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地味に続く介護

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故郷に残る一人親への対応を中心に、関連する話題を書いてまとめています。黄昏時のサラリーマンが直面しつつ、あまり会話に出てこない内容なので、斜め読みして頂くことで取っ掛かりとしてお…
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#雑記

介護家族にも守るべき本人の命の線引きが求められる時代になった

介護家族にも守るべき本人の命の線引きが求められる時代になった

月曜日から天気がイマイチなのは、ちょっと勘弁願いたいですね。台風も迫っていますが、雨はもういいやと思うこの頃。

さて……

今回は、土曜日から記事にしている母の入院対応について、総括したい。

昔は、患者への対応は医療側がほとんどを決めていた。家族が対応方針の決定に関わることは少なく、結果のみ通知される場合の方がはるかに多かった。

しかし医療過誤問題等の発生や医療を受ける側の権利意識の高まり等

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介護家族に求められる軽くはない決断

介護家族に求められる軽くはない決断

晴れれば暑く、雨が降れば夏っぽくない。そしてコロナでステイホームが求められる昨今、何となく抑圧されているような感覚に陥りますが、あなたが心の健康を第一に過ごされるよう願っています。

さて……

昨日、老人ホームで倒れた母の対応についての記事を書いた。

医師からの説明が終わり、入院手続書類の記入を求められた際に、延命治療についての家族の意思も確認された。これが結構重いものであったと今にして感じて

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孝行したい時にいる親とは

孝行したい時にいる親とは

今週もお疲れ様でした。あなたの努力は理解されにくいかも知れませんが、見ている人はきっといると思います。

さて……

一般には「孝行したい時に親はなし」と言われる。「親のありがたみがわかって孝行をしようと思う年頃には、すでに親は亡くなっている」との意味だとされる。

でも、年頃だけの問題ではない気がする。子供でも母の日に肩たたき券を上げたり、自分の小遣いを貯めてカーネーションを買ったりする子はいる

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iPadを用いたFaceTimeアプリでの母との面会

iPadを用いたFaceTimeアプリでの母との面会

あなたのご両親は、健やかにお過ごしだろうか? できるだけその期間が長く続くことを、私も心から願っている。

残念ながら私の母は、転倒による大腿骨の骨折を契機に独居は困難となり、老人ホームに入居した。今母がお世話になっているホームでは、ずーっと家族との直接の面会を断っている。コロナ禍のため、これはやむを得ない措置だろう。

ホーム側の視点に立てば、万一施設内で新型コロナウイルスが蔓延、最悪クラスター

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在宅介護はかなりの力技、施設の利用は合理的な選択肢

在宅介護はかなりの力技、施設の利用は合理的な選択肢

日々のお仕事、お疲れ様です。

私は元々離れて住んでいた母を、老人ホームに入居させている。その選択は決して間違っていないと思うし、その自信もある。

しかし、世間的な評価はそうではない。

①親の面倒を見るのは子として当然の務め。人に任せるなどあり得ない。
②親を捨てたのではないか。
③親が住み慣れた自宅を離れざるを得ないなんて、気の毒。

といった批判の声は、割とよく聞かれるものだろう。

①そ

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コロナ禍でのさまざまな制約にも、めげず顔を上げて

コロナ禍でのさまざまな制約にも、めげず顔を上げて

緊急事態宣言が延長・継続、更に新規に宣言が発出された県も出てきた。

実家のある県も感染者数がかなり増えている。先のGWで帰省しなくて良かったと心から思う。

というのは、自分が帰省道中や実家近辺での感染を回避できたのもあるが、それよりも私の東京からの帰省と実家近辺での今の感染拡大を結びつけられて批判されるリスクを(結果的に)回避した、と考えられるからだ。

私は、大学への進学を機に上京し、爾来実

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実家のモノの有り様から、自宅のモノの持ち方を考える

実家のモノの有り様から、自宅のモノの持ち方を考える

人は、あの世にモノを持っていけない。人間は裸一貫で生まれ、死んでいくからだ。

少なくとも、生きていた時に持っていたモノは、そのままこの世に物理的に残る。このことは疑いようがない。亡父の相続手続を進める上で、雑多としか言いようがない様々なモノと格闘した経験からも、それを実感する。

