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【創作童話】ストライプの雨#完

【最終章】白鳥座の隣人

そして彗星の滝まで
僕達は旅をしました。

魔法使い座が案内をしてくれたのです。

光の雨が降りしきる
神々しい滝でした。

何かを祈りたかったはずなのに、
何も出来なくなるのです。

圧倒されて、
ただただ立ち尽くしてしまうのです。

彗星が、ひとつ
またひとつ流れて行きます。
何かを形容するなら

ストライプの雨のようです。

光の雨が、
ストライプの模様を描くのです。

魔法使い座は
ぽつりと言いました。

「なんて不思議なんだろう。
あたしが、このあたしが
しあわせの数を数えられるなんて。」

魔法使い座の黒いロザリオが
すうっと消えて、

美しい薔薇色のロザリオが
生まれました。

「しあわせの数が数えられる!
嬉しい!!嬉しいよ!」

僕は彗星に、
お嬢さんがどこにいるのか
分かるように祈りました。

「君はなんて祈ったの?」
「ふふ、いつか機会があったら
お前にも教えてやるよ。」

僕はお嬢さんを探しに、
魔法使い座はそこに
残ることになりました。

「お前には色んなことを
教えてもらった気がするよ。
寂しくなるね。」

「きっとまたいつか
会えるよ!
だって僕達、友達でしょ!」

「そうだね。
いつかきっと会える。」


お嬢さんは、白鳥座の近くに
ひっそりと輝いていました。

僕は胸がはかはかして
そっと近付きました。

お嬢さんは空を見るように、
ぼんやりと僕を見つめます。

「だあれ?」

星座は、記憶を置いて
星になるのです。
僕のことを忘れてしまっているのです。

「初めまして。」

挨拶をする僕に、お嬢さんは
にこっと微笑みました。
それでもいい、それでもいいのです。

僕のことを忘れてしまっても、
僕が分からなくても。

僕を忘れたなら
僕は千回だって挨拶をする。
僕は君に命を助けてもらった。
そして命をもらった。

僕がここに立っていられるのは
全て君のおかげなのです。
君は僕の全てなのです。

僕は静かに星座になりました。

お嬢さんの隣で。それでいい。
ずっとずっと君を見守っています。
君が僕を、永遠に思い出せなくても。

僕の願いは叶いました。
そして、魔法使い座の願いも
叶っていたのです。

魔法使い座はあの時、
こう祈りました。

「命の源である彗星よ、
どうか悩み苦しむ
全ての命を救ってください。

自ら命を断とうとするほどの
苦しみを救ってください。

我々は浅ましく、ちっぽけです。
その悩みを忘れられる
一瞬をください。

そして、その光の元へ
導いてください。」


魔法使い座が祈った願いごとは、
叶いました。

僕は僕を愛しています。

あなたがもしも辛い気分で
夜空を見上げた時
この彗星が流れたら

それは
魔法使い座の彗星です。

どうか魔法使い座が祈ったように
あなたに一瞬の解放が
訪れることを

僕達は夜空から祈っています。

〈完〉
〜この透明な鳥は作者自身である〜
2014年六花💌


お付き合い頂きありがとうございました🥲
4週に渡りお読み頂けました事に感謝致します
(コメント📝喜びます🥲🥲🥲)

来週は【六花💌の独り言】
それ以降は🦄水曜日のエモーショナル🦄を
毎週水曜日に更新致します!

これからも是非ぜひ🦄水エモ🦄と六花💌を
よろしくお願い致します🥺🙇

六花💌

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