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錦織くんのトップ10復帰が現実的でない理由

いきなり謝りますが、ズルいタイトルをつけました。例えば日本の若手有望株のテニス選手を紹介する記事を書く際、多くのライターが「錦織2世と期待される・・・」といった見出しをつけるのは、そう書かないと誰も読んでくれないからです。しかし「錦織2世」と謳われたその若手はいまだ下部ツアーでくすぶっています。しかし今回は世界のテニスシーンで実際に活躍している若手を紹介するために「錦織くん」の名前を使った次第です。


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元スキーのジュニアチャンピオン

今回はイタリア人を3人紹介します。タイトルの写真とこの2枚の写真は同一人物で、イタリアのヤニク・シナー(Jannik Sinner)という19歳の選手です。現在(2021 4.25)テニスの世界ランク19位ですが、競技スキー経験者ならこの写真を見ただけでスキーも相当なレベルだとわかるはずです。私も実は競技スキーの経験がありますが、とてもこんな風には滑れません。8-12歳年代のイタリアチャンピオンだったそうです。そして彼がイタリア北部のボルツァーノ出身だと知って「ぁ~なるほど」と合点がいったことがあります。

イタリアっぽくない名前

白い肌にそばかす、カーリーヘア、ヤニク・シナーという名前を聞いてイタリア人をイメージする人は少ないと思います。私なら北欧系か、ドイツ系を想像します。あまり知られていないことですが、実はイタリアの北部には一部ドイツ語を話す地域があります。

この地域を「南チロル」と呼んだりしますが、「ぇ、チロルってオーストリアじゃあ?」と思った方はヨーロッパに詳しい方ですね。というのもこの地域は第一次大戦頃はオーストリアとの国境線が何度か変わっているのです。

したがって現在はイタリアとなっているものの、この辺りの道路標識などは伊語・独語の二重表記ですし、地名も伊語・独語二通りあり、人の名前もドイツっぽいものが多いのです。私は30代の頃この周辺、具体的にはドロミテ山群で働いていたことがあるのでよく知っています。(←『はじめまして。最終回』参照)ちなみにイタリアのレジェンドと言ってもいい登山家のラインホルト・メスナー(ドイツっぽい名前でしょ?)もこの地域の出身です。

じゃあイタリアっぽい名前って?

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同じく19歳のイタリア人で急成長中、世界ランク87位のロレンツォ・ムゼッティ(Lorenzo Musetti) です。どうです?いかにもイタリアみたいななまえでしょう。トスカーナ州の出身だそうです。2020年のローマで当時249位ながら錦織くんに勝っています。年齢で言えば高校出てすぐの選手が世界ランク100位内に入るなど、日本人なら夢のまた夢です。

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こちらは25歳、世界ランク32位のロレンツォ・ソネゴ(Lorenzo Sonego) です。トリノ出身。2020年にジョコビッチに勝っています。ファーストネームはムゼッティと一緒ですね。イタリア人のファーストネームの種類はあまり多くないと聞いたことがあります。大抵は聖書に出てくる聖人の名前をつけるのだとか。だからクラスにはマルコやファビオやロレンツォが何人もいるのかもしれませんね。近年イタリアにも「キラキラネーム」があるのかどうか、それは知りません。

錦織世代の現在

錦織くんがブレークしたのは2014年。そこからの数年間、錦織くんがしのぎを削った世代で名前が浮かぶのは、チリッチ、ラオニッチ、ディミトロフ、デルポトロ、ゴファンなどでしょうか。この中では、チリッチとデルポトロ以外は現在も20位内で頑張ってはいます。しかしビッグ3を除いては、その次もしくはまたその次の世代がツアーの中で存在感を増しています。

トップ20の名前を見た時に、その中には錦織くんが入り込むイメージができます。しかしトップ10の名前を見ると、正直もう錦織くんが入る余地は無いように感じてしまうのです。こういうことはプロのライターはまず書かないと思います(日本人なら誰もそんな記事読みたくないからです)。

私も本当は再び錦織くんに輝いてほしいと願っています。しかしプロスポーツの世界は残酷で、ほとんどの選手はビッグタイトルには無縁のままキャリアを終えるのだということも知っています。私自身の興味もまあまあ残酷で、チチパスルブレフ、今回紹介したシナーといった今をときめく選手が今後ビッグイベントでビッグ3をどう倒すのか?という方向に移っているのは偽らざる事実です。

久しぶりに書きました。ここまで読んでくださってありがとうございました。

こちらは参考記事です👇








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