- 運営しているクリエイター
記事一覧
【読書記録】ジャン=フランソワ・リオタール『ポスト・モダンの条件: 知・社会・言語ゲーム』を読む。
全体要約
リオタールは同書で、高度に発展した先進社会の特徴を、その社会における「知(仏:savoir)のあり方」に注目して概念化した。近代化を終えた社会は20世紀後半に入るにつれ、情報化、脱工業化、資本主義の拡大、経済のグローバル化など様々な変化を迎えた。そうした社会での知のあり方は「真理の探究」ではなく、経済的な利益を目的とした知識生産へと変わっていった。こうした変化の本質を哲学的に整理するこ
【要約】リン・ホワイト「生態学的危機の歴史的根源」、『機械と神』収録
本noteでは、環境思想黎明期における主要著作、リン・ホワイトの「生態学的危機の歴史的根源(The Historical Roots of Our Ecologic Crisis)」(1967)を扱う。
同論文は、中世農業技術史が専門のリン・ホワイトの著作で、彼がアメリカ科学振興協会 (AAAS)で行った講演を元にした「講演論文」である。リン・ホワイトは、同論文において自身の専門である「中世農業
【読書記録】東浩紀『訂正可能性の哲学』、 第1部「家族と訂正可能性」を読む。
このnoteは、東浩紀『訂正可能性の哲学』に関する読書記録である。同書は2部構成で、第1部「家族と訂正可能性」、第2部「一般意志再考」となっている。今回は第1部に限定し、その内容を要約、パラフレーズした。また各章には自分のコメントを記している。
第1部 「家族と訂正可能性」東浩紀は、普遍的な理性による「開かれた連帯」から始める今の"リベラル"に対して、「開かれ」から始めることは人間には不可能であ