それ以外はみんな繊細さんです。HSPについて深掘りしていき「HSPは超能力の一歩手前だー!」と今世紀最大の発見をしてから、家族の中では私たちが繊細さんなのではなく夫だけが鈍感さんということになりました。

鈍感さんは、日本のこの美しい四季の流れを肌で深く感じ取ったり、美しさに感銘し涙することがあまりないそうです。人間の感情の起伏を深くまで読み取り相手の考えていることが分かった上で自分の行動を決めるなんて、考えられないそうです。

たった一人の鈍感さんと一緒に生活していると、良い意味での鈍感さがとても愛おしく感じます。(非HSPを悪く言っているわけではなく、むしろ逆です。愛おしい存在です。)

以前、夫から「生きづらそうだね。」と言われたことがあります。
たしかに意識して気を付けていても刺激を受け過ぎて疲れしまう日もありますし、感受性が高すぎるハイスペックな人間、いや、オーバースペックな人間としてここまで生きてきましたが、もし生まれ変わるなら私はまた繊細さんになりたいです。そう思えるくらい自分で自分の繊細さを理解して受け入れて気に入ることができたのだと感じます。


適材適所

お仕事についてのお話も少しさせていただきたいと思います。
以前はエネルギッシュな鈍感さんの輪の中に混ざって必死で追いつこうと仕事をしていましたが、気を使いすぎてとても疲れるし何より心がすり減っていく感覚が確実にありました。精神が崩壊するギリギリまで働いて急に辞めることになってしまい、そこで初めて無理をしていたことに気が付きました。

現在はありがたいことにイラストレーターとしてのんびり在宅でお仕事をさせていただいております。もちろんイラストを制作する上で色選びなど私の繊細さが武器になっている!と感じるのですが、それだけではなく打ち合わせなどの制作以外の時間にもHSPがパワーを発揮しています。
イラストを制作する中でヒアリングの作業はとても大切で、メッセージのやり取りの中でクライアントさまのご希望や方向性、して欲しいこと、して欲しくないことを丁寧に読み取ることで、満足していただけるような納品物を仕上げることに繋がっています。

時間がかかってしまいましたが最近になってやっと、生まれ持った繊細さが上手に活用できるような仕事の環境に落ち着いたことで、私はこのためにHSPとして生まれてきたのかな、と感じることができました。


|HSPのまとめ

私の持っているHSPって超能力だよ!と、夫に伝えても「僕はその能力は要らないかな。」と笑われてしまいましたが、息子に伝えたら「なにそれ!かっこいい!」と興味津々で返事が返ってきました。受け取り方は人それぞれですね。

  • みんな同じじゃない

  • 生きづらいと感じたらHSPのことを知ってほしい

  • 知ったあとはHSPとどう向き合うか考えてほしい

  • 自分の繊細さに気づいたらどう受け入れてどう自分の中に落とし込むかが重要

  • 心がすり減る感じがしたら限界が来る前に休もう

この世界には、繊細さんと鈍感さんの両方が必要なんだと思います。右利きの人と左利きの人、女性と男性、繊細さんと鈍感さん。お互いが正反対の性質を持っていて補い合って支え合って、世界が回っているんだと思います。
どうしても少数派の人が影に隠れてしまいがちですが、自分が繊細さんなのか、みんなが鈍感さんなのか、視点を変えてみると意外と単純だったり楽しかったりしてくるものだと思います。

以上、繊細さんと鈍感さんについてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?生きづらいと感じながら日々暮らしている方がおられましたら、こんな考え方もあるんだなぁと思っていただければ幸いです。

この経験が少しでもあなたの幸せに繋がりますように。

遊びに来てくれてありがとうございます!よりよい記事を制作できるよう励んでまいりますので、よろしければ応援よろしくお願いします!