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四畳半タイムマシン・ブルースを読んだよ

四畳半タイムマシン・ブルースを読んだよ

相変わらず美しい中村佑介氏によるジャケ。
森見氏とアジカン氏は実に羨ましい。

『四畳半タイムマシンブルース』は、森見登美彦(もりみ とみひこ)によって書かれた作品で、森見の有名な作品である『四畳半神話大系』と対をなす存在です。

はっきり言って、『四畳半神話大系』の第5章。
スピンオフ版であり、『四畳半神話大系』を読んでいないと楽しさは半減するかも。

あらすじ

物語はある暑い夏の日、主人公「

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【読書】たのしいエッセイが読みたい!!「村上朝日堂」

【読書】たのしいエッセイが読みたい!!「村上朝日堂」

村上春樹①

小説家「村上春樹」のエッセイ「エッセイ」は面白いですよ。
特に作家さんのエッセイは、小説の作風とは全く違かったりして、書き手がほんとに悠々と書いているのがわかる。
(対して音楽家、ミュージシャンのエッセイは嫌い。面白いのあったら教えてください)

村上春樹さんは、国内外で絶大な人気を誇る小説家であるが、その作風からして好き嫌いがわかれる代表的な作家であることも、一度読んだ人ならわかる

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【読書】もっとライトに生きたい「旅屋おかえり」原田マハ

【読書】もっとライトに生きたい「旅屋おかえり」原田マハ

あらすじ

売れないアラサータレント“おかえり"こと丘えりか。ひょんなきっかけで始めた「旅代理業」は依頼人や出会った人々を笑顔に変えていく。『楽園のカンヴァス』の著者が贈る感動の物語。

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1.まえがきおお~!!!僕の大好きな小説、原田マハさんの「旅屋おか

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【読書】阿呆の道よりほかに、我を生かす道なし『有頂天家族 二代目の帰朝』

【読書】阿呆の道よりほかに、我を生かす道なし『有頂天家族 二代目の帰朝』

第一巻「有頂天家族」の書評記事↓

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あらすじ

狸の名門・下鴨家の矢三郎は、親譲りの無鉄砲で子狸の頃から顰蹙ばかり買っている。皆が恐れる天狗や人間にもちょっかいばかり。そんなある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎ〝二代目〟が英国より帰朝し、狸界は大困惑。人間の悪食集団「金曜俱楽部」は、恒例の狸鍋の具を探しているし、平和な日々はどこへやら……。矢三郎の「阿呆の血」が騒ぐ!

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【連載読書】熱狂と熱病のインド彷徨!「深夜特急3 インド・ネパール編」

【連載読書】熱狂と熱病のインド彷徨!「深夜特急3 インド・ネパール編」

あらすじ

悲惨、滑稽、崇高、卑小。
この土地にはすべてがある。
インド亜大陸、自由への旅!

第七章 神の子らの家 インド I
ガンジーが「神の子」と呼んだ最下層の人々の子供たち。彼らのための孤児院であり、学校であり、職業訓練所でもあるアシュラムで、私は“物"から解き放たれてゆく……
第八章 雨が私を眠らせる カトマンズからの手紙
ここカトマンズでは、旅の途中でひとり、またひとりと若者が死んでゆ

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【連載読書】死に場所を見つける『深夜特急2 マレー半島・シンガポール編』/沢木耕太郎

【連載読書】死に場所を見つける『深夜特急2 マレー半島・シンガポール編』/沢木耕太郎

深夜特急2 マレー半島・シンガポール編

前回の記事はこちら↓

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あらすじ

香港・マカオに別れを告げてバンコクへと飛んだものの、どこをどう歩いても、バンコクの街も人々も、なぜか自分の中に響いてこない。〈私〉は香港で感じたあの熱気を期待しながら、鉄道でマレー半島を南下し、一路シンガポールへと向かった。途中、ペナンで娼婦の館に滞在し、女たちの屈託のない陽気さに巻き込まれたり、シンガポー

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【連載読書】「十二国記」シリーズを読み倒す。episode.2 “育成ハートフルサクセスストーリー”『風の海 迷宮の岸』編

【連載読書】「十二国記」シリーズを読み倒す。episode.2 “育成ハートフルサクセスストーリー”『風の海 迷宮の岸』編

「十二国記」シリーズを読み倒す。#3

前回の記事はこちら⇒

さて、「十二国記」シリーズを読み倒す。連載第3回目となりました。
本作は前巻、「月の影 影の海」の続きではなく、0巻である「魔性の子」での謎、「高里が神隠しにあっていた頃」のお話となります。
もちろん、0巻を読んでいなくとも楽しめますが、読んでいたほうがよりいっそう物語に入り込めます。
あのとき、あれはこうなっていたんだね~とか、あれ

