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エッセイ

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エッセイ。日々の気づきなど。
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深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいている

深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいている

花はただそこに咲いているだけで美しい。

そう思って生きてきた二十数年だったが、ある商業施設の花壇に物凄い密度でぎゅうぎゅうに植えられた花たちを見て、美しいという気持ちより
く…苦しい…という気持ちが勝った。

しかも、密度だけではなく、取り合わせもよろしくなかった。
個性が強く、彩度が高く、その上、主役張れますけど?みたいな顔してるお花ばかりが選りすぐられていて、花壇全体に澱んだ空気が漂っていた

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日記の役割

日記の役割

下北沢で日記だけを取り扱っている、素敵なコンセプトの本屋さんを発見した。日記は自分以外の人たちがどんなことを考え、何をみて、何を感じているのかを知ることができる貴重で興味深い書物だと思っている。
日記以外でも、詩やエッセイや論文ももちろんそうなのだけど、日記は本来誰かに向けて書くものではないからなのか、より個人的な文章で飾らない感じなのが好きだ。
その分、その人の世界観や感情、考えに引きずられるし

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故人の肖像

故人の肖像

この間、数年前に亡くした愛犬が夢に出てきた。
実家の畑で勢いよくにんじんにかぶりついたは良いものの、歯がにんじんに負けてて、可哀想だか可笑しいだかで複雑な感情になった夢だった。
賢い子だったけど、めちゃくちゃ食い意地張ってたなぁと懐かしく思っていた。

そこからふと思い返してみると、コロナが流行り始めてから、親戚と集まるなんていう機会も無くなってしまって…でも、親戚と集まると必ず故人の話になって、

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覚えておかなくて良いことに脳のメモリを喰われている。

覚えておかなくて良いことに脳のメモリを喰われている。

・新品でもないアイロン台を小脇に抱えながら電車に乗っている男性を発見。アイロン台以外に荷物も何も携帯していなくて謎すぎる。急にアイロン台だけ必要になることってあるんだろうか。

・神宮前から表参道にかけての大通りはいつも多くの人でごった返している。シッターさんっぽい男性がずーっと英語で5,6歳の男の子と4歳くらいの女の子に何やら話しかけているけれど、二人とも言語は違うのに要領を得ている風で会話が成

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鏡の中で合う目線

鏡の中で合う目線

私が不思議だと感じたことの中で一番古い記憶について。

幼稚園児だったとき、ボーッと眺めていた鏡の中で後ろにいた友達と目が合い、鏡の中から手を振られたことにとてもびっくりしたことを覚えている。

鏡の中で目が合うという現象が理解できていなかった私は、友達が何か特殊な能力を持っているのではないかと思い、数日間その友達を警戒していた。
当たり前だけど、その数日の観察で友達に変わったところは発見されず、

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通学路

通学路

駅前は商店街だったらしい形を残していて、ずいぶん前に閉店した精肉店のシャッターは開いていて、埃をかぶって時が止まったままその姿を残している。そこで買い物をする、経験していないはずの記憶を想像する。きっとソーセージやコロッケやハムカツが並んでいたに違いない。空っぽのショーケースのラインアップを考える。

踏切を渡るのが怖かった。大きな音が昔も今もずっと怖くて苦手だ。
同じ通学団の一学年下の男の子たち

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気にしなくても良いことを

気にしなくても良いことを

通勤ラッシュのときに改札にひっかかる、電車で目覚めたとき、目の前にいたのが足がプルプルしているお年寄りの方だった、普通の春雨サラダだと思って買ったのに食べるまでタイ風であることに気付けないetc…
日常、まあまあの頻度で起こるほんの些細なことを家に持ち帰って大反省会を開いてしまう方へ。大丈夫、あなただけじゃないですよ。

人を不快な気持ちにさせたくないのと自分が傷つきたくない気持ちが強すぎて、ふつ

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たい焼きはカスタード味で

たい焼きはカスタード味で

わたしはファミマのクリーム鯛焼きカスタード味が好きだ。モチモチしていて、ひんやりしている食感が良いのはさることながら、味がカスタードであることが推せる。
小学生の低学年くらいまで、餡子が食べられなかったため、わたしの中で鯛焼きといえばカスタードなのである。今は餡子の鯛焼きも普通に美味しく食べられるけれど、餡子かカスタードかの二択を迫られたら、迷わずカスタードを選んでしまうだろう。

疲れた時とか、

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ギリギリのときに作る餃子

ギリギリのときに作る餃子

あーーー無理!もう脳みそが限界で仕事なんて手につかない!
でもやんないとヤバイ!
でも創作意欲は有り余ってて手は動かしていたい!
でも脳に負荷がかかることはしたくない!

そんなときにぴったりなのは餃子作りである。

とりあえずキャベツを無心で微塵切りにし、無心でひき肉と捏ね、無心で包む。

無心で単純作業やルーティンワークをしていると、焦った精神状態とか不安な気持ちとかがふーっと消えていって冷静

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やりたいことリスト:引っ越す

やりたいことリスト:引っ越す

今年のやりたいことリストの一番上の行に「引っ越す」という項目がある。
有言実行を体現していきたい自分としては絶対に今年中に引っ越すのだ!と強い気持ちで過ごしてきた半年。この間良さげな場所を見つけ、契約のところまで来れました!やったー!

今住んでいるアパートは木造で隣の部屋の物音が結構普通に聞こえてきてしまう。ほぼ毎日お隣さんはオンラインゲームを楽しんでいるようで、悲鳴にも似た楽しげな叫び声が聞こ

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新年と健康とコンビニ

新年と健康とコンビニ

あけましておめでとうございます。
やっと平熱に戻ってきつつある今日。

大晦日の昼から体調を崩し、今日に至るまで体調が悪い。
つまり、今年に入ってから体調の良い日が1日もないことになるのですが、ずっとわけのわからない風邪に悩まされている年初め。
検査してもコロナもインフルエンザも陰性。
日常生活で自炊ができていないわたしの身体は7割がファミマ、2割がデイリーヤマザキ、1割が外食/Uberで構成され

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遊園地を楽しみたい

遊園地を楽しみたい

遊園地が苦手です。でも、遊園地は楽しめた方が良いに違いない。
だって、THE・娯楽って感じがするし、思いっきり楽しく遊べたらきっと幸せなんだろうし、開放感だって味わえそうだし。

遊園地で楽しそうにしている人々を見て、皮肉たっぷりに、あーとても楽しげで幸せそうですねーみたいな根性の曲がり方をしているわけでも、斜に構えているわけでもなく、ただただ苦手な要素が多すぎて楽しめない。

まずジェットコース

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夏が来れば思い出す

夏が来れば思い出す

夏が来れば思い出す。
あれは大学2年生の夏、アートプロジェクトに参加するためにTちゃんとRちゃんとインドに行った。

私は海外に行くのが初めてで、機内食を食べるのも初めてだった。
CAさんの「fish or chicken」で既に浮かれていた。航空会社はインド系の会社で、乗組員の方々はサリを着ていて、何だかもう外国にいるような気分だった。

機内食もインドっぽく、スパイスがふんだんに使われていて美

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さだまらない

さだまらない

日々忙しくしていると、自分の感情や好きな物事がだんだんと輪郭をなくし、ぼやけていってしまうような感覚がある。それは私をとても不安にさせる。足元がぐらついて、芯がなくなっていくような怖さがある。

私がほんとうに好きなことって何だったんだろう。興味のあることって何だったんだっけ?

それを確認するため、というか、ちゃんとhomeに戻ってくるための道標のようなものが自分にとっては読書であって、決して娯

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