マガジンのカバー画像

竜さんの「つぶやき以上○○未満」

94
長すぎるつぶやきと……。
運営しているクリエイター

2018年8月の記事一覧

ああ、夏休み。

ああ、夏休み。

何日か前くらいから、いつの間にか夏休みしてた。気づいてなかったけど。

ちょっと今日はもういいかあ……なんつって次の予定を取りやめにして、だらーんとして、洗濯物を畳んでみたり、途中でゴロゴロしてみたり、届いたばかりの本を読んだり、何しよっかぼんやり考えたり、眉間に皺を寄せながらアホみたいに集中して「何をすべきか」と考えこんでみたり、飲みたくもないのに瓶ビールを開けてみたり、猫を撫でてみたり、岩盤浴

もっとみる
まる子とももこの光と闇。

まる子とももこの光と闇。

さくらももこさんの訃報を聞いて、あまりにも驚いてショックを受けている自分にまず、驚いた。

五十三歳というのはたしかに早すぎる気がしたし、ちびまる子ちゃんという国民的アニメが日常に浸透しすぎて、永遠のように錯覚していたのかもしれない。

ちびまる子ちゃんとの出会いは、高校生の頃ハマっていたオーケンこと大槻ケンヂさんのエッセイだったと思う。

それまでは、サザエさんと同じように家族で楽しむホームコメ

もっとみる
噂の効能。僕らは陰口を食べて生きてきた。

噂の効能。僕らは陰口を食べて生きてきた。

たまに、昼時にテレビをつけるとうんざりすることがある。

俳優だと言いながらバラエティで見ない日はない声の大きな司会者が、今日も世にはびこる不正や問題に斬りこんで、我が事のように真剣に腹を立ててがなりたてている。午前中いっぱい懸命に仕事をやり通した後にそんなの見たくない。お昼からうるさいんだってば。

もちろん、うるさいと思うのなら見なければいいだけの話なので、すぐにテレビを消して、iPhoneも

もっとみる
罪の意識とひきかえに。たぁぁぁかねの花よ。

罪の意識とひきかえに。たぁぁぁかねの花よ。

おいちゃんは東京で生まれて野島伸司で育ったので、今も毎週『高嶺の花』というテレビドラマを観ている。意味もなく唐突に「たぁぁぁぁぁかねの花よ!」と石原さとみちゃんの真似をして家族に鬱陶しがられている今日この頃です。

野島伸司のドラマはいつもその時代の世相や色あいを見せてくれる。浮かれた時代には底抜けに明るい色恋ものを、平和ボケした時代には後ろ暗くあさましい人間の闇を、閉塞した時代には心温まる絆の物

もっとみる
野菜のごちそう

野菜のごちそう

最近、僕もじじいになったもんだなあと感じるのは、野菜が非常においしくなってきたことだ。

以前なら、ラーメンだ焼肉だエスニックだと、刺激が強く脂っこい食物ばかりを欲していたのに、今はちょっと飲みにいこうかとか、お昼になにを食べようか、というときに、自然と気持ちが野菜の方を向いていることが多い。

とはいっても、野菜中心の食生活をしているわけではなくて、今でもわりと頻繁に焼肉もラーメンもパスタもたら

もっとみる
さようなら風見鶏。

さようなら風見鶏。

その店は、どことなく不思議な店だった。

チェーン店のようでチェーン店ではなく、中華料理店らしくないけどれっきとした中華料理店で、ファミレスのような清潔でポップな外観なのに、働いているスタッフは家族のような雰囲気で、いつ訪れても同じメンバーが元気よく迎えてくれた。

何かが特別うまいわけでもなかった。ラーメンも餃子も炒飯も、おいしいけれど、まあどこにでもあるようなクオリティというか。

料理や接客

もっとみる
飲みたい夜が終わるとき。

飲みたい夜が終わるとき。

富士山麓に広がるキャンプ場は、想像していたよりずっと広大な土地で、見わたす限りの山と芝の緑にはため息がもれるほどだった。

ハンモックに揺られ、うまいメシを食らい、やがてうるさく飛びまわっていた虫たちも夜露の重みに羽根を落ちつける頃になると、聞こえるのはテントから漏れる子どもたちの寝息だけになっていた。

僕と家内はルミエール・ランタンの小さな炎に揺られながら、ワインをちびちび啜って、とりとめのな

もっとみる
スクリーン・スレイヴァーと猫。

スクリーン・スレイヴァーと猫。

『インクレディブル・ファミリー』というアニメ映画に、スクリーン・スレイヴァーという名の不気味なヴィラン(悪役)が出てくる。

音の響きはスクリーン・セーバーみたいでのんきなんだけど、〈slave〉というのは〈奴隷〉という意味だから、〈スクリーンの奴隷にしてしまう怪人〉〈スクリーンの奴隷商人〉といったところか。

その名の通り、この人はスマホやタブレット、パソコン、テレビなどのスクリーンを見ている人

もっとみる
たゆたう真夏のオリーブ。

たゆたう真夏のオリーブ。

ウッドデッキが殺風景なので、オリーブの木を買ってきた。

植物を育てた経験はほとんどないので、お店の方に詳しく説明してもらって、中くらいのオリーブの鉢植えともうひとつ、あれ、名前忘れちゃったぞ、なんていったっけ?

ともあれそれに合う鉢を二つと。

ルノー・カングーは室内高が110cmくらいあるので、背の高い鉢植えもそのまま積みこめる。

夏のあいだ、荷台はキャンプ道具が積んだままなので、後部座席

もっとみる
村上さんのクールさと福田さんの愛らしさと。

村上さんのクールさと福田さんの愛らしさと。

過日、四十三歳の誕生日に書店で村上春樹さんの名前を見かけてから、ずいぶんひさしぶりに春樹さんの短編やエッセイを読んでいる。

っていうか、書いてから気づいたけど、僕はもう四十三歳になっちまったのか。れっきとしたおじさんじゃないか。春樹さんを読みはじめた頃は、まだ女性も知らないような年齢だったから、気持ちはあの頃と地続きで若いまんまなんだけどな。

スパゲティを茹でていたら知らない女から電話がかかっ

もっとみる