彼と東京

私は彼氏ができた時別れることは考えないようにしている。好きな人が言う一生は本当に永遠だと勘違いしてしまうし、未來を勝手に美しく想像してしまう。

でも私の彼は少し違う。リアリティがある。何に対してもあまり好きとは口にしないし、未來のことは多く語らない。
そんな彼は東京の街とよく似ている。無機質で規則正しくて無関心。それでいて誰かの憧れのような存在。雨でも晴れでも変わらず堂々としていて、私に新しいワクワクを教えてくれる。

東京がこんなにも色鮮やかで優しい街だと気づいたのは彼と出会ってからだ。

私が必死なのは彼が東京そのものだから。一生忘れられなくて一生離れられない。そんな存在だから。
私はまだまだ、東京に似つかわしい大人な女性には程遠いけれども彼のことを誰よりも見透かしていたい。

人は誰でも輝かしい部分もあれば廃れた小汚ない部分もある。穏やかな場所もあれば荒々しい場所もある。そんな不安定で不純な部分も全て愛し、そして愛されますように。
私も彼にとってそんな存在になれますように。