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テニス観戦記

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テニスの4大大会で、気になった選手のあんな事こんな事、好きなように書いています。つまり年に4回更新ですね。テニスあまり知らない人も楽しめるように書いているつもりです。
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#テニス

やっぱり草食べた人 ウィンブルドン2022#2

やっぱり草食べた人 ウィンブルドン2022#2

今年の四大大会のうち、これで三つが終わりました。結果的にその全てで”ビッグ3”と言われる選手が優勝しベテランも若手もその壁を破れませんでした。しかしその結果に至るまでには様々なドラマがありました。

優勝候補は?

 今年の男子で優勝候補は誰だったかと言えば、もちろん昨年優勝のノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア)です。そしてもう一人、満身創痍で全仏優勝後、回復が不安視されていたラファイエル・ナダル

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予想外の「推し」の優勝 ウィンブルドン2022 #1

予想外の「推し」の優勝 ウィンブルドン2022 #1

ほとんど誰も予想しなかった選手が優勝した今年のウィンブルドン女子シングルス。でも彼女は私のイチオシだったのです。(今年4月の記事で控えめに紹介しています)

長身のショットメイカー

 冒頭の写真で、ヴィーナス・ローズウォーター・ディッシュという名の優勝皿を低めに掲げているのが「テニス界のオードリー(ヘップバーン)」と呼ばれている(呼んでいるのは多分私だけ)カザフスタンのイレナ・リバキナ、23歳

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全てはこの人のために? 全仏オープン2022

全てはこの人のために? 全仏オープン2022

テニス界は芝のシーズンに入り、つまりウィンブルドンの足音が聞こえてくる時期なので今更ですが、全仏オープンを振り返っておきます。

納得いかない男子シングルス 昨年は「テニス界のエヴェレスト」と評される仕事を成し遂げたノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア)が優勝しジョコファンの私は大満足でした。その仕事とは、「ロラン・ギャロス(全仏)でナダルに勝つこと」です。そして続くウィンブルドンでもジョコは優勝し

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全仏前の3大会。バルセロナ、ベオグラード、シュトゥットガルト

全仏前の3大会。バルセロナ、ベオグラード、シュトゥットガルト

 テニスの世界は今、クレイコート(赤土)のシーズンに入っています。そこで最近気になること、気になる選手のことなど書いてみます。

テニスならではの「表面」への適応

 以前書きましたが、テニスというスポーツの珍しい特徴は、異なる三つのコートサーフェス(コートの表面)に対応しなければいけないということです。そして現在はヨーロッパを中心に「クレイコート」で試合が行われています。「クレイ clay」とは

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地味の極み。バウティスタ・アグートという選手

地味の極み。バウティスタ・アグートという選手

ウクライナ情勢など心配なニュースはありますが、テニスツアーは動いています。ここでロシアのテニス選手が何か発信しないものかと気になり4人のロシア人男子選手のTwitterをフォローしてみました。今のところ何も発信はありません(2月27日時点)。と、思ったらデュバイで優勝したアンドレイ・ルブレフがつい先ほどツイートしました。「今はテニスじゃない、スポーツでもない。世界中で平和を考えよう。互いに支え

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ジョコ不人気の理由を尋ねていたら歴史の勉強になった話(全豪オープン2022 #0)

ジョコ不人気の理由を尋ねていたら歴史の勉強になった話(全豪オープン2022 #0)

 テニスの全豪オープン(AO)が始まっています。前回の覇者で、第1シードであるはずのジョコヴィッチが、オーストラリアへの入国を認められず帰国させられたことは、ジョコファンの私にとって大変残念でした。しかし今回そのことには触れません。ジョコのビザ不発の経過を知ったところで別段面白くもないからです。

ジョコはなぜ人気が低いのか? 私は、ジョコヴィッチのファンだからといって、ロジャー・フェデラー(スイ

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ウィーンが燃えている

ウィーンが燃えている

 来年の全豪オープン2022までテニスの記事は書かないだろうと思っていたのですが、インディアン・ウェルスに続き、ウィーンとサンクト・ペテルスブルクがあまりにも熱かったので書きたくなったのでした。

音楽の都で

 言わずと知れた音楽の都ウィーンです。オーストリアの首都。しかし音楽はさておき、オーストリアのスポーツと言えばもちろんアルペンスキーです。オーストリアはアルペンスキー発祥の地ですから国技で

