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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2023年8月の記事一覧

「読んでもらう」までの道のり

「読んでもらう」までの道のり

*ようやく9月に出す本の見本が届いた。ぼくの原稿直しが大幅に遅れたせいで、こんなにギリギリのスケジュールになってしまった。関係者の皆さん、本当にすみません。いろいろご迷惑と手をかけてもらって、頭が上がりませんです。足は向けて寝ます。

今回のエッセイ本は、一年半ほど前から毎週書いているエッセイの中からピックアップしたものを中心に、書き下ろしを加えてまとめました。挿画は、画家の和田ひびきさんにお願い

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かっこいいより、かわいいがすき!

かっこいいより、かわいいがすき!

*家にはぬいぐるみが大量に棲んでいる。見かけるとついつい買ってしまうのだ。この前数えたら、20体いた。ぬいぐるみの単位がわからないが、ぬいぐるみ好きな知り合いに「20匹います」と言ったところ、「ぬいぐるみにも心はあるから、匹じゃなくて人ですよ!」と怒られたことがある。この人は犬や猫には心がないと思っているのだろうか、と少し考えたが、めんどうだったのでやめた。とりあえず「体」で数えるようにしている。

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つい一生懸命になれること。

つい一生懸命になれること。

*気付いたら、ついつい一生懸命になってしまうことが、ひとつやふたつはあるような気がする。それは仕事にかぎった話ではない。遊びでもいい。勝ち負けのあるものでもいい。人と比べて、ではなくて、自分の中で、ついつい一生懸命になってしまうこと。そんなものが、よくよく見つめるとあったりする。

向いていなくても、へただったとしても、ついつい力を込めてやってしまうこと。一生懸命にならずにはいられないこと。誰に笑

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空想を本当にしてしまう

空想を本当にしてしまう

*土曜日は、仲良しの劇団「彗星マジック」さんの『アソートメント・アパートメント』を観に劇場へ。彗星マジックさんは、何年か前から欠かさず観にいってるんですが、ほんっとーにおもしろい。作・演出の勝山さんは、ぼくにとって第一線でやられている、本当にプロだなぁと思う作り手で、内容のおもしろさ以上に、いつもつくる姿勢や細部のこだわりなど、打ちのめされるんだよなぁ。こういう人を「作り手」って言うのか!と、本気

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人は一人じゃ生きられない

人は一人じゃ生きられない

*人間という生き物が生まれてから、今の今まで生きてくる中で、いろんな変化を繰り返してきた。それぞれの時代時代を生きた人はいても、せいぜい長く100年やそこらの命だ。植物が葉をつけ、花を咲かせ、枯れて種を落とすようにして、人は生命活動をおこなってきた。その長い歴史と、短いぼくの人生とを照らし合わせながら、人はなにを受け継いできたのだろう、などとおおざっぱに考えていた。

思えば、ひとりの人って、その

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見落としがちな「ささい」について

見落としがちな「ささい」について

*知り合いの会社に遊びに行った日、ちらっと数分程度外でタバコを吸って戻ったら、玄関の靴が揃えられていたことに気が付いた。もしかして?と思い、先ほど帰ったメンバーに連絡をしてみると、「気づきましたね、ニヤリ」と返信があった。ささいなことだけれど、僕はその人のことを「いいなぁ」と思ったのだ。そして、次回から自分が出るときも思い出せたら、ぜひ靴を揃えて出ようと思わせてくれた。

「ささいなこと」というの

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初めて会うのに懐かしいもの

初めて会うのに懐かしいもの

*学生時代の友人がグラビアアイドルになっていたことを、深夜のコンビニで知った。縦置きされた雑誌のひとつに、見覚えのある顔と、見覚えのない身体がでかでかと印刷されていた。その学校では、僕の唯一の友人だった。頻繁に会うわけではないが、ちょうど二年前に会ったときには、美容関係の仕事をしていたはずだ。