今は人が住まなくなったとはいえ、まだ実家がある。だから、直ちに整理・処分をしなくても済んでいる。しかしながら、この状

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お年寄りを狙うことに感じる人間の業

お年寄りを狙うことに感じる人間の業

私は父が急逝した直後に、遺品整理を行った。忘れていた私自身の私物も含めいろいろなものが出てきたが、その際にやたらと家の修理の契約書が出てきて驚いた。

今回、たまたまtwitterで流れてきた以下の記事を読んで、その時のことを思い出した。判断能力の低下したお年寄りをターゲットとした商売は多種多様に、かつ今も継続して行われていることを再認識した。

道徳的にどうよ? と感じるのは恐らく正しい。でも、

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老人ホームでただ今に生きる母

老人ホームでただ今に生きる母

老人ホームに入居している母。普段はどうしているのかが謎であった。

コロナ禍で面会ができなくなるまでは、私や姉が訪問する度に「また来てね」と寂しそうに言っていた。だから、多くの時間は一人で過ごしているのかも、と考えていた。

もっとも、コロナ禍前は1ヶ月強に1回は会いに行っていたのに、「何ヶ月も来ないなんて...」と非難がましく言われたこともある。そう、前回の面会の記憶を保持できなくなっているのだ

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老人ホームでの生きがい(親世代と自分たちとの差)

老人ホームでの生きがい(親世代と自分たちとの差)

既報の通り、母は老人ホームでお世話になっている。姉と私は、コロナ禍までは1ヶ月強に一度の頻度でホームへ訪問していた。

その際、母からは「何か……もう生きる張り合いも、やりたいこともないしねえ」とよく言われた。父を失った悲しみもわかるので、そう言われると言い返すことも難しい。

会社勤めで日々期限を意識しながら生活している身には想像もつかないのだが、莫大な時間がある一方で足腰が弱って移動も困難な状

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少しずつ、捨てる側に立ち位置が変わる

少しずつ、捨てる側に立ち位置が変わる

母の介護に関わるようになってから、「自分もどう老いていくのだろう?」と考える機会が増えた。母に起こったことは、そのまま自分にも起こりうることでもある。

とりわけ、今は空き家となった実家に残されたものの整理に関わると、不要なものがたくさん出てくる。モノのない時代に育った父母は、何でも大事に取っておく習性が身に付いている。

ものを大事にするのは悪いことではない。最近は聞かなくなったが「モッタイナイ

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マイナンバーカードの電子証明書有効期限通知書が来た

マイナンバーカードの電子証明書有効期限通知書が来た

亡父は生前、マイナンバーカードの作成にこだわった。あまりその意味を理解していたとは思えないのだが、懇願に応えて私が顔写真を撮影し、ネットで申し込んだ。そのカードが実用されることは、やはりなかったけど。

亡父は自分の分だけでは飽き足らず、母にもその作成の必要性を説いた。母もやはりよく分からないまま、亡父の熱意に従ってマイナンバーカードを作成し、現在に至る。

今年は父母がマイナンバーカードを作成し

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介護をしている立場で女性蔑視発言を考えると

介護をしている立場で女性蔑視発言を考えると

私は、老母を遠隔介護している。

昨今世を騒がせてきた女性蔑視発言が、会長辞任という状況を招いた。介護者の立場からは、この発言も少し変わって見える。

まず、会長(執筆時)には恐らく全く悪意がなかったこと、推測だがもっと言えばウケると思ってしゃべっていたことは指摘したい。

昔から失言癖があり、舌禍を招いていた。ただ、そういう人は意外とサービス精神が旺盛である。誰かにマウントを取りたいとか、傷つけ

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年を取っても頭脳明晰の是非

年を取っても頭脳明晰の是非

多くの人が、年を取って記憶が失われたり思考能力が損なわれたりするのを恐れ、いつまでも頭脳明晰でありたいと願っている。

但し当然のことながら、若い頃より更に頭脳明晰になるのを望むのは無理であろう。そこまでは望まなくても、できるだけ現状を維持したい人は多い。

この点は、もう少し考えるべきだと思っている。多くの人が痴呆症を恐れているのだけど、それを脇に置いて、なお本当に全てのことをいつまでも覚えてい

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