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【夢日記】<上②>鳴かず飛ばず

※「上①」


「上①」では、僕のほっぺたを触られながらも、嫌悪感よりもむしろ、”もっと触って欲しい”、という欲求すら抱いていた、Yについて深掘りしていなかったため、「上②」で、彼女のことを詳しく筆記してみたい。

夢世界において、僕とYの馴れ初めや関係性が描写されることはなかったのだが、Yに対して抱いた感情から察するに、現実世界で僕がYに抱いていた想いは、夢世界も同じであったのだろうと仮定して、ここからは、現実世界をベースにして、話を進めることにする。

注釈

Yとは、高校のクラスメイトの関係性で、特段、プライベートなやり取りをした覚えは無いのだけれども、僕が密かに、恋心を寄せていた女性でもあった。

「恋心を寄せていた」と述べたが、それでありながら、別の女性とお付き合いしていたりするのだから、僕という人間(「男」と書いたが性別は関係ないと判断し「人間」と書き直した)は罪な生き物だなと、つくづく思う。

他の人によっては「浮気」と取られても致し方ない。なぜなら「気持ちが浮つく」を熟語になおしたのが「浮気」なのだから。

つまり、本来は「行為」ではなく「気持ち」を指した言葉なのだ。関係を持っていても、関係を持っていなくても「浮気」は成立するわけなのである。

注釈

その事実を高校の時分から暗に悟りながらも、「恋心を寄せる相手」と「交際相手」とが、同時に存在するといった、複雑な恋愛事情であるケースが、とてもとても、多かったように思われる。

自分自身、交際相手のみに恋(この場においては「恋」と「愛」はニアリーイコールとみなして「恋」とだけ筆記した。ココでは両者の違いを議論する必要性は無いと判断されるため、割愛する)のベクトルを向けられていない状態に、カルマを背負う想いに苛(さいな)まれてきた。

その根本要因を、”自身の多情と倫理観の乏しさ”、ではなく、”人間関係が広過ぎる”、と結論付けた僕は、学生の身分を終えた後は、「人間関係とは『狭く・深く』が本来在るべき姿なのだ」といった主義主張のもと、人間関係の断捨離に着手した。

その甲斐あってか、学生時代(「幼保~大学」の広い範囲を指す)の知り合いとは、今も連絡を取り合う少数の友人を除いて、音信不通の状態となり、人間関係で思い煩うことは、大いに減ったように思われる。

しかし、その反動とでも言うべきか、日常生活の至る所で、ふっと過去の経験記憶がフラッシュバックして、当時お世話になった人物に想いを馳せたり、またあるいは、誕生日を記憶しているぐらい(忘れることが出来ない、と言った方が正しいのかもしれない)深い関係を持っていた人物のことを、毎年、その日を迎えるごとに思い出しては、物思いに耽っていたりもする。

そう考えると、どちらにせよ「浮気男」のレッテルを貼られても、何の文句も言えない人間なのだなぁと、我ながら辟易としてしまって、ただただ、自嘲のような笑みをこぼすしかないのであった。

余談

「密かに」とは書いたが、僕が高校時代に友好的な関係を築いていたY男(偶然にもイニシャルが同じで分かりづらいため「Y男」と記す。ちなみに「義男(よしお)」などといった名前ではなくて、性別で違いを示すための「Y男」である)には、話の流れで、サラッと、”好意を寄せている”、ぐらいの熱量では、伝えたことがある。

その時、Y男は「ふ~ん」ぐらいの薄いリアクションで、そのまま会話が打ち切られたことを、僕はハッキリと覚えている。おそらく、Y男からすると、そんな話はとっくの昔に忘れていて、僕が好意を寄せていたことすら、覚えていないのではないかと思われる。それぐらいのリアクションの薄さだった。

無論、僕はY男ではないため、覚えているか忘れているかは、聞いてみないと分からないことではあるのだが、「人間の記憶は感情と密接に関連している」が持論の一つである僕にとって、Y男の感情がほとんど動いていないようなリアクションから、まぁおそらく覚えてはいないだろう、と推測することが出来るわけだ。

そして、そんな彼の一挙手一投足を、今現在もなお、事細かに覚えている僕は、Y男とは正反対に、感情が大きく動いたことを指してもいる。

当時、今よりもっと未熟だった頃の僕は、”好き嫌いは人それぞれである”、の観念が弱かったのか、「なぜY男はYの魅力に気付けないのか?」と、”お節介な哀れみ”、のような念を抱いたこともまた、記憶している。

ただ、今振り返ると、Y男の「ふ~ん」は、肯定も否定も行わない、”丁度良い距離感”、とも思える。「えっ、なんでYなんか好きなのよ?おかしいじゃないの?」と言った具合に、僕の恋心を踏みにじるようなマネはしてこなかった。

そんなY男の配慮に気付くことはおろか、自分が期待していたようなリアクションではなかったことに苛立ちのようなものを覚え、Y男の審美眼を疑い、相対的に、自分の審美眼こそが正しいのだ、という想いを強めた当時の自分が、我ながら、忌ま忌ましくて仕方がない。