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砂漠の理想郷 Indian Wells 2021

砂漠の理想郷 Indian Wells 2021

 次の4大大会である「全豪オープン2022」までテニスの記事は書かないだろうと思っていたのですが、あまりにも番狂わせが起こったので思わず書いてみました。

5番目の4大大会?  これまで何度も書いてきましたが、プロテニスの世界で最も価値のある大会は4大大会(全豪・全仏・全英・全米)であり、それらをまとめて「グランドスラム(GS)」と呼ぶこともあります。その次に価値のある大会は「マスターズ1000」

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全豪オープンの観かた

全豪オープンの観かた

テニスの全豪オープンが始まっています。我々テニスファンの間ではAustralian Open を略して"AO"と呼んでいます。オーストラリアは厳しいコロナ対策をしており、現地入りした選手をホテルで二週間隔離しました。これは日本でもかなりニュースになりました。本来なら選手は時差調整もかねて昼間は身体を動かしたいのにほぼ軟禁状態。ホテルの部屋の中でマットレスを壁にもたせかけて壁打ちをする動画を何人かの

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ジョコビッチという選手(全豪オープンその6)

ジョコビッチという選手(全豪オープンその6)

ちょうどこの記事を書こうとしてたらAOラジオ(全豪オープンの公式ネット配信ラジオ)の実況がやかましくなっていました。ギリシャのシチパスがナダルに大逆転で勝利したのです。これで男女ともにベスト4が揃いました。ちなみに女子はトップシードのアシュリー・バーティが敗れています。

セルビアってどこ?どうもアドリア海の東側が苦手です。いや他にも知らないところいっぱいありますが、○○〇スタンが何個もある中央ア

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錦織くんのトップ10復帰が現実的でない理由

錦織くんのトップ10復帰が現実的でない理由

いきなり謝りますが、ズルいタイトルをつけました。例えば日本の若手有望株のテニス選手を紹介する記事を書く際、多くのライターが「錦織2世と期待される・・・」といった見出しをつけるのは、そう書かないと誰も読んでくれないからです。しかし「錦織2世」と謳われたその若手はいまだ下部ツアーでくすぶっています。しかし今回は世界のテニスシーンで実際に活躍している若手を紹介するために「錦織くん」の名前を使った次第です

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2021全仏オープンテニスまとめ #1

2021全仏オープンテニスまとめ #1

1月の全豪オープン最後の記事と同じ、この人がタイトル写真になりました。大坂さんの会見拒否声明とその後の棄権に始まり、とにかく話題が多すぎる大会でした。日本人が負けてしまうと日本での報道は途端に寂しくなりますが、実はテニスファンにとっては色んな意味でめちゃくちゃ楽しい大会でした。私なりの視点で振り返ります。

今男子ツアーで一番面白い人

​ロシアのダニール・メドヴェーデフ(25歳)です。何が面白い

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この人トイレで何してたの? 2021全仏オープンテニスまとめ #2

この人トイレで何してたの? 2021全仏オープンテニスまとめ #2

「第1シードのジョコビッチが優勝」男子テニスの世界をあまり知らない人にとっては別段面白みのない結果かもしれません。しかし我々(まぁまぁコアな)テニスファンにとっては事件といってもいいくらいの結果です。なぜなのでしょう?あと、ちょっと心配なある選手のことにも触れています。

パリではこの人が勝つのが普通という異常さ

スペインのラファイエル・ナダル(35歳)です。現在世界ランク3位で4大大会での優勝

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もう女子テニスの楽しみ方がわからない  2021全仏オープンテニスまとめ #3

もう女子テニスの楽しみ方がわからない  2021全仏オープンテニスまとめ #3

絶対的な女王セリーナ・ウイリアムス(39歳)の力に陰りが見え始めて久しい女子テニス界。彼女に引導を渡したのは他でもない大坂さんだと私は思っていますが。ところで、絶対的な存在がいないとなんとなく楽しみの焦点が絞れないということに最近気づきました。それでも思わぬ楽しみを見つけた今回の全仏女子でした。

今女子は誰でも優勝できる?全仏においては2016年以降は毎年違う選手が優勝し、複数回優勝した選手はい

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