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驟雨に流る1【相談No.01】黒い服の女5

「何か困ったら、困ったってちゃんと言え。大抵の場合、手に届く場所に神様がヒントをくれてる」
と、昔、私に言った奴は誰だったか。
うるせえ、馬鹿。とその時の私は返事をした気がする。
血管がブチ切れる程に願った願いから聞き届けてくれなかった、不在の神に願うなんてしたくなかった。

変な意地が出て来て数か月。埃が被ってきた調査資料を放置して、暫くした頃。
自分の趣味でふと手に取った本。その頁には首まで埋められて餓死しそうな犬の図が描かれている。

「犬神の作り方」
その頁の最後の一文を見つけた時。違和感と共に何かが繋がる音がした。

鶏……鶏!?
ここから少しづつ疑問符は整理されて、答えを導いていく。

組みあがった一本の筋の通ったストーリー。そして、疑問符。
嫌な温度で心を翳める疑問符の答えを拒否したくなるのは、私だけなのだろうか。
“黒い服の女”にこの疑問符を伝えた時、どんな回答を見つけるのだろう。

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気付けば冬は終わろうとしている。今年は雪が多い冬だった。積もった雪の下なんて見たくない。白く、綺麗なままでいてくれればいい。頼むから。

何を考えているのか分からないけれど、真っ直ぐにこちらを向く鶏の目と、あの日の“黒い服の女”の目がしっかりと重なった。


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