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【連載】限りなく詩的で上品な理系「笑わない数学者」森博嗣S&Mシリーズ③

【連載】限りなく詩的で上品な理系「笑わない数学者」森博嗣S&Mシリーズ③

森博嗣S&Mシリーズ③

前回の記事はこちら👇

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起源は忘却され伝統の手法だけが取り残される。
たとえ、神のトリックであっても。

さて、森博嗣のS&Mシリーズも三作目。
この「笑わない数学者」はトリックをわかりやすくした、と作者も言っているようで、レビューサイト等みていると「簡単だった」とか「途中でトリックがわかった」など言われている。

まったくわからんかったわたしはいったい・

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【連載】内緒は人間にしかできない。「冷たい密室と博士たち」森博嗣S&Mシリーズ②

【連載】内緒は人間にしかできない。「冷たい密室と博士たち」森博嗣S&Mシリーズ②

森博嗣 S&Mシリーズ②

1.はじめに小説の最後にある「あとがき・解説」ってみなさんは読みますか?
先に読む!って人もいるみたいですね。
ぼくは最後のページをチラ見してしまいそうな気がしてそれはできません。
世に出ているほとんどの小説の「あとがき・解説」はクソであるとぼくは声を大にして言いたいのですが、中には物語の余韻をより一層引き立ててくれる素敵なものと出会うこともあります。
ちなみに、この文

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【連載】すべての漢たちへ捧ぐバイブル「深夜特急」#1 香港・マカオ編

【連載】すべての漢たちへ捧ぐバイブル「深夜特急」#1 香港・マカオ編

書評

あらすじ

この地球の大きさを体感したいーー
人を旅へと駆り立て続ける不朽の名作!                  第一章 朝の光 発端
アパートの部屋を整理し、引出しの中の一円硬貨までかき集め、千五百ドルのトラベラーズ・チェックと四百ドルの現金を作ると、私は仕事をすべて放擲して旅に出た……
第二章 黄金宮殿 香港
黄金宮殿という名の奇妙な宿屋に放り込まれた私は、香港中を熱に浮かされたよ

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【書評】面白きことは良きことなり!!『有頂天家族』

【書評】面白きことは良きことなり!!『有頂天家族』

書評

あらすじ

面白主義の狸・矢三郎の毎日は、頼りない兄弟たち、底意地悪いライバル狸、人間の美女にうつつをぬかす落ちぶれ天狗とその美女によって、四六時中、波乱万丈! 京都の街に、毛深き愛が降る。

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森見登美彦氏の作品は好きなほうでよく読んでいるのだが、なか

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【連載】平成の“なろう”クラシック「十二国記」シリーズを読み倒す。episode.1 『月の影 影の海』編

【連載】平成の“なろう”クラシック「十二国記」シリーズを読み倒す。episode.1 『月の影 影の海』編

これぞファンタジーの日本代表「十二国記」シリーズを読み倒す。episode.0 『魔性の子』編はこちら

1.前回までのあらすじさて、「十二国記全部読み倒すシリーズ」第2回目です。(2回目だけどエピソードは1です。ややこしい。)

エピソード0ではまさにこのシリーズの「序章」が、圧倒的なスリルショックサスペンスで描かれています。
不幸を呼ぶ少年、「高里」は実は異世界の麒麟であった…。
というところ

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【連載】理系ミステリィの金字塔、森博嗣のS&Mシリーズを全部読む①「すべてがFになる」編 -THE PERFECT INSIDER-

【連載】理系ミステリィの金字塔、森博嗣のS&Mシリーズを全部読む①「すべてがFになる」編 -THE PERFECT INSIDER-

1.ミステリィ!!!それは私が最も苦手とするジャンルである!

幼き頃からTV放送していた「名探偵コナン」「金田一少年の事件簿」を見ては鼻白み、探偵もののドラマには憧れず、ルパン三世は一度もみたことがない!(これはちょっと違うか)

ミステリィ、サスペンス、探偵推理ものと名の付くものはことごとく唾棄し、読んでも心震わなかった幼少時代。

いよいよ学生を卒業するころになって、世間で大話題になった湊か

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