それから彼女は瞬く間にあらゆる雑誌の表紙を飾り、徐々に有名になっていった。そして徐々に、布面積が少なく

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みんなで大事にしたいもの

みんなで大事にしたいもの

*ひとりで大事にしているものと、みんなで大事にしているものがあります。ひとりで大事にしているものは、言わずもがな、「わたし」が大事にしているものです。みんなで大事にしているものは、「チーム」とか「組織」とか「会社」とか、複数の人が集まって、それぞれでひとつのものを大事にしましょう、していこう、というものです。

それぞれで大事にしましょう、というのは、案外むずかしいなと思うのです。関わり方もちがえ

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人の死について、最後の音

人の死について、最後の音

*先週、祖父が亡くなってからというもの、心にずっとそのことがついてまわっている。思えば、葬式ってのはすごいね。祖父が亡くなった3日後には執り行われて、基本的には身内だけのものだったけれど、それでも数十人の方が足を運んでくれた。この3日の間で、喪主である父や祖母、いろんな方がいろんな方に連絡をしていったのだろう。

祖父が亡くなってから葬式までのあいだ、まだどこか「亡くなった」という実感がなかった。

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説得というコストについて

説得というコストについて

*きのう、料理をしながらふと「どうして人を殺してはいけないの?」と子どもに聞かれたら、なんて答えるのだろう、と考えていた。いつもそんな物騒なことを考えながら料理してるわけじゃないですよ。なんか、ふと、思ったんですよね。どうして人を殺してはいけないのか、大人は暗黙の了解でわかっているけれど、まだ何も知らない子どもに純粋な気持ちで聞かれたら、ぼくはなんて答えるのだろう。

まず最初に出てきたのは「ダメ

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ツボを直す技術より、そもそも割らないこと

ツボを直す技術より、そもそも割らないこと

*人はよく、トラブルや何かが起こったときに対処がよかったら「すごいなぁ」とか「対処能力があるな」とか思っちゃいますが、そもそもトラブルを事前に防いで起こさない人の方が、よっぽどすごいよ。もちろん、そういった対処能力もすばらしいことだし、トラブルは起こるときには起こっちゃうもんだけれど、それにしたってないほうがいい。割れたツボを元通りにして褒められることなんて、まあないです。そもそもツボを割らないこ

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本は舟、私たちは港。

本は舟、私たちは港。

*週に一冊は本を読もうと思っていたのに、忙しさにかまけて月に一冊や二冊しか読んでいない。こりゃ、いけないなぁ。別に本を読まないからといっていけないことはないんだけれど、自分で軽く決めたのに、できてないことがいけない。一度読むとおもしろいからどんどん読んじゃうんだけど、ひらくまでに腰が重くなっちゃうんだよな。お風呂みたいだ。

本を通して、人と出会うことがあります。それは本が繋いでくれたという意味だ

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長距離走と短距離走

長距離走と短距離走

*ようやく、9月にちいさく出る本の原稿の手直しが終わりました。もう、ここ最近は空いた時間があれば手をつけて、悩んでいたので、本当にひと段落。途中から「早く終わってくれ」という気持ちと、まだまだ良くなるのにどうすれば…という気持ちと、まだまだヘタな自分の文章にがっかりする気持ちが渦巻いて、それでも〆切はあるもんだからてんやわんやだったのですが、ようやく落ち着きました。といっても、なぜか仕事は忙しい。

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習慣は努力に勝てるか?

習慣は努力に勝てるか?

*ぼくは基本的に「努力」が苦手な怠け者なので、なにかを努力してやろうとすることは少ない。試験勉強や、仕事のために何かをいっとき学ぶことはあっても、それくらいだ。努力が苦手なので、努力しようとしてもつづかないことを自分がよく分かっている。だからこそ、上手になりたい何かや、打ち込んでみたいものが出てきたときに、いかに努力せずに上手になれるか、打ち込めるかを考えるようにしている。

「どうすればできるよ

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