注釈

Y男の薄いリアクションからも分かるように、僕が恋心を寄せていたYは、いわゆる「クラスの男子からモテていた女子」ではなかった。敢えてラベルを貼るならば「あまり目立たないタイプの女子」が最も近しいのではないかと思われる。

ゆえに、他のクラスメイトは、当時のYはどんな人だったのかと聞かれても、詳しく答えられる人は、そう多くはないであろう。

だが、僕は違う。例えるならば、物陰からひっそりと眺めるかの如く、Yはおろか、周りの誰からも、恋心を気取(けど)られないぐらいの距離感を保ちながらも、Yのことを、密かに、でありながらも、つぶさに、観察していたから。

Yは、同じクラスメイトの女子のMと、二人で居ることが多かった。休み時間はもちろん、移動教室で行き来する際も、二人並んで歩いていることが多かった。

これもまた、他のクラスメイトからしたら、「あぁ、確かに言われてみれば、二人で居ることが多かったかもね」と思い出せたとしても、「で、それがどうかしたの?」ぐらいの薄いリアクションで、会話が打ち切られることだろう。

だが、僕は違う。そんなMとYを後方から観察しながら、僕の妄想世界で、二人がレズビアンの関係を築いていると仮定して、

(「Mが『タチ』でYが『ネコ』と考えるのが自然な流れだとは思うが、僕の性癖的には『強気受け』がドスライクなので、Mが『ネコ』でYが『タチ』もまた見てみたい・・・。」)

(「テニスの王子様の河村隆よろしく、Yがベッドに入ると豹変して『性の獣(けだもの)』と化す世界線も面白い、いやでも、より僕の性癖に合致させるのであれば、普段と雰囲気は変わらないけれども、”レズテク”、でMを優位に上回り、屈服させてしまう方が、より、そそられるじゃないか・・・。」)

そんなことばかり考えては、一人静かに、悦に入っていた。

僕にとって幸運だったのは、Mもまた、”恋心”、とまでは行かなくとも、”好感度ランキング”、で言えば、上位~中位の間にはランクインしてくるであろう女性であったことだ。

Yを「あまり目立たないタイプの女子」と書いたが、Mは、それで言えば「割と活発なタイプの女子」であった。女子ソフトテニス部のキャプテンを務めるぐらいには活発だった。

自分で書いておきながら、その一例だけで「活発」と称するのもどうかと思ったが、今回は「M」ではなく「Y」に焦点を当てているため、これ以上、詳細を述べるのは控えることにする。

注釈

「後方から観察」と述べたように、僕がYを密かに眺める際のアングルは「後方」であることが多かったと記憶している。

前述した移動教室を例に挙げるとイメージしやすいはずだ。

この場合、MとYが二人連れ添って目的地へと向かう際、少し遅れて、じゃあ自分も移動しようかなと、同じ場所へ移動を始めると、凄く自然な形で、且つ、じっくりと、彼女達を観察することが出来るわけだ。

物心がついた頃から「人間観察」と「深読み・裏読み」が習慣付いている僕は、自分で言うのもなんだが、「どうすれば相手から悟られないか?」という手段を突き詰めることに長けている自負がある。

無論、何の役にも立たない、むしろ、公衆の面前で発言するのは控えるべきスキルであるのだが。(SNSに書くのも控えるべきだろう?)

余談

・・・コホン。

筆記していくうちに、ところどころでヒートアップしてしまって、話が二転三転してしまったのだが、とりあえず、僕が、Yに恋慕の情を抱いていたことは、大体、察してもらえたかと思われる。

それを踏まえた上で、夢世界で描写された内容に、戻ろう。

僕は「上①」で詳しく筆記したように、クラスメイトの男女から、ほっぺたをひたすら触られていた。それでいて、”されるがまま”、の状態となっていた。

しかし、冒頭で述べたように、Yに触られた時は、嫌悪感よりもむしろ、”もっと触って欲しい”、という欲求を抱いていた。その理由は、密かに恋心を寄せていたからに他ならない。

そして、この、”もっと触って欲しい”、という欲求は、そのまま「性的興奮」へと転化していった。

「性的興奮」は、”目に見えない精神的な変化”、でとどまることなく、”目に見える肉体的な変化”、にまで高まっていった。

有り体に言えば「勃起」したのだ。

僕は、Yにほっぺたを触られながら、より事実に即して書けば、僕のほっぺたを、ムニューと押してみたり、ビョーンと伸ばしたりして、「モチモチしててお餅みた~い(笑)」と遊ばれながら、股間を大きく膨らませていたのである。

そんな僕の変化に、まず、Y以外の男女が気付いた。そして、”見たくないものを見てしまった”、と言わんばかりの表情で、クモの子を散らすように、(当然、Yも引き連れて)去って行った。

一人ぼっちになった僕は、Yに触られていたほっぺたに自らの手を添えて、間接的なスキンシップを楽しみつつ、しばらく、余韻に浸った。

股間は膨らんだままだった。

~「中」へ続く